自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第783話 迷宮都市 地下16階 アマンダさんからの依頼 1 驚きの依頼内容

 旭が治療代の金貨18枚(1千8百万円)を受け取り戻ってきた。
 隣には腕を組み、プリプリと怒っているしずくちゃんの姿がある。
 新しい階層に来たばかりなので、旭が兄と結婚してるのを知らない冒険者もいるんだろう。
 ホームに戻り実家で昼食を食べる。
 地下17階に生る果物の報告をすると、兄の目が輝いた。
 
「マスクメロンか、それは楽しみだ。幾つ生っていたんだ?」

丁度ちょうど、30個だったよ。食後に食べてみよう!」

 母の作ってくれた天丼を食べ終わり、皆へ収穫したマスクメロンを見せる。
 スイカサイズの大きさに、雫ちゃんが手を叩き喜んでいた。
 1個を人数分に切り分けても充分の量がある。
 半分に切ると思った通り種がなかった。
 余程、以前のダンジョンマスターは種が嫌いだったらしい。
 種の部分も身になっているから得した気分だ。
 母が切り分けたマスクメロンにスプーンを入れ一口食べる。

「ダンジョン産の果物は、本当に甘くて美味しいわね」

「毎日でも食べたいくらいだよ!」

 甘い物が好きな旭は、両手で持ちかぶり付いていた。
 兄は頬をゆるませ味わってる。
 私も食べてみよう。
 うん、高級メロンの味だね。
 毎日採取すれば5日間で150個。
 いや~、迷宮都市のダンジョンは本当に最高!

 午後からいつきおじさんを連れて、摩天楼まてんろうダンジョン32階へ移動した。
 あかねとテント内で待機しながら、魔物を倒しアイテムBOXに収納。
 2回の攻略を終えるまで、妖精さん達の好きなショードブレッドを焼き上げた。
 テントへ戻ってきた旭が匂いに気付き、お菓子を催促する。
 夕食前なので1本だけ渡してあげた。
 そろそろ店用の木の実を収穫しようかな?

 樹おじさんをホームへ帰し、迷宮都市ダンジョン地下16階の安全地帯に戻ると、雫ちゃんのお母さんが怪我人の治療をしていた。
 また、ソルジャーアントの頭を足に付けた男性冒険者か……。
 旭より基礎値が高くHPも多いお母さんが、普通に魔物の口を外したのを見た冒険者達が驚きの声を上げる。
 見た目は可愛らしい少女なのに、大人の男性冒険者でも無理な事をしたのはまずい気が……。
 いや、もう今更か?
 優秀な治癒術師がいるうちのパーティーが何をしても、冒険者達は口をつぐんでくれるだろう。
 近くにいたアマンダさんとダンクさんのパーティーは苦笑しているし。
 樹おじさんが不在にしているからか、治療を受けた冒険者がお礼をしたいと申し出る。
 
「私、夫がいるのよ。治療代だけ受け取るわ」

 にっこりと笑い、サービスを断っていた。
 その夫は現在女性になってるけどね。
 夕食を2パーティーと共にし、食後に地下17階で採取した苺をひとつずつ渡す。
 
随分ずいぶん、大きな苺だね。これはダンジョン産の果物かい?」

「はい、地下17階で採れた物です」

 果物好きなアマンダさんが、嬉しそうに口一杯頬張っていた。

「こりゃ甘い!」

 ダンクさんが食べた感想を口にする。
 大きな果肉は皮をく必要もないし食べやすい。
 手間が掛からない果物は、料理担当者に喜んでもらえるだろう。
 子供達も好きそうな味だ。
 リリーさんもニコニコしながら食べている。
 昼食にマスクメロンを食べた茜は、もう甘い物が入らないのか旭に渡していた。 
 珍しく優しい態度を取られ、旭が恥ずかしそうにしている。
 2人の仲は少し改善されたのかな?

「サラちゃん、相談がある。テントに来てくれないかい?」
 
「いいですよ」

 アマンダさんに言われて、何の話だろうかと思いつつ席を立つ。
 テントの魔石に血を登録し中へ入った。
 
「食後に悪いね。実は……依頼したい件がある。一度、国に戻る必要が出来たんだ。2人一緒に来てほしい」

 非常に簡潔なお願いだけど、私は言われた意味がよく分からず首をかしげる。
 迷宮都市のあるリザルト公爵令嬢のアマンダさんは、カルドサリ王国の貴族だ。
 国に戻るとは言わないだろう。
 それに2人とは誰の事?

「あの、アマンダさんの実家はリザルト公爵領ですよね?」
   
「いや、私はリザルト公爵の娘じゃない。母方の親戚ではあるけど、出身はエンハルト王国なんだ」
 
 え!? そうなの?
 エンハルト王国は確か同じ西大陸の国だ。
 世界地図で見た覚えがある。
 カルドサリ王国とは隣接していない海側だったような……。

「ええっと何故なぜ、私がそのエンハルト王国へ帰るのについて行く必要があるんでしょう?」

「依頼理由はサラちゃんの母親に関係している。ミサコさんではなく、実の母親へ連絡を取りたい。彼女は独身だといいんだが……。あ~、婚約者を連れて来いと言われてね。国を出たのは結婚相手を探すためでもあったから、親がしびれを切らせたらしくて……。ちょとその身分も必要だし、相手がいると分かれば親もしばらく待ってくれると思うんだ。勿論もちろん、依頼料は払う」

 うん? 婚約者が必要なのか……。
 しかも樹おじさんを選ぶとは、アマンダさんは女性が好きだったようだ。

「お母さんに、アマンダさんの婚約者だと振る舞ってほしいという意味ですか?」

「あぁ、そうだ。顔を見せるだけでいい」

 それは……非常に困ったな。
 アマンダさんが実の母だと思っているのは、女性化した樹おじさんだ。
 妻や子供も2人いる。
 彼女には日頃お世話になっているから、可能なら依頼を受けてあげたいけど……。

「……直ぐには返事が出来ないので、お母さんに聞いてみますね」

 私は予想外の相談内容に頭を悩ませ、返事を保留した。

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