自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
692 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第815話 迷宮都市 結界魔法のLv上げ&黒竜の召喚

 眠ってしまったシーリーをサヨさんに任せ、転移組は結界魔法のLv上げをしよう。
 シュウゲンさん、しずくちゃん、かなで伯父さんを残して、ホーム内にある広いグラウンドへ移動した。
 
「ファイト・カンガルーをテイムした時に、摩天楼まてんろうダンジョンの魔物から結界魔法を習得したの。皆も覚えてほしいから、魔物を出すね」

「結界魔法か、それは役に立ちそうだな」

 新しい魔法を聞いて、兄がやる気を見せる。
 私はアイテムBOXから蛍光ピンクのゴリラを出し魅了みりょうしたあとで、まだ習得していないメンバーに結界魔法を掛けてくれるようお願いした。
 
「派手な色をしたゴリラだね~」

 見た事もない色合いをしたゴリラを見て旭が目を丸くし、早崎さんは驚いたのかっている。
 兄に瞬殺される前に魅了を解除し、さっさとアイテムBOXへ収納しておこう。
 
「沙良、今のゴリラはテイムしてないんだよな?」

 兄がジト目で私に視線を向け確認してきた。

「うん! ちゃんと魅了を解除したから大丈夫!」

 テイム魔法に魔力が必要だと知っている兄は、従魔を増やす事に対しかなりうるさい。
 ゴリラは騎獣に向かないから、私もテイムしようと思ってないよ。

「あら、そうなの? 残念ねぇ。沙良がテイムしないなら、私がしようかしら?」

 話を聞いていた母が口を挟み、もう一度出してほしいと言う。
 母は迷宮タイガーのボブしか従魔がいないから、魔力的には問題ないけど……。
 嫌な予感がしたのか父が尋ねた。

美佐子みさこ、ゴリラだぞ?」

「両手が使えるし、力仕事が出来そうでしょ?」

 にっこり笑う母に、父はそれ以上言えず黙り込み小さく肩を落とす。
 母は、一体ゴリラに何をさせる心算つもりなんだろう?
 兄は特に反対しなかったので、私は母の希望通り再びゴリラをアイテムBOXから出した。
 出現した瞬間、母が魅了を掛けゴリラはテイムされる。

「あなたの名前はピンキーよ!」

 うん、色を見て決めたのね……。
 
 魔法 テイム魔法(テイムLv4)
 現在テイム中 プロテクト・ゴリラ(雄)
 【ピンキー】 消費MP300

 母のテイムLvじゃ従魔の詳細なステータスが見られないけど、魔物のLvはテイム者と同じなので50だろう。
 結界魔法が使用出来るのも確認済みだ。
 まぁ、アイテムBOXに入れたままにしておくのは可哀想かわいそうだったし、良かったかな?
 
 皆が結界魔法を習得したので、各自Lv上げを行う。
 母はテイムしたばかりのピンキーと仲良く魔法を掛け合い、楽しそうにしていた。
 私はあかねと組み、何度も結界を破壊されながら張り直す。
 兄と旭は新しい魔法が気に入ったようで、お互いの結界を壊す事に執着している。
 2人はLvに差がないから結界魔法の強さも同じくらいだけど、私と茜の場合は違う。
 槍で思い切り突いても、茜の結界を壊すのは無理だった。
 他のメンバーを見てみると、父と早崎さんを相手にしたセイさんと奥さんを相手にしている樹おじさんの結界は壊れていないみたい。

 3時間後。
 全員の結界Lvが5に上がったので実家へ戻ると、母はピンキーに肥料を担がせこれから畑へ行くらしい。
 ゴリラをテイムした理由は、畑仕事を手伝わせたいからのようだ。
 蛍光ピンクのゴリラを見たシュウゲンさんとサヨさんは苦笑いし、奏伯父さんは絶句していたけどね。
 私は茜とサヨさんを華蘭からんに送り届けて、ガーグ老の工房へ向かう。
 工房の庭では、まだルシファーがガーグ老達にしごかれていた。

「こんにちは~。ゼンさんはいますか?」

「おや? サラ……ちゃん、どうしたのかの?」

「ベヒモスを捕まえるため魔界へ行きたいので、今夜ゼンさんの予定が空いているか聞きに来たんです」

「ゼンは暇だから問題ないわ。一緒に行ける人数は10人だったの。同行者は他に誰がおる?」

 ゼンさんの代わりにガーグ老が答えてくれたけど、大丈夫かしら?

