自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第784話 迷宮都市 地下16階 アマンダさんからの依頼 2 メンバーへの報告

 テントから出て皆の所に戻ると、難しい表情をした私に気付いた兄が小声で問い掛ける。

厄介やっかい事か?」

「うん、少し複雑な相談だった。戻ってから話すよ」

 当事者がいない場で話す内容じゃないので、メンバーを連れホームの実家に行く。
 いつきおじさんは実家で母の料理を食べていたから、そのまま帰らず残ってもらった。

「ええっと、アマンダさんから依頼があったんだけど……。彼女はリザルト公爵令嬢じゃなかったみたい。エンハルト王国の出身なんだって」

「エンハルト王国?」

 兄が聞いた事もない国名に驚いた表情を見せる。
 うん、私もずっとカルドサリ王国の貴族だと思っていたからね。
 何故なぜ、出身を秘密にしていたのか分からないけど……。

「確か、その国の王女が数百年前リザルト公爵に嫁いできたんじゃないか?」

 伯爵のかなで伯父さんが補足説明をしてくれた。
 あぁ母方の親戚とは、そういう意味か。
 じゃあ、アマンダさんはエンハルト王国でも高い身分なんだろう。
 貴族だから庶民とは結婚出来ないし、見た目がエルフの樹おじさんなら大丈夫だと思ったのかな?
 エルフの身分制度は詳しくないけど、ガーグ老が姫様と言っていたからヒルダさんは王女で間違いない。

「母方の親戚だと言ってました。カルドサリ王国へは結婚相手を探しに来たらしく、親から婚約者を連れてこいと言われたそうです。相手を見せるため一度国に帰る必要があって、その相手に……」

「まさか、お前に来いと!?」

 以前アマンダさんから冗談っぽく、お嫁に来てほしいと言われた件を覚えている父が声を上げる。

「私じゃなくて……。樹おじさんに、お願いしたいそうだよ?」

「はああぁ~!? 俺かよ!」

 突拍子もない依頼内容を聞いて、樹おじさんが驚き絶叫した。
 
「私の実の母と紹介したから、女性だと思ってるみたいだけど……。即答はせず、返事は保留にしたの。行くかどうかは、おじさんが決めてね。あっ、その場合は私も同行する必要があるそうだよ」

「いや、そりゃどう考えても無理だろう。俺は既に結婚してるし……」

勿論もちろん、本当の結婚相手じゃなく、婚約者のフリをしてほしいんだと思う。依頼料も払うって」

「そもそも、樹おじさんが女性化出来るのは50日間だけだろ? 他国へ行くのに、往復を考えたら期間が足りないんじゃないか?」

 兄がそう意見を述べる。
 世界地図を見た限り馬車移動じゃ間に合わないだろうなぁ。
 ワイバーンなら、1日でどれくらいの距離を移動出来るんだろう?

「あぁ、それは多分問題ないと思う。アマンダ嬢は……」

 言いかけた樹おじさんが黙り込む。
 何かを察したシュウゲンさんが話題を変えた。

「エンハルト王国なら青龍がおる国だの。国中に運河が張り巡らされて、非常に美しかったぞ」

 長生きをしているドワーフのシュウゲンさんは、エンハルト王国へ行った事があるようだ。
 そして青龍がいるらしい。
 西大陸なのに? 四神なら白虎が定番なんだけどなぁ~。
 
「あぁ青竜王がいましたね」

 青龍の言葉にセイさんが反応を示す。
 すると今度はセイさんの言葉に、父と樹おじさんが顔を見合わせた。
 青龍と青竜王の違いは何? そして水竜とは違うの?
 それまで黙ったまま、話を聞いていた雫ちゃんのお母さんが口を開いた。

「あなた。一度、詳しい事情をアマンダさんから聞いてみたら? 依頼料も払ってくれるそうだし」

 おや? 一番反対すると思っていたのに、妙に乗り気だな。
 女性化した樹おじさんを見たくないんだろうか?
 夫が私そっくりでそばにいたくないとか?
 夫婦の事はよく分からないけど、お互い別人になって妙な気分だったりするのかしら?

「えっ? それじゃ約束は……」

「あら、散々さんざん人を待たせておいて自分の都合を優先させるの?」

「いや、別にそういう訳じゃないんだけど……。折角せっかくだし痛くない方が……」

「あなた、子供達の前よ?」

「すみません」

 2人の会話がさっぱり理解出来ない。
 母と父はあきれた表情をし、シュウゲンさんはニヤニヤ笑っている。
 あかねはぷっと吹き出していた。
 奏伯父さんは、何とも言えない顔をしてるような?
 気になり兄にどういう意味か尋ねると、お前は知らなくてもいいと言われた。
 この場で分からなかったのは、セイさんとしずくちゃんと旭だけのよう。
 3人共、私と一緒できょとんとしている。
 
「じゃあ、依頼を受けてきてね!」

 どうしてそんな結論になったのか……。
 樹おじさんがエンハルト王国へ行くのは賛成のようだ。
 
「いや、沙良が一緒に行くなら俺も同行しよう」

 当然、過保護な兄がついてくると言う。

「それなら私も行きましょう」

 続いてセイさんが、

「心配だから私も行くよ」

 更に茜まで来るらしい。
 父は口を開こうとして、母ににらまれ何も言えなかったようだ。
 最近、勝手な行動を取ったばかりだからね~。
 また他国へ行くのは母が許さないだろう。

「明日、アマンダさんに聞いてみるね」

 樹おじさんの意見は尊重されず、婚約者のフリをする事が決定した。
 大丈夫かな……。
 何だかとても不安に感じるのは気の所為せいかしら?

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