自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
645 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第768話 迷宮都市 摩天楼のダンジョン(101階~110階) 他国に繋がる移転陣

「ここを調べてみましょ。私の予想ではダンジョンじゃなく、別の場所に移転したんだと思う。もしかしたら他国の可能性もあるわね。住人に話し掛ければ何処どこか分かるんじゃないかしら?」

「言葉が通じるといいけど……。私が話そう。姉さんは、もし敵対行動を取られた場合、逃げてくれ」

「容姿を見る限り、普通の人間に見えるから大丈夫よ。帝国人の特徴はないわ。アシュカナ帝国じゃない事だけは確かね」

「それでも用心した方がいい」

 あかねはそう言うと、ダイアンに方角を指示し人がいる地上へと降りていく。
 その後ろをシルバーに付いていかせる。
 茜は畑が広がる場所を選んだようだ。
 野菜の収穫をしている女性に笑顔で話し掛ける。

「こんにちは、少し話をいいかな? 他国から来たので、この辺りの地理を教えてほしい」

 どうやら男性と間違えているみたいで、妹を見た女性が頬を染める。
 そして言葉は通じているようだ。

「ええ、喜んで。ここはエンカの町よ。貴方は冒険者でしょ? 大型ダンジョンへ潜りに来たのね。ドワーフの国だから、良い武器も沢山あるわ。あぁ、でも残念ね。国一番の名匠めいしょうでもあるシュウゲン王は、他国に行ってしまい不在なの」

 ちょっと待った!
 ドワーフの国というのも驚いたけど、シュウゲン王って祖父の事!?
 
「あぁ、それは残念だ。是非ぜひ、シュウゲン王の鍛えた剣が欲しかったな」

「あの方は別大陸にいらっしゃるから、会うのは難しいと思うわ」

「どの国にいるんだい?」

 茜は祖父の名に表情を変えず、確認するため質問を続ける。

「確か今は、カルドサリ王国だったはずよ。数百年前、妻を探しに行くと言ったきり国へは戻っていないの」

「カルドサリ王国か……、教えてくれてありがとう」

 あぁ、これは決定だ。
 シュウゲンさんは、王だと何故なぜ黙っていたんだろう?
 それに、北大陸からカルドサリ王国まで来た方法が気になる。
 もしかして、ドワーフ国のダンジョンにも同じような移転陣があるのかも?
 後で話を聞いてみよう。 

「あのっ、一緒にいる女性は恋人ですか?」

 この女性は積極的だなぁ。
 最初に恋人の有無を確認するとは……。
 偽装とはいえ、茜には旦那さんがいるけどね。

「私の姉だよ」

「姉!? あぁ種族が……。この町にあるダンジョンは100階層を超えると言われてるから、攻略するまでしばらく滞在されますよね?」

「一度潜ってしまえば半年以上は帰還しないと思う」

 寂しそうな表情をした女性にお礼を伝え、妹はさっさとダイアナに騎乗してしまう。
 向けられた好意に気付いてないのかしら?
 私もその場を後にした。
 それにしても、国だけじゃなく大陸が違うとは思わなかった。
 
「ドワーフの国とは予想外だ。しかも祖父は、この国の王だったらしい。長い間、王が不在の状態で問題ないんだろうか?」

「驚いたわよね~。シュウゲンさんはサヨさんを探していたみたい。一応、居場所も伝えているようだしドワーフの王は鍛冶の腕が重要なのかも? 101階層の場所は分かったけど、この分だと102階層も他国の可能性が高いわね。きっと近くに大型ダンジョンがある場所へ移転するんだと思うわ。この移転陣を上手く使えば、別大陸へ簡単に行けそう」

「全ての移転先を調べる必要があるな。中には南大陸のアシュカナ帝国につながる階層もありそうだ」

 この移転陣を使用すればマッピングより距離が稼げる。
 私達は再び小屋に戻り、摩天楼ダンジョン99階へ移転した。

「茜。この小屋は、他の人に見えないと思う。多分ベヒモスを討伐した私達だけしか入れないし、宝箱と同じ仕様になってるんじゃないかしら?」

 実際倒したのは私だけど、パーティーを組んでいた茜も対象者になったんだろう。
 
「父さん達が戻ってきたら、その辺りは確かめよう。この隠し部屋の件は、正直に報告した方がいい。他の大型ダンジョンにも移転陣があるかも知れない」

「そうね。隠しておくには事が大きすぎるわ。戻ってくるまで何処どこへ繋がっているか、出来るだけ多く調べておきましょ」

「あぁ、そうしておこう」

 その後、時間ぎりぎりまで繋がっている階層先に移転を繰り返す。
 結果、分かったのは101~110階層は北大陸にあるそれぞれの国だった。
 111階層から先は、また別大陸かも知れない。
 31階の安全地帯へ戻り、何事もなかったようにテント内で兄達の帰りを待つ。

「沙良、機嫌がよさそうだな。何かいい事でもあったか?」

 私を見た瞬間、鋭い兄から突っ込まれあせってしまう。
 
「姉さんと土曜日、出掛ける予定なんだ。今から楽しみにしてるんだろう」

 茜がすかさずフォローをして兄の疑問を受け流すと、

「えっ? 2人で外出するの? 俺も一緒に行きたい!」

 旭が横から口を挟み手を挙げる。

「こら、妹達の邪魔をするな」

 兄は旭が挙げた手をつかみ降ろさせた。
 恨めしそうな表情をして兄を見つめる旭には悪いけど、2人で色々調べたいから付いてこられると困る。

「ごめんね、女同士で行きたい場所なの」

「そうなの? じゃあ、また今度一緒に出掛けようね」

 兄と仲良くジムでも行って下さい。
 シュウゲンさんを実家に送り届け、迷宮都市ダンジョン15階の安全地帯へ戻った。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