自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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4巻

4-3

 十本の木に生っているキウイフルーツを全て収穫して満足していると、二匹の迷宮タイガーを見つけた。
 トレントを瞬殺しながら、迷宮タイガーのもとに行き、脳を石化させて狩りは終了。
 兄が楽しみにしているマンゴーは、やはりランダムで生るようで今日はトレントの森にはなかった。
 どこにあるのかマッピングで調べると、川沿いの木に生っている。
 付近には迷宮ウナギがいるから、収穫するにはハードルが高い場所に生っているみたいだ。
 昨日はトレントの森を消してしまったので、毎日違う場所に生るのは都合がいい。
 そんなにトレントばかり換金できないしね~。
 これは以前いたダンジョンマスターの意向なのかな?
 段々、果物の収穫難易度が上がっている気がする。
 昼食をとるために、一旦ハニーとはここでお別れだ。
 またね、ハニー。冒険者に見つからないよう上空で待機していてね。
 ハニーと別れ、旭のもとへ駆け出す。
 マッピングで様子を見ると、旭は既に迷宮ウナギを狩り終えたのか、川から離れて薬草採取をしていた。きっと手にしているのは魔力草だろう。
 行く途中で集団のキングビーを発見した。
 やっぱりハニーが近くにいると寄ってこないのかもしれない。
 クインビーの蜜袋が欲しいから、八匹のキングビーを倒し、クインビーを見つけて瞬殺する。
 地下十四階は魔石取りが必要な魔物がキングビーしかいないので、魔石取りの練習はできないなぁ。これは旭に頼もう。


 旭と合流したら安全地帯に戻って昼食だ。
 地下十二階にいた兄を迎えに行き、自宅へ戻った。
 今日のお弁当は、唐揚げ、少量のナポリタン、ツナ入り卵焼き、アスパラのベーコン巻きだ。
 唐揚げは揚げたてを収納したので、熱々の状態で別の皿に出す。
 切ったレモンをしぼってかけるとさっぱりして食べやすい。
 旭はケチャップ派だったので、小皿にケチャップを入れて置いた。

「お兄ちゃん、マンゴーはやっぱりランダムに生るみたいだよ」

 私は兄にそう伝える。

「じゃあ今日は、トレントの森にはなかったのか?」

 兄の目がキラリと輝く。

「うん。場所は探す楽しみがなくなるから言わないけど、違う所にあった」
「森のダンジョンは面白い。他にどんな果物が生っているのか楽しみだな」
「私が欲しいのは、メロン、サクランボ、イチジク、いちご、グレープフルーツ、柿、バナナかなぁ」
「沙良ちゃん、それもうほとんど全部じゃん!」

 私の果物の希望を聞いた旭が、兄との会話に入ってくる。

「果物はどれだけあっても嬉しいの。メロンは赤肉と青肉、両方あるかしら?」
「確かにメロンがあるといいな」

 ダンジョンの森に生る果物の話で盛り上がりつつ、食事を終えたら二回目の攻略開始だ。


 兄を地下十二階に送り、旭と二人で地下十四階に戻った。
 もうハニーを従魔にしたことは兄と旭に話していて内緒にしなくてもいいから、上空で待機しているハニーを呼ぶ。旭とは初の顔合わせになるので紹介しておこう。

「ハニー、仲間の旭だよ。間違って攻撃しないでね」
「ハニーって、沙良ちゃんネーミングセンスなさすぎ」
「わかりやすくて、いい名前でしょ? ハニーはクインビーに進化中なんだよね~。シルバーもゴールデンウルフに進化中だし。でも途中で名前を変えると混乱するから、このまま呼び続けるわ」
「じゃあハニー、これからよろしくな!」

