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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第850話 シュウゲン 33 摩天楼ダンジョン30階での採掘
最上級の冒険者として孫達に自慢しようと思っていた儂の思惑が外れ、落ち込んでいると、
「30階は雪が降っているから防寒用のマントが必要ですが、持っていますか?」
沙良が、現在攻略している摩天楼のダンジョンの情報を話す。
30階なら以前、宝箱欲しさに30日間攻略したな。あの時は目的の鉱物ではなく、黄金色の鎧が入っておりガッカリしたものだが……。
「ドワーフには火の精霊の加護がある。寒さには強いから、普通のマントで充分じゃ」
火の精霊召喚に失敗し、召喚陣に現れたサラマンダーとイフリートから契約を断られた事を態々伝える必要はない。
実際その後は、火の精霊王が加護をくれたしの。
特級冒険者だと話した時より、火の精霊の加護があると聞いた皆の反応が良い。
こちらは興味深そうに感心し、頷いていた。
「シュウゲンさん。種族を聞くのは失礼になりますか?」
突然、話題を変えた沙良が何を思い聞いているのか分からんが、儂の知っている範囲で答えてやろう。
「ドワーフは気にせんが、他種族はどうか分からんの。特に種類が多い獣人は、特性を秘密にしている場合もありそうじゃ。親しい間柄じゃなければ、聞かぬ方が良いかもしれん」
「そうですか……。ガーグ老達は、人間じゃない気がしたので……」
「ありゃ間違いなく、長命な種族だろう。ヒルダちゃんはエルフだからの。どのような縁があるか知らぬが、儂が鍛えた槍を持っていたのは親しくしていたからではないか?」
沙良達は、ガーグ老達の種族に思い至らなかったようだ。
「お兄ちゃん。確かタケルから、昔の第二王妃はエルフの王女だと聞いたんだよね?」
すると沙良が奏の息子の名前を出す。
儂は、まだ会っておらんが結花さんの兄に当たる者だ。
名前からして名付けたのは奏に違いない。
「あぁ。ハーフエルフが多いのも、それが理由だろう」
「ガーグ老達は、ヒルダさんを護衛していたからエルフなんじゃない?」
「それにしては、身体的特徴がないがな」
賢也はガーグ老達にエルフの種族的特徴がない事から、信じておらんようだ。
「あの老人達は、ヒルダちゃんの護衛をしておった者達なのか。本人は何処にいるんじゃ?」
エロ爺と呼ばれ既に確信していたが、知らぬ振りをした。
それを聞いた響君と樹君が、飲んでいた茶を吹き出し咳き込む。
「沙良。ガーグ老達にも、秘密にしておきたい事があるだろう。聞くのは失礼だと思うぞ?」
何故か響君が沙良の疑問に対して曖昧な態度を見せ、隣にいる樹君も同意するよう首を縦に振っておる。
やはり、この2人はヒルダちゃんについて何か知っておりそうだ。
それを沙良には知られたくないようだな。
「ヒルダちゃんに会いたいのぅ。ずっとお礼を待っておるが、約束を忘れてしまったんじゃろうか……」
ヒルダちゃんを知っていそうな2人に鎌をかける心算で言えば、樹君が再び茶を吹き出し盛大に咽ておった。
ふむ、どうやらヒルダちゃんに関連が深いのは樹君の方らしい。
沙良に召喚されたばかりの彼が、一体どのような関係を持っているというのだ?
気になりつつも、その場で問い詰めるのは止め、ダンジョンに潜る準備をする。
沙良の能力で、摩天楼ダンジョン30階の安全地帯に設置されたテント内へ移動した。
入場料を払わずダンジョンを攻略するのは違法だが、沙良達のパーティーは午前中に迷宮都市のダンジョンを攻略しているから、齟齬が出ぬようしておるのだろう。
テント内には、ガーグ老の従魔である白梟がいて非常に驚いた。
「うん? この従魔は、ガーグ老の白梟ではないか?」
「ポチは父が大好きみたいで、毎週会いに来るんですよ~」
怪訝に思った儂が尋ねると、沙良が返事をする。
「そんな不思議な事があるのかの?」
もしやガーグ老達が姿を消し、ダンジョン内まで沙良を警護しておるのではないか?
テントから出て周囲を探るが、視界に映る冒険者以外の気配はない。
「本当に主人はおらんようじゃ。勝手に行動しては従魔の役目を果たせんだろうに……」
そう言いながら、儂は王族を警護する事に長けたガーグ老達を称賛していた。
ここに従魔がいるならば、必ず主人もいる筈じゃ。
儂に察知できんくらい、その技が優れたものであるとはな。
影ながら王族の血筋を守る任務に就いているのか……。
リーシャという子供は、本当にエルフの王族である可能性が高い。
本人は亡くなったと沙良から聞いておるが、厄介な事態に巻き込まれんといいがの。
儂が独りで洞窟に入り鉱物を探すと言うと、沙良がシルバーを貸してくれた。
うん? ダンジョンで魔物を倒し、Lv上げをせんのか?
