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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第755話 旭 樹 再召喚 49 2匹の契約竜&ケスラーの民 1
「翁よ。偽装結婚だと分かっている。先程、彼女を姫様と呼んでいたではないか。それに貴方達の動きは、どう考えても護衛しているようにしか見えぬ」
男性はガーグ老へ、演技する必要はないと言いたいみたいだな。
まぁ偽花嫁だと分かった時点で、結婚も偽装だと分かるだろう。
妻を姫様と呼ぶ夫はいないし、演技が出来ない影衆達の行動はモロバレだ。
「確かに結婚は偽装よ。アシュカナ帝国の王から、娘が狙われていたから仕方なくね」
「姫様と呼ばれていたが、エルフの王女でいらしたか。先程は失礼な態度を取り本当に申し訳なかった」
妹さんの事がなければ、男性の態度は好感が持てるが……。
本来は礼儀正しい性格なんだろう。
俺は謝罪を笑顔で受け取った。
「まずは治療に向かいます。ケスラーの民は何処に住んでいるの?」
カルドサリ王国がある大陸じゃなければ、移動に時間が掛かる。
ガルムや麒麟で向かうより竜の方が早い。
「南大陸に集落がある。自己紹介が遅れてすまない。私の名はハイド・ケスラー。族長の息子だ」
あぁ、一族を束ねる族長の息子なのか。
若いが堂々とした態度に納得する。
「私はヒルダよ。ええっと、エルフの王女で合ってるわ。一緒にいるのは、夫と娘の契約竜と護衛達よ」
「……」
ハイドと名乗る男性は、俺の言った言葉に沈黙してしまった。
すると響が口を開く。
「夫のロッセル・カーランドという。カルドサリ国王であったが、既に隠居の身だ」
王女の結婚相手だからか、身分を明かしたらしい。
俺は響としか呼ばなかいから、国王時代の名前をすっかり忘れていた。
「聖竜のセイです」
竜族のセイは属性も併せて名乗る。
「竜族の方にお会い出来るとは光栄です。カルドサリ王国は人族の国だと聞いていたが……」
ハイドは滅多に姿を現さない竜族のセイへ頭を下げ恐縮し、まだ隠居するには早い響の姿を見ながら怪訝そうな顔をしていた。
「ヒルダ様。南大陸へ向かうなら時間が掛かります。私が本体に戻りましょう」
「聖。精霊王から、戻らない方がいいと言われていただろう?」
「あっ、そうでしたね。では兄を呼びます」
ポチとタマを風竜へ変態させるから問題ないと答える前に、セイは雄叫びを上げた。
「ガアアアアア――――」
あまりの音量に耳を塞ぐ。
一体、何処から音を出してるんだ!
音が鳴り止んだ瞬間、真っ赤な生き物が急接近してくる。
遠目から見ても、その姿が非常に大きいと分かった。
徐々にその全貌が明らかになると絶句する。
竜族は竜と、これ程大きさに違いがあるのか!?
「セイ! 呼ぶのが遅いじゃねえか。ちい姫は、とっくに戻ってきてるぞ? おや? ちい姫が大人になってる」
「セキ。その方は、ご主人様の母親のヒルダ様だ。失礼がないようにしろ」
「へえ~。胸は少し小さいけど、そっくりだな! ティーナの契約竜、赤竜のセキだ。よろしく頼むぜ」
目の前に現れた体長50m程ある赤竜から、言葉を掛けられ面食らった。
竜の姿でも普通に話せるのか?
人と同じ声帯をしているとは思えないから、念話に近い能力なんだろう。
そして胸の大きさを比べられた……。
「ティーナの母親のヒルダよ。早速で悪いんだけど、私達全員を南大陸まで運んでくれるかしら?」
「アシュカナ帝国を潰しに行くのか? ちい姫が、そこのバカ王から狙われているんだろう?」
「まぁ、そんなところね。ちょっと他にも問題があって、先にケスラーの民を治療しに行きたいの」
「了解! じゃあ、背中へ乗ってくれ」
娘の契約竜が2匹いたとは驚きだ。
赤竜なら火属性の竜か。
聖竜のセイとは属性が違う兄弟だから、娘が育てたようだ。
娘が魔力を与えている竜の卵のように、両親の属性が違うと孵化するのは難しい。
「姫様の御子は、2匹の竜族と契約していなさるのか……。セイ殿が強い訳が分かったわ」
それまで黙ったままだったガーグ老が、ぽつりと零す。
爺も竜族を見るのは初めてだろう。
唖然としているケスラーの民を促し、その背に従魔から降り移動した。
鱗の一枚一枚が大きい。
内包している魔力も桁違いだ。
俺達が全員背中に乗ったのを確認したセキは、一瞬で南大陸の上空へ移転した。
これは従魔の能力に近い。
契約竜であるセキにも、似たような魔法が使えるらしい。
しかし、セキとセイの名前は娘が付けたのか?