 ハニーは羽を振動させ、返事をしてくれた。何気に蜜蜂の複眼が可愛いと思う。
 挨拶ができていい子だねと頭をでてあげると、触覚をピコピコと前後に揺らす。


 おおっ、芸が細かいな!
 先程倒したキングビー八匹を取り出して、旭に魔石を取ってもらうのをお願いした。
 ハニーは自分のコロニー以外は仲間だと思っていないので、キングビーから魔石取りをしているところを見せても問題ない。
 私はその間、襲ってきたフォレストウサギをハニーと一緒に狩っていた。
 緑色の毛皮は需要があるのかなぁ?
 白色だったら色んな色に染色できて便利だったのに。
 マントの端につけたいけど、緑色はマントの色を考えないとバランスが悪い。
 二本角のフォレストウサギの上位種には、毛皮が茶色や黒色や白色のもいるかも?
 日本ではウサギは可愛い小動物だったけど、異世界に来て最初に角ウサギを見た瞬間にそのイメージは崩壊した。
 異世界のウサギは狂暴だった……
 そして普通に食肉として食べられている。
 寂しいと死んでしまうという日本の繊細なウサギのイメージは全くない。
 実際、寂しくて死ぬことはないんだけどね~。
 きっとこの世界の人にウサギのことを聞いたら、肉と即答されそうだ……
 旭が取り出してくれた魔石を受け取り、迷宮タイガーを狩りにトレントの森へ向かう。
 目的の魔物を森の中央で発見。
 昨日の失態を踏まえて、今日は一直線に道を作り、迷宮タイガーに近付いた。
 やっぱり従魔にしたいなぁ。
 兄のマンションをホームに設定したら、しばらく冒険者活動を休止する予定なので移動に使える魔物が欲しい。
 たまには異世界を旅してみるのも悪くないでしょ。
 野営はマジックテントを設置して、自宅に帰ればいいだけだし。
 それは野営じゃないという言葉は聞こえない振りをしよう。
 お風呂大好きな日本人だから野営なんて無理です。
 馬車は自動車と違い、乗り心地が非常に悪い。
 それに迷宮タイガーは美しい魔物だから大変見栄みばえがいい。
 大きな魔物だし、兄と旭の移動手段として最適だと思うんだけどなぁ。
 兄にお願いするタイミングを間違えないようにしないとね。
 とりあえず、今いる迷宮タイガーは狩ってしまおう。
 また三時間もすれば出現するだろう。


 それから二時間後、兄が果物の収穫を終えて地下十四階の安全地帯に帰ってきた。
 それをマッピングで確認し、私と旭も安全地帯に戻る。
 おっと、怪我人が待機していたらしい。
 兄が怪我の状態を見て水をかけ、傷口を洗い流しているところだった。
 肩をフォレストウサギの角で刺されたみたいだ。
 怪我を負った男性は既に鎧を脱がされ、上半身裸になっている。
 私は、その鍛え抜かれた体に惚れ惚れとしてしまう。
 冒険者たちは日頃から鍛錬をおこたらないのか、いい体つきをしてる人が多い。
 鎧を着ていてもわかるくらいに、引き締まった体形をしている。
 そういえば、太ってお腹が出ているような人は見かけたことがないかも?
 魔物を狩るのは肉体労働だから、ある程度の年齢になると引退するようで高齢者はいない。
 迷宮都市のような大型のダンジョンにはB級冒険者が集まるので、年齢層は大体三十代から四十代。
 それでも全員が私たちより年下なんだけど……
 魔法使いも、MPには限りがあるから、剣や槍も使えるように鍛錬しているみたいで、見た目では魔法使いだと判断できなかった。
 唯一、治癒術師ちゆじゅつしだけがちょっと華奢きゃしゃに見えるくらいだ。
 アマンダさんも女性で魔法使いだけど、脱いだら腹筋が割れてそうな感じだしね。
 なんにせよ冒険者たちは私の性癖ど真ん中である。
 そんなことを考えていると、治療を終えた兄がお金を受け取り、帰ってきた。


 ホームの自宅に戻って休憩後、三回目の攻略を開始する。
 兄はマンゴーの生る木を見つけに駆け出した。
 マッピングであとを追いかけると、躊躇ためらうことなく一直線に川へ向かっている。
 一体どんな嗅覚をしているのか、うちの兄が謎すぎる。
 魔力草と同じで魔力を感知するセンサーでもついてるのかしら?
 私は兄が戻ってくるまで旭とトレント狩りをすることにした。
 川に生息していた迷宮ウナギは午前中に旭が全滅させたから、すぐにマンゴーの収穫を終え、帰ってくるだろう。


 三十分ほどして満足そうな表情の兄が戻ってきた。
 よし機嫌がいい今がチャンスだ!

「お兄ちゃん、マンゴー見つかった?」
「ああ、今日は川沿いにあったぞ」

 そう言って兄が地下十一階から地下十四階で収穫した果物をマジックバッグから出してくれたので、私はそれをアイテムボックスに入れ替える。
 相変わらず凄い量の果物だ。

「トレントの森に迷宮タイガーがいるでしょ? お兄ちゃんのマンションをホームに設定したら、異世界を旅してみたいんだよね。移動するのに丁度いい騎獣だと思うんだけど、従魔にしたら駄目かな?」