孫娘はテント内で従魔達用のポシェットを作るらしい。
何のためにダンジョンへ来たのか理解不能じゃ。
父親の響君が何も言わないところを見ると、沙良の行動は普段通りのようだ。
まぁ、年齢から考えるとLvが高いし金も稼いでいる。
必死にダンジョンを攻略する必要はないかもしれんな。
アシュカナ帝国の王に狙われているなら、テント内から出ず姿を隠している方が得策か。
シルバーに騎乗して洞窟を目指す間、儂の契約従魔だった黒曜を思い出す。
黒曜とは念話で意志の疎通が取れたが、沙良の従魔であるシルバーにはどうやって指示を出せばいいのかの。
少し悩んで向かう方角を指せば、その通りに移動してくれた。
おおっ、賢い従魔じゃな! しかも速い!!
気を抜けば振り落とされそうな速度を出され、高Lvな従魔だと実感する。
沙良を乗せている時は、かなり加減しながら走っておりそうじゃ。
洞窟内に入りシルバーから降りると、先ずは魔物の殲滅から始めた。
逃げ場のない洞窟内で、鉱物を採掘している時に魔物から襲われるのは避けたい。
数百m奥まで出現している魔物を倒しながら進み、横に並んで歩くシルバーに待ての合図をすれば、お座りの状態になった。
その右足首に金の足輪が着けられているのを見て、従魔用のアイテムに思い当たり鑑定する。
速度2倍の効果が付いておるのか……。
従魔用アイテムは魔道具屋に売られてないから、沙良達が宝箱を出現させたんじゃな。
シルバーの走る速度が速いのは、この従魔用アイテムを嵌めている所為もありそうだ。
すっきりした洞窟内を見渡し、鉱物がありそうな壁面に視線を向ける。
儂の勘が告げた場所をツルハシで突くと、赤色の鉱物が顔を覗かせた。
鉱物の周囲をハンマーで叩き崩し、取り出して鑑定する。
【火炎石】 (火魔法が内包された武器の原料で非常に珍しく、これを使用した武器を振るうと火魔法の追加攻撃が入る)
おっ、これは当たりだ!
レガントのS級ダンジョンで緑風石が採れた際、換金額は金貨100枚すると言われたからな。
これも似たような物だろう。
本当は、この鉱物を使用して武器に魔法を付与したいんじゃが……。
儂の師匠だった前ドワーフ王は、その方法を教えぬまま逃げおった。
あれほど苦労して覚えたドワーフの古語が、何の役にも立たないものとなったのは今思い返しても腹立だしい。
無駄な勉強を3年間もさせられ、文句の一つも言えんとは……。
一発殴っておけば良かった!
その後、ひたすら壁を叩き鬱憤を晴らしていると、シルバーが儂の服を引っ張り背に乗れという仕草をする。
沙良から連絡があったのかと思いシルバーに騎乗した途端、いきなり走り出した。
そのまま安全地帯に連れていかれ、テント内に戻る。
「休憩しに、ホームへ戻りますね」
なんと3時間毎に家へ帰ると沙良が言う。
ホームの能力があり、安全地帯の簡易トイレに慣れていない沙良達は家で済ませたいのだろう。
確かに、あのウォシュレットを一度体験したら異世界のトイレでは満足出来んわな。
儂も使い方を教えてもらった時は、そんな機能が必要かと思っていたが、実際使用したらかなり心地良かった。
日本人の綺麗好きは、ここまできたかと唸ったものじゃ。
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お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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「30階は雪が降っているから防寒用のマントが必要ですが、持っていますか?」
沙良が、現在攻略している摩天楼のダンジョンの情報を話す。
30階なら以前、宝箱欲しさに30日間攻略したな。あの時は目的の鉱物ではなく、黄金色の鎧が入っておりガッカリしたものだが……。
「ドワーフには火の精霊の加護がある。寒さには強いから、普通のマントで充分じゃ」
火の精霊召喚に失敗し、召喚陣に現れたサラマンダーとイフリートから契約を断られた事を態々伝える必要はない。
実際その後は、火の精霊王が加護をくれたしの。
特級冒険者だと話した時より、火の精霊の加護があると聞いた皆の反応が良い。
こちらは興味深そうに感心し、頷いていた。
「シュウゲンさん。種族を聞くのは失礼になりますか?」
突然、話題を変えた沙良が何を思い聞いているのか分からんが、儂の知っている範囲で答えてやろう。
「ドワーフは気にせんが、他種族はどうか分からんの。特に種類が多い獣人は、特性を秘密にしている場合もありそうじゃ。親しい間柄じゃなければ、聞かぬ方が良いかもしれん」
「そうですか……。ガーグ老達は、人間じゃない気がしたので……」
「ありゃ間違いなく、長命な種族だろう。ヒルダちゃんはエルフだからの。どのような縁があるか知らぬが、儂が鍛えた槍を持っていたのは親しくしていたからではないか?」
沙良達は、ガーグ老達の種族に思い至らなかったようだ。
「お兄ちゃん。確かタケルから、昔の第二王妃はエルフの王女だと聞いたんだよね?」
すると沙良が奏の息子の名前を出す。
儂は、まだ会っておらんが結花さんの兄に当たる者だ。
名前からして名付けたのは奏に違いない。
「あぁ。ハーフエルフが多いