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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第788話 エンハルト王国 アマンダさんからの依頼 6 青龍の巫女
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女王の話に、娘の立場として何と答えたらいいんだろう?
ヒルダさんは、カルドサリ国王と結婚してるから別に女性が好きだったわけじゃないと思うんだけど……。
胸元にお金を入れたのは、男性の真似をしたのかも?
金貨1枚(100万円)なら300年前でも大金だ。
ここは好意的に考え美談にしておこう。
「母は、酒場の女性達へ支援をしていたのですね」
「ええ、そうなのよ!」
私の言葉に、樹おじさんが即答する。
「まぁ、そうでいらしたのですか? 文献の記述を見て、てっきり……」
女王は途中で口を閉ざし、息子を見遣った。
ヴィクターさんが口元を引き攣らせている。
女装する必要はなかったと言ったも同然だから、ショックを与えてしまったかしら?
動揺する私達に、巫女が到着した知らせが入る。
よし! この話は終了しよう。
「お入りなさい」
女王が入室許可を与えると、扉が開き若い少女がしずしずと入ってきた。
その瞬間、全身が総毛立つ。
私は即座に、シルバーとフォレストをアイテムBOXから出して身構えた。
反応した茜もダイアンとアーサー達を出す。
セイさんは大槍を手に持ち、私を庇うよう前に立った。
兄は私達の動きを察知して、発動前のライトボールを幾つか空中に浮かべる。
いつの間にか、ポチとタマが樹おじさんの両肩に乗っていた。
女王と会談中、壁際で待機していたガーグ老と女官長達が、それぞれ得物を取り出し樹おじさんと私を守るため傍にくる。
臨戦態勢を取る私達を見て、女王とヴィクターさんが訝し気な表情をした。
「どうかされましたか?」
「その者は、巫女ではありません! 2人とも危険ですから離れて下さい」
聖獣に仕える巫女が、こんな禍々しい気配をしているとは思えない。
ダンジョンに出現するアンデッドが纏う気配に近いものを感じる。
私の言葉に巫女が顔を上げ、正面から見つめ返してきた。
「もう正体がバレちゃったのか。この国の巫女に成り代わったばかりなのに残念だなぁ。お前の所為で、計画が台無しだよ!」
少女だった者は顔を歪め、たちまち姿を変える。
青年となり、頭には2本の短い角が生えていた。
初めて見る種族の筈なのに、何故か嫌悪感が湧く。
巫女が別人だと知り、女王とヴィクターさんは距離を取った。
「ちっ、魔族か! 簡単な依頼で終わりそうにないな……。セイ、娘を頼む!」
樹おじさんが、変化した巫女の姿を見て舌打ちする。
魔族?
「エルフの王族がいるとは計算外だ。皆殺しにしてやろう!」
魔族の青年が呪文も唱えず、何かの魔法を発動した。
目に見えない魔法が部屋中にある物を吹き飛ばす。
まるで突風が吹き荒れたかのような惨状になる。
しかし、こちら側に被害はなく、冒険者として高Lvな私達は勿論、ガーグ老達や女官長達は微動だにしなかった。
心配していた女王とヴィクターさんも、青龍の守護があるのか怪我を負った様子がない。
「魔族ってのは魔法頼りで、相手の力量差が把握出来ない馬鹿なのか? ガーグ老、生け捕りにしろ」
「承知!」
樹おじさんは魔族相手に呆れた表情をして、ガーグ老へ指示を出す。
ヒルダさんのフリを忘れてるよ?
「貴様! 俺を愚弄するのか!」
「あ~はいはい、Lv500あるガーグ老に勝てるなら謝ってやるよ」
えっ!? それは私も初耳なんですけど……。
そりゃ私じゃ、どうやっても勝てない筈だわ。
でも茜は、そのガーグ老よりセイさんの方が強いと言ってる。
強さは単純にLvだけじゃないって事なのかしら?