 兄は私の言葉を聞き、一旦吟味ぎんみするように眉根を寄せて考え込む。

「沙良、今MPはどれだけあるんだ?」

 兄が長考の末、口を開いた。
 どうやら今回は最初から駄目だという展開にはならないらしい。
 迷宮タイガーに騎乗してみたいのかな?
 そして私はレベル29と言っているので、そのレベルだった時のMPを伝える。
 レベル29の時のMPは1440で、シルバーとハニーを従魔にするためにはそれぞれMPが130必要。
 二匹を従魔にしていると、常にこの260を消費した状態になるので、残りは1180だ。

「MPなら1180あるよ」

 お母さん、子供の頃に算盤そろばんを習わせてくれてありがとう。
 暗算が今非常に役立ちました。
 わずか一秒足らずで答えを出したので不審には思うまい。
 実際はレベル35でMPが1728あって、使えるMPは1468だけどね。

「そうか、MPが1000以上あるなら一匹従魔にしていいぞ」
「本当!? ありがとう、お兄ちゃん! じゃあ今から迷宮タイガーのところに行こう!」

 兄から、魔物を従魔にする許可をもらったのは初めてだ。
 マッピングで迷宮タイガーが二匹出現しているのを確かめて、私はご機嫌で駆け出す。

「こらっ、嬉しいからって俺たちを置いて走り出すんじゃない!!」

 後ろのほうで兄が何か言っていたけど、既にかなり離れているので聞こえない振りだ。
 迷宮タイガーはトレントの森の奥深くにいることが多い。
 先程トレントを狩って中央まで道を作ったので、中央まではトレントから攻撃を受けずに走り抜ける。
 道が途切れたら迷宮タイガーまで一直線になるように、トレントを瞬殺して収納していく。
 マッピングを使用すると、本当に効率よく攻略ができるので助かるわ~。
 迷宮タイガーまであと数メートルというところで立ち止まった。
 二匹いるけど多分つがいだと思う。
 襲ってこないよう先にドレインで昏倒させておこう。
 二匹が横倒しになり、倒れたあとで久し振りに魅了魔法をかけてみる。
 魅了魔法で従魔にできるのは雄だけだ。
 一匹が起き上がり、こっちに近付いてきた。
 この子が雄なのかな? 雌のほうは脳を石化させて収納しておいた。

貴方あなたの名前はフォレストよ。これからよろしくね!」

 今回はトレントの森にいたので森から名前を取った。
 名づけを済ませてステータスを確認する。


  【フォレスト】
    ・性別:雄
    ※術者のMPを140消費


 うん、ちゃんと従魔にできたようだ。
 消費MPが140となっているのでレベルが高い魔物なんだろう。
 フォレストは私の側までやってくると、体をこすりつけてきた。
 マーキングでもしているのだろうか?
 しばらくフォレストとたわむれていると、遅れて兄たちがやってくる。

「もう従魔にしたのか!?」
「お兄ちゃんの気が変わらない内にと思って。名前はフォレストだよ!」

 兄が呆れた表情で見てくるけど、これでやっとシルバーの仲間が増えた。

「よろしくな、フォレスト。俺は沙良の兄の賢也だ」
「よろしくね、フォレスト。俺は沙良ちゃんの仲間の旭だよ」

 二人が自己紹介すると、フォレストは人懐っこい性格らしく、側まで寄って体を擦りつける。
 兄の表情が心なしかデレデレしているのは猫が好きだからかな?
 フォレストの体を撫で、可愛がっているようだ。
 これから言葉通り猫っ可愛がりしそうね。
 大きな虎でも、従魔にすると途端に大人しくなり、主人の言葉を理解できるようになる。
 テイム魔法は従魔にした魔物が言うことを聞きやすくなるとか、そういうことができる魔法だと思うんだけど、謎だらけ。
 必要な消費MPは魔物ごとに違うから、きっと高レベルの魔物ほど多くなっていくんだろう。
 そう考えると今ある私のMPじゃ、ドラゴンを従わせるのは無理かもね。
 魔物の中でもかなりレベルが高いと思うから、消費MPは1000以上かもしれない。
 シルバーがドラゴンに進化してくれないかなぁ~。
 竜騎士りゅうきしみたいに空を自由に駆け巡りたい!
 旭は犬派なので、シルバーを撫でているところをよく見かける。
 シルバーは私の仲間だと認識しているから嫌がりはしないけど、仕方なく触らせてあげている感じだ。
 残念なことに全く懐いてはいない。
 多分、背中には乗せてもらえないだろう。
 フォレストは騎獣にする予定なので一旦ホームに連れていこう。
 シルバーにも紹介してあげないとね。

