自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第809話 迷宮都市 地下16階 アマンダさんへの報告とお礼の指輪&摩天楼ダンジョン(31階・32階)

 異世界の家からガーグ老の工房へ向かういつきおじさんと別れたあと、私達は地下16階のテントに移転して外に出る。
 朝食を食べていたアマンダさんとダンクさんのパーティーに挨拶して、メンバーが安全地帯から出るのをあかねと見送った。
 青龍の巫女の件を報告するためアマンダさんを手招きしたら、彼女が直ぐに気付きやって来る。

「少し、お時間いいですか?」

「あぁ丁度、私からも話があったんだよ。テントの中に入ろう」

 そう言って私達のテントへ移動し中に入った途端、アマンダさんが膝を突き大きく肩を震わせた。
 あっ、もしかして青龍の巫女が国に戻ったと連絡が入ったのかしら?
 この国では禁制品だけど、ガーグ老から貰った念話の魔道具を第二王子の彼も持っているかも知れない。

「あの、アマンダさん。実は……」

 巫女の件を報告しようと口を開く前に、アマンダさんは顔を上げ話し出す。

「サラちゃんが青龍の巫女を助け出してくれたと聞いた。本当に、なんとお礼を言っていいか……」

「私が気になり勝手にした事ですから、お礼は不要です」

 あぁ、やはり連絡が入っていたようだ。
 それに今回はリスクを回避して、自分では動かずルシファーの父親に依頼したから全く大変じゃなかったしね。
 まぁ、その前にルシファーの爵位を上げる手間は掛かったけど、それも相手の魔族が高位だったため無駄に終わってしまった。

「いや、我が国の巫女を魔族が連れてきたなら、契約にかなりMPが必要だったと思う」

 巫女から魔族に助け出されたと聞いているのか……。
 実際、魔王との契約にはMPが1,000掛かったので、普通の人間なら契約も出来ないだろうなぁ。
 ここで本当の事を言う必要はないし、適当に誤魔化しておこう。
 
「大丈夫ですよ。ほら、青龍の巫女に化けていた魔族がいたでしょう? 彼と仲良くなったので、契約の魔力は少なく済みましたから」

「そうは言っても、何もお礼しないわけにはいかない。どうか、これを受け取ってほしい」

 アマンダさんから差し出されたのは、深い藍色をしたキラキラと輝く、とても綺麗な装飾をほどこされた指輪だった。
 素材は何で出来ているのかな? 
 見ただけで高そうだと分かる指輪を受け取ってもいいものか迷っていると、アマンダさんが立ち上がり私の右手に触れる。
 その指輪を彼女がめようとしたところ、無言で見ていた茜が隣から奪い取った。

「姉さんは槍を使用するから、指に装飾品は付けないんだ。これは受け取るが嵌める機会は、ないと思った方がいい」

「期待も、させてくれないとは……。サラちゃんの指に合うはずだから、いつかしてくれるのを願ってるよ」

 茜が持っている指輪にちらりと視線を向け、アマンダさんはそう言い残しテントから出て行った。
 彼女がいないくなった瞬間、茜が大きな溜息をこぼす。

「姉さん。お礼と言って渡された指輪なんか、気軽につけちゃ駄目だよ。特に男性・・からは注意した方がいい」

 アマンダさんがエンハルト王国の第二王子であると知っている茜から忠告され、特別な感情があったのかしらと思い当たる。
 出会ってからずっと女性だと思っていたアマンダさんを、男性と認識するのは難しい。
 迷宮都市では女性姿になっているから尚更だ。
 以前、お嫁に来てほしいと冗談めいた口調で言われた事があるけど……。
 あの時は男性だと知らなかったしね。
 ひょっとして、本気だったのかしら?
 本来の姿に戻ったアマンダさんは、格好よくて割と好みのタイプだった。
 でも異世界の人と恋愛するのは、諸々秘密を抱えた私には無理!