魔族の青年は樹おじさんの言葉を聞き、怯んだように見えた。
そしてくるりと背を向け逃走を図る。
その彼の両足首をガーグ老が手にした双剣で切断した。
足を失った青年は、それ以上立っていられず倒れ込む。
女官長が彼に近付き首へ何かを巻いた。
「魔力封じの首輪を嵌めましたから、もう害はありません」
あぁ、この世界にはそんな物もあるのか……。
以前、王都で誘拐された時は部屋に魔法無効の陣が描かれていたな。
首輪を嵌められ両足を切断された魔族は、苦悶の表情を浮かべ私達を睨みつけている。
「賢也さん。こちらにホーリーを掛けて下さい」
セイさんが、切り落とされた両足を指して兄へ魔法を掛けるようお願いした。
どうしてホーリーを? 言れた兄も不思議そうな顔をしながら、ホーリーを掛ける。
すると、両足はぐずぐずに溶けだして最後は跡形もなく消え去った。
それを見た魔族の青年が、ガタガタと震え出す。
「教会の人間なのか! くそっ、何も聞いてないぞ!」
アンデッドに似ていると思ったのは正解だったようだ。
魔族には、その属性からか光魔法が有効らしい。
「そろそろ、自分の立場が分かったか? あまり位の高い魔族じゃなくて助かったよ。エンハルト王国で何をしようとしていた」
樹おじさんが、巫女に化けていた魔族から話を聞き出そうと尋問を始める。
「……」
まぁ、簡単に口を割りはしないだろう。
沈黙を貫き通す魔族に対して、女王が詰め寄る。
「我が国の巫女は、どこにいる。答えぬか!」
青龍の言葉を聞く巫女が入れ替わっていたのだ。
国にとって大問題が発生していると知り、女王の顔が気色ばんでいる。
ヴィクターさんも怒りを抑えられないのか、青年の胸倉を掴み殴り付けた。
しかしアシュカナ帝国の諜報員同様、素人では話を聞き出せないだろう。
彼らはそういった訓練を受けてるし、いつも真っ先に自害しようとする。
毒を飲まれてしまえば、『毒消しポーション』も与える事が出来ない。
ホーリーが掛けられた『毒消しポーション』は、魔族にとって劇薬だ。
ここは、尋問のプロに任せた方がいいか……。
「茜、よろしくね~」
魅了魔法を使用し話を聞き出してほしいと暗に伝え、ヴィクターさんを引かせた。
Lv200超えである妹の魅了魔法を使わない手はない。
「分かった。私が対応しよう。青龍の巫女の居場所を話せ」
「……既に、別の者が国から連れ去った。行き先は、アシュカナ帝国だと聞いている」
魅了魔法を掛けれた魔族の目は焦点が合っておらず、無表情のまま答え出す。
「お前が巫女に成り代わった時期は?」
「2週間前に依頼を受けた」
聞いた樹おじさんの顔色が変わった。
2週間前なら、樹おじさん達がアシュカナ帝国へ行った時期と重なる。
ケスラーの民は、アシュカナ帝国の王が巫女姫を探してると言っていた。
エンハルト王国の巫女を攫ったのは偶然じゃない。
これは、厄介な依頼になりそう……。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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女王は途中で口を閉ざし、息子を見遣った。
ヴィクターさんが口元を引き攣らせている。
女装する必要はなかったと言ったも同然だから、ショックを与えてしまったかしら?
動揺する私達に、巫女が到着した知らせが入る。
よし! この話は終了しよう。
「お入りなさい」
女王が入室許可を与えると、扉が開き若い少女がしずしずと入ってきた。
その瞬間、全身が総毛立つ。
私は即座に、シルバーとフォレストをアイテムBOXから出して身構えた。
反応した茜もダイアンとアーサー達を出す。
セイさんは大槍を手に持ち、私を庇うよう前に立った。
兄は私達の動きを察知して、発動前のライトボールを幾つか空中に浮かべる。
いつの間にか、ポチとタマが樹おじさんの両肩に乗っていた。
女王と会談中、壁際で待機していたガーグ老と女官長達が、それぞれ得物を取り出し樹おじさんと私を守るため傍にくる。
臨戦態勢を取る私達を見て、女王とヴィクターさんが訝し気な表情をした。
「どうかされましたか?」
「その者は、巫女ではありません! 2人とも危険ですから離れて下さい」
聖獣に仕える巫女が、こんな禍々しい気配をしているとは思えない。
ダンジョンに出現するアンデッドが纏う気配に近いものを感じる。
私の言葉に巫女が顔を上げ、正面から見つめ返してきた。
「もう正体がバレちゃったのか。この国の巫女に成り代わったばかりなのに残念だなぁ。お前の所為で、計画が台無しだよ!」
少女だった者は顔を歪め、たちまち姿を変える。
青年となり、頭には2本の短い角が生えていた。
初めて見る種族の筈なのに、何故か嫌悪感が湧く。
巫女が別人だと知り、女王とヴィクターさんは距離を取った。
「ちっ、魔族か! 簡単な依頼で終わりそうにないな……。セイ、娘を頼む!」
樹おじさんが、変化した巫女の姿を見て舌打ちする。
魔族?