「私達以外に、父、樹おじさん、セイさん、シュウゲンさんを連れて行こうと思ってます」

「なら儂も参加しよう。出発は何時かの?」

「19時頃で、お願いします」
 
「承知した」

 ガーグ老は気軽に請け負うと、ゼンさんを呼んで承諾させた。
 筋トレを続けていたルシファーが魔界に帰れると知り、安堵あんどした表情を見せる。
 朝からお仕置きされ、かなり参っていたんだろうな。

 茜とホームへ帰ったあと、魔界に行くメンバーに話をして夕食後集まってもらう。
 兄と旭は病院で勉強をしているから、多少帰りが遅くなってもバレない。
 父と樹おじさんとシュウゲンさんは、3人で飲みに行くと言い家を出たそうだ。
 異世界の家に移転し、ガーグ老の工房へ従魔に騎乗して向かう。
 工房の庭には疲れ切った様子のルシファーにガーグ老とゼンさんが待っていた。
 
「ルシファー、黒竜はどうやって召喚するの?」

「指輪をこすりながら、魔界へ行きたいと念じればいい」

 そんな簡単な方法なのか……、召喚陣も必要ないらしい。

「じゃあゼンさん、よろしくお願いします」

「はっ!」

 魔王からめられた指輪を擦りながら、ゼンさんが目を閉じる。
 しばらくすると頭上に大きな影が掛かり、黒竜を一目見ようと目を凝らしている間に、その姿がどんどん小さくなって人型へと変化し地上に近付いてくる。
 トンッっと軽い音を立てて降り立ったのは、偉丈夫な高齢の男性だった。
 褐色の肌は艶めいており眼光が鋭い。
 3mはありそうな背丈に圧倒され、私は固まってしまう。

「北東の魔王の新しい伴侶は、どこにおる?」

 黒竜に低く威厳のある声で質問されたゼンさんが、おずおずと手を挙げた。

「……私です」
 
「なんとっ! あやつは宗旨替えでもしたのか?」   

「ご安心下さい。此度こたびは契約を結んだだけです」

 伴侶が男性だと思い、驚いた声を上げる黒竜にゼンさんが落ち着いて対応した。

「あぁ、魔界へ行きたいのだな」

「はい、お願い出来ますか?」

「指輪の持ち主であれば願いを叶えよう。そなたの他に……、おや? ちい姫がおるではないか!! 相変わらず、めんこいのぅ」

 ゼンさんが契約を結んだ伴侶だと分かり、これで魔界へ行けるとほっとしていた私は、唐突に目の前の黒竜に抱き抱えられ目を白黒させる。
 
「儂が与えた指輪は、どうしたのだ? いつでも遊びに来て良いと言ったではないか」

 う~ん、これはまた誰かと勘違いされているみたい。
 玄武や青龍の会った事がある巫女姫様かしら?

「娘と親しくされているようですね。私は母親のヒルダと申します」

 そこで樹おじさんが自己紹介した。

「おおっ、母君もいらしておったか。ちい姫は、お転婆で大変ですなぁ」

 黒竜は私そっくりな樹おじさんの姿を見て笑いかけ、続いてセイさんとシュウゲンさんを見遣る。
 2人を見た途端とたん、ぶはっと吹き出し背を向けてゴホゴホと咳き込んだ。
 少しして正面に向き直り、笑い出しそうになるのをこらえるような表情をする。

「あ~、同行者は非常に濃い・・メンバーのようだ。それでは、異界へ参ろうか」

 何がそんなに可笑おかしいのか、まだ頬をひくつかせている黒竜の言葉を聞いた瞬間、景色ががらりと変わった。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