「お兄ちゃん。フォレストをホームに置いてくるから旭とレベル上げをしてて」
「わかった。じゃあ二時間後に安全地帯に集合だな」
「了解。じゃ、行ってきます」

 ホームの自宅に戻り、シルバーに紹介するためにアパートの駐車場でシルバーの名前を呼ぶと数分でやってくる。
 ホーム内は半径三十五キロメートル移動可能なので、シルバーはいつもどこにいるかわからないけど、名前を呼ぶとちゃんと戻ってきてくれる、とても賢い子なのだ。

「シルバー、お仲間のフォレストだよ」
「フォレスト、先輩のシルバーだよ」

 二匹は種類が違うけど、険悪な雰囲気になることもなく、仲良く寄り添って何やら会話をしているみたい。
 二匹の様子を微笑ましく思いながらダンジョンに戻ると、私が一人でいるところを見つけてハニーが上空から下りてくる。
 ハニーに新しい仲間である迷宮タイガーのフォレストのことを教えて、冒険者のいない地下二十階から一緒にダンジョンで攻略しようねと伝えておいた。


 フォレストウサギやキラープラントを狩りながら二時間後、安全地帯へ向かう。
 既に待機していた兄たちとホームの自宅に戻った。
 兄が早速駐車場に行き、フォレストの名前を呼んでいる。
 従魔にしたのは私だから、兄が呼んでも来ないんじゃないかしら?
 仕方なく私がシルバーとフォレストの名前を呼ぶと、二匹揃ってやってきた。
 喧嘩せず、先輩のシルバーの言うことをよく聞いているように見える。
 魔物レベルはフォレストのほうが高いけど、先に従魔になったシルバーのほうが序列じょれつとしては上なんだろう。
 兄はすかさずフォレストの体を撫で始めた。
 嫌がってはいないみたいなので私は夕食を作りに自宅へ戻る。
 今日は何を作ろうかな~。
 十月に入り、少し肌寒くなってきたから温かい食べ物にしよう。
 キムチ鍋がいいかな?
 コカトリスの肉をミキサーにかけてミンチ状にしたものに、刻みねぎとすり下ろした生姜を入れて、卵液を混ぜてねれば、鳥つくねの完成だ。
 白菜、ニラ、マジックキノコ、かまぼこ、厚揚げを適当な大きさに切り、下準備しておく。
 土鍋にキムチ鍋のもとを入れて沸騰させたら材料を投入して、鳥つくねは団子状にして投下。
 ふたを閉めてひと煮立ちしたら食べ頃だ。
 玄関を出て、まだ帰ってこない二人を呼びにいく。
 兄はフォレストと、旭はシルバーと一緒に遊んでいた。
 ご飯ができたと声をかけると、ようやく二人が戻ってくる。
 三人で鍋を囲んでなごやかな夕食を過ごしている時に、ダンジョンですき焼きを解禁しようと思いつく。
 最後にうどんを入れて食べるのも好きなんだよね~。
 肉うどんと味は変わらないから、この世界の人たちも喜んでくれるだろう。
 雑貨屋に鉄鍋てつなべは置いてあったかな? 土曜日、探しに行ってみなくちゃ。
 最後にキムチ雑炊をして完食した。
 昨日マンゴーを食べられなかったので、デザートにマンゴーを出す。
 切ってみて驚いたのは、種がなかったこと。
 種があると種の部分に実が残ってしまうので、私はもったいないから種にかぶりついていた。
 ダンジョン産のマンゴーに種がないのは、私と同じ考えのダンジョンマスターがいたから?
 そういえばピオーネにもシャインマスカットにも種はなかった。
 食べられる部分が増えて嬉しいので種なしは助かるなぁ~。
 兄は好物のマンゴーを一人で一個全部食べてしまった。
 結構量があったと思うんだけど、デザートは別腹ですか?
 私と旭は一個を二人で仲良く食べたよ。
 はぁ~幸せ。もうダンジョン産の果物は、なんでこんなに甘くて美味しいんだろうね。
 これは奏屋で高く売れそうだ。