「エルフの王族がいるとは計算外だ。皆殺しにしてやろう!」
魔族の青年が呪文も唱えず、何かの魔法を発動した。
目に見えない魔法が部屋中にある物を吹き飛ばす。
まるで突風が吹き荒れたかのような惨状になる。
しかし、こちら側に被害はなく、冒険者として高Lvな私達は勿論、ガーグ老達や女官長達は微動だにしなかった。
心配していた女王とヴィクターさんも、青龍の守護があるのか怪我を負った様子がない。
「魔族ってのは魔法頼りで、相手の力量差が把握出来ない馬鹿なのか? ガーグ老、生け捕りにしろ」
「承知!」
樹おじさんは魔族相手に呆れた表情をして、ガーグ老へ指示を出す。
ヒルダさんのフリを忘れてるよ?
「貴様! 俺を愚弄するのか!」
「あ~はいはい、Lv500あるガーグ老に勝てるなら謝ってやるよ」
えっ!? それは私も初耳なんですけど……。
そりゃ私じゃ、どうやっても勝てない筈だわ。
でも茜は、そのガーグ老よりセイさんの方が強いと言ってる。
強さは単純にLvだけじゃないって事なのかしら?
魔族の青年は樹おじさんの言葉を聞き、怯んだように見えた。
そしてくるりと背を向け逃走を図る。
その彼の両足首をガーグ老が手にした双剣で切断した。
足を失った青年は、それ以上立っていられず倒れ込む。
女官長が彼に近付き首へ何かを巻いた。
「魔力封じの首輪を嵌めましたから、もう害はありません」
あぁ、この世界にはそんな物もあるのか……。
以前、王都で誘拐された時は部屋に魔法無効の陣が描かれていたな。
首輪を嵌められ両足を切断された魔族は、苦悶の表情を浮かべ私達を睨みつけている。
「賢也さん。こちらにホーリーを掛けて下さい」
セイさんが、切り落とされた両足を指して兄へ魔法を掛けるようお願いした。
どうしてホーリーを? 言れた兄も不思議そうな顔をしながら、ホーリーを掛ける。
すると、両足はぐずぐずに溶けだして最後は跡形もなく消え去った。
それを見た魔族の青年が、ガタガタと震え出す。
「教会の人間なのか! くそっ、何も聞いてないぞ!」
アンデッドに似ていると思ったのは正解だったようだ。
魔族には、その属性からか光魔法が有効らしい。
「そろそろ、自分の立場が分かったか? あまり位の高い魔族じゃなくて助かったよ。エンハルト王国で何をしようとしていた」
樹おじさんが、巫女に化けていた魔族から話を聞き出そうと尋問を始める。
「……」
まぁ、簡単に口を割りはしないだろう。
沈黙を貫き通す魔族に対して、女王が詰め寄る。
「我が国の巫女は、どこにいる。答えぬか!」
青龍の言葉を聞く巫女が入れ替わっていたのだ。
国にとって大問題が発生していると知り、女王の顔が気色ばんでいる。
ヴィクターさんも怒りを抑えられないのか、青年の胸倉を掴み殴り付けた。
しかしアシュカナ帝国の諜報員同様、素人では話を聞き出せないだろう。
彼らはそういった訓練を受けてるし、いつも真っ先に自害しようとする。
毒を飲まれてしまえば、『毒消しポーション』も与える事が出来ない。
ホーリーが掛けられた『毒消しポーション』は、魔族にとって劇薬だ。
ここは、尋問のプロに任せた方がいいか……。
「茜、よろしくね~」
魅了魔法を使用し話を聞き出してほしいと暗に伝え、ヴィクターさんを引かせた。
Lv200超えである妹の魅了魔法を使わない手はない。
「分かった。私が対応しよう。青龍の巫女の居場所を話せ」
「……既に、別の者が国から連れ去った。行き先は、アシュカナ帝国だと聞いている」
魅了魔法を掛けれた魔族の目は焦点が合っておらず、無表情のまま答え出す。
「お前が巫女に成り代わった時期は?」
「2週間前に依頼を受けた」
聞いた樹おじさんの顔色が変わった。
2週間前なら、樹おじさん達がアシュカナ帝国へ行った時期と重なる。
ケスラーの民は、アシュカナ帝国の王が巫女姫を探してると言っていた。
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