赤竜のセキと聖竜のセイとは、またなんの捻りもないな。
その後、人の姿へ変態したセキと一緒に、ケスラーの民が住んでいる集落へ向かった。
森の中を進み、暫くすると開けた場所に辿り着く。
ケスラーの民は狩猟民族だから町に住んでないんだな。
ハイドの姿を見た一族の者達が、簡易な天幕から次々と顔を出す。
皆、どこかしら負傷していた。
ここには薬師ギルドがないため、ポーション類は入手困難だろう。
「戻ったのか!」
「あぁ、族長に話がある。詳しい事は後で話そう」
俺達は出てきた人々の好奇の目を浴びながら、一際大きい天幕の中に入った。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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男性はガーグ老へ、演技する必要はないと言いたいみたいだな。
まぁ偽花嫁だと分かった時点で、結婚も偽装だと分かるだろう。
妻を姫様と呼ぶ夫はいないし、演技が出来ない影衆達の行動はモロバレだ。
「確かに結婚は偽装よ。アシュカナ帝国の王から、娘が狙われていたから仕方なくね」
「姫様と呼ばれていたが、エルフの王女でいらしたか。先程は失礼な態度を取り本当に申し訳なかった」
妹さんの事がなければ、男性の態度は好感が持てるが……。
本来は礼儀正しい性格なんだろう。
俺は謝罪を笑顔で受け取った。
「まずは治療に向かいます。ケスラーの民は何処に住んでいるの?」
カルドサリ王国がある大陸じゃなければ、移動に時間が掛かる。
ガルムや麒麟で向かうより竜の方が早い。
「南大陸に集落がある。自己紹介が遅れてすまない。私の名はハイド・ケスラー。族長の息子だ」
あぁ、一族を束ねる族長の息子なのか。
若いが堂々とした態度に納得する。
「私はヒルダよ。ええっと、エルフの王女で合ってるわ。一緒にいるのは、夫と娘の契約竜と護衛達よ」
「……」
ハイドと名乗る男性は、俺の言った言葉に沈黙してしまった。
すると響が口を開く。
「夫のロッセル・カーランドという。カルドサリ国王であったが、既に隠居の身だ」
王女の結婚相手だからか、身分を明かしたらしい。
俺は響としか呼ばなかいから、国王時代の名前をすっかり忘れていた。
「聖竜のセイです」
竜族のセイは属性も併せて名乗る。
「竜族の方にお会い出来るとは光栄です。カルドサリ王国は人族の国だと聞いていたが……」
ハイドは滅多に姿を現さない竜族のセイへ頭を下げ恐縮し、まだ隠居するには早い響の姿を見ながら怪訝そうな顔をしていた。
「ヒルダ様。南大陸へ向かうなら時間が掛かります。私が本体に戻りましょう」
「聖。精霊王から、戻らない方がいいと言われていただろう?」
「あっ、そうでしたね。では兄を呼びます」
ポチとタマを風竜へ変態させるから問題ないと答える前に、セイは雄叫びを上げた。
「ガアアアアア――――」
あまりの音量に耳を塞ぐ。
一体、何処から音を出してるんだ!
音が鳴り止んだ瞬間、真っ赤な生き物が急接近してくる。
遠目から見ても、その姿が非常に大きいと分かった。
徐々にその全貌が明らかになると絶句する。
竜族は竜と、これ程大きさに違いがあるのか!?
「セイ! 呼ぶのが遅いじゃねえか。ちい姫は、とっくに戻ってきてるぞ? おや? ちい姫が大人になってる」
「セキ。その方は、ご主人様の母親のヒルダ様だ。失礼がないようにしろ」
「へえ~。胸は少し小さいけど、そっくりだな! ティーナの契約竜、赤竜のセキだ。よろしく頼むぜ」
目の前に現れた体長50m程ある赤竜から、言葉を掛けられ面食らった。
竜の姿でも普通に話せるのか?
人と同じ声帯をしているとは思えないから、念話に近い能力なんだろう。
そして胸の大きさを比べられた……。
「ティーナの母親のヒルダよ。早速で悪いんだけど、私達全員を南大陸まで運んでくれるかしら?」
「アシュカナ帝国を潰しに行くのか? ちい姫が、そこのバカ王から狙われているんだろう?」
「まぁ、そんなところね。ちょっと他にも問題があって、先にケスラーの民を治療しに行きたいの」
「了解! じゃあ、背中へ乗ってくれ」
娘の契約竜が2匹いたとは驚きだ。
赤竜なら火属性の竜か。
聖竜のセイとは属性が違う兄弟だから、娘が育てたようだ。
娘が魔力を与えている竜の卵のように、両親の属性が違うと孵化するのは難しい。
「姫様の御子は、2匹の竜族と契約していなさるのか……。セイ殿が強い訳が分かったわ」
それまで黙ったままだったガーグ老が、ぽつりと零す。
爺も竜族を見るのは初めてだろう。
唖然としているケスラーの民を促し、その背に従魔から降り移動した。
鱗の一枚一枚が大きい。
内包している魔力も桁違いだ。
俺達が全員背中に乗ったのを確認したセキは、一瞬で南大陸の上空へ移転した。
これは従魔の能力に近い。
契約竜であるセキにも、似たような魔法が使えるらしい。
しかし、セキとセイの名前は娘が付けたのか?
赤竜のセキと聖竜のセイとは、またなんの捻りもないな。
その後、人の姿へ変態したセキと一緒に、ケスラーの民が住んでいる集落へ向かった。
森の中を進み、暫くすると開けた場所に辿り着く。
ケスラーの民は狩猟民族だから町に住んでないんだな。
ハイドの姿を見た一族の者達が、簡易な天幕から次々と顔を出す。
皆、どこかしら負傷していた。
ここには薬師ギルドがないため、ポーション類は入手困難だろう。
「戻ったのか!」
「あぁ、族長に話がある。詳しい事は後で話そう」
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