 第二章 異世界で出会った初めての転生者


 その後も問題なく五日間の攻略は終了。
 早速、狩った魔物を換金しに行く。
 迷宮タイガーは皮の状態が非常にいいと、解体場のアレクおじさんが金貨十枚のところを金貨十二枚で換金してくれました。
 王都に高値で売るのかな?
 シルバーウルフの二倍の換金額なので、冒険者ギルドも相当儲かるだろう。
 迷宮都市のダンジョンは意外と換金率のいい魔物が多いんだよね。
 大型ダンジョンは一攫千金いっかくせんきんを夢見るには打ってつけの場所らしい。
 パーティーリーダーがしっかりしていれば、無謀むぼうな攻略をすることもないだろう。
 それでもやっぱり、迷宮都市で活躍しているのは一握りの人間だけだ。
 大抵の人間は実力不足を感じて、B級冒険者になる前に大型ダンジョンにはいどまない。
 こればかりは組んでいるパーティーの運もあるだろう。
 私たちは三人だけど運がよかった。
 全員が魔法使いで、内二人が光魔法の使い手なんて最強だ。
 トレントはアイテムボックスに三千本以上入っていて驚いた。
 きっと初日にトレントの森を丸裸にしたことが原因だろうな~。
 今日は二十四本だけ換金する。
 旭が換金したあと、ファングボアの肉五匹分を引き取り、肉屋にファングボアの肉三匹分をおろす。
 迷宮ウナギを無料で捌いてもらったお礼として、グリーンキウイ三個、ゴールデンキウイ三個をお肉屋さんに渡しておいた。
 地下十四階の初攻略のお祝いをするのは、なんだか非常に嫌な予感がするので止めておく。
 以前は、お祝いでホームにある日本料理のお店に行ったけど、何故か私が料理を作ることになったからね。
 どうせ兄のマンションをホームに設定した時、盛大にお祝いするだろうし。
 二度あることは三度ある。旭が絶対やらかしそうなんだよ!
 普段料理を作らない人間には理解できまい。外食する意味を……
 上げ膳据え膳で出される美味しい料理を店では味わいたいのだ。
 いつも料理をしているからといって、外食店に来てまで作らせるのは間違っている!
 本当、これだから料理ができない男は……
 でも、ちゃんといい復讐ふくしゅうの機会があるんだよね~。
 待ってなさいよ、旭! 二回も作らされた恨みを晴らしてやる。
 その時になって、精々狼狽うろたえるがいいわ。
 旭に対して腹黒いことを考えながら、ホームの自宅へ戻った。
 兄たちを希望する居酒屋に車と一緒に送り届け、私はシルバーとフォレストを連れて散歩に出かけよう。
 私を真ん中にして左右にわかれている二匹に、今週の出来事を話しながら田舎道を歩く。
 両側に大型の魔物を連れていると、なんだか優越感のようなものを覚える。
 うふっ、私がご主人様なのよ~。
 こんな素敵な魔物を従魔にできるなんて凄いでしょ?
 地下十四階にはキウイフルーツとランダムに生るマンゴーがあって、明日奏屋に卸しに行くことや、その帰りに肉うどん店へ寄り、子供たち用の腹巻やセーターを編むことを伝えた。
 土曜日の午後はシルバーと遊ぶ時間だったけれど、当分の間、一緒に遊んであげられそうになくてごめんねと謝っておく。
 特にフォレストは従魔にしたばかりなのに、コミュニケーションを取る時間が持てないのが気がかりだ。
 その代わり兄と旭が一緒に遊んでくれるだろう。
 シルバーの体毛が九割くらい金色に変化しているから、もう少ししたらゴールデンウルフに進化しそう。
 よしよし、よく頑張ったね!
 一時間ほど二匹と散歩を楽しみ、マッピングで自宅に戻る。
 まだ兄たちを迎えに行くには早いので、二匹をブラッシングしてあげた。
 シルバーはこのブラッシングがお気に入りで、して欲しい時はブラシを口にくわえて持ってくるのだ。
 その姿がなんとも愛らしい。
 念入りにシッポをかすとふわふわになって、撫でるととても気持ちがいいの。
 フォレストは猫科だからか、尻尾のブラッシングを嫌がってしまった。
 そもそも体毛が短いので、これで十分だろう。
 二匹のブラッシングを終えると丁度いい時間になり、兄たちを迎えに行く。
 夕食は簡単にお茶漬けにしよう。
 焼き鮭をほぐしたものとお茶漬け海苔のりを入れ、熱い緑茶をかけてサラサラと食べる。
 明日は編み物教室が終わったらサヨさんと会う予定になっているので、聞きたいことを忘れないように質問事項をメモしておこう。
 まずはステータス、魔法、従魔になった魔物がいるかどうか、他種族(エルフ、ドワーフ、獣人じゅうじん)は存在するのか、他に転移者か転生者に会ったことはあるかどうか……
 そしてリーシャの父親に会う必要があるかアドバイスももらいたい。
 サヨさんは子供も孫もいるので、独身の私たちより親の気持ちがよくわかるだろう。
 彼女は元日本人だと思うからホーム内に招待して、夕食をご馳走ちそうするつもりだ。
 異世界には醤油しょうゆ味噌みそがなく、和食が恋しいはずだからね。
 質問事項を書いた紙を失くさないようアイテムボックスに収納した。


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