「これからは気をつけるよ。一応、私宛に貰った物だから指輪を返してくれる?」

「渡すのは嫌だけど、絶対つけないで!」

「あははっ、もう茜は心配性だなぁ~」

 渋々、茜から渡された指輪をアイテムBOXに収納して、私達も安全地帯を出た。
 地下17階の果物を採取したあと、ふとシーリーの名付けした事を思い出す。
 もしかしてテイムされたんじゃないかと、あわててステータス画面を確認すると従魔の表記はなかった。
 竜は魔物とは違って、テイムされないのかな? それとも私のMPが足りないだけ?
 疑問に思いつつ、地下12階へ移動して槍のLv上げにはげんだ。
 
 3時間後、地下16階の安全地帯へ戻りホームの実家で昼食を済ませる。
 シーリーの様子が気になり母に尋ねると、あれからずっと眠ったままらしい。
 人間の赤ちゃんも、生まれたばかりの頃は寝ている時間が多いからね。
 シュウゲンさんのマントの上で、すやすや眠っているシーリーを起こさないよう寝顔を見つめ温かい気持ちになった。
 この小さな子竜は、私が立派に育てよう!
 
 午後から迷宮都市を攻略するメンバーを地下15階へ送って、樹おじさんをガーグ老の工房に迎えに行き、摩天楼まてんろうダンジョン31階へ移転する。
 兄がLvを100まで上げるため、今日は32階へ向かうと言う。

「1ヶ月間、攻略しなくていいの?」

「あぁ、これからは1週間毎に階層を上がる心算つもりだ」

 それなら、かなり早く99階へ辿たどり着きそうなので、私もベヒモスを探しておかないとまずい。
 土曜日は、99階から行けるダンジョンを攻略してみよう。
 31階から32階へ従魔に乗って駆け抜ける途中、出現した魔物は兄と旭が積極的に倒していた。
 32階の安全地帯にマジックテントを設置後は、茜とテント内にこもりポーションやエーテルを飴にする。
 1時間後、父がテント内に入ってきた。
 いつもは、休憩時間になるまで戻らない父を不思議に思い声を掛ける。

「お父さん、どうかしたの?」

賢也けんやがLv上げを急いでいるみたいだから、魔物を譲ってやろうと思ってな」

「へぇ~、そうなんだ」

 てっきり、茜と私がテント内にいるか確認するため来たんだと思ったよ。
 前科があるから、そうされても仕方ないし……。
 ベヒモスを倒してLvが上がった今は、内緒で行動する必要がない。

「あ~、ポーションを飴にしていたのか。味が気に入ったから、分けてくれないか?」

 それほど甘い物は好きじゃない父が、テーブルの上に置かれたポーション瓶から視線をそららさず聞いてきた。

「いいけど、1個だけね」

「おお、そうか! じゃあ、これを貰おう!」

 鑑定したのか、一番効果のあるエクスポーションが飴になった瓶を手にして、取り出そうとかたむける。
 ポーション瓶の入口の径より大きい飴は出ないため、何度も瓶を逆さに振っている姿に笑ってしまう。

「かして」

 父からポーション瓶をもらい、ウィンドボールで瓶を半分に切り返してあげた。

「沙良は、魔法を器用に使うな。ところで、アマンダ嬢には巫女の件を上手く伝えられたか?」

「うん。話す前に、国から連絡があったのか知っていたみたいだけどね」

「姉さんは、お礼に指輪を渡され指に嵌められそうになってたよ」

「何!? どんな指輪だ!」

 突然、大声を上げる父に驚きながら貰った指輪をアイテムBOXから出した。

「これは……。沙良、いいか絶対に嵌めるんじゃない」

 指輪を見た父が顔色を変え、茜と同じ台詞せりふを言う。
 アマンダさんから、お礼だと受け取った指輪には何か別の意味がありそうだ。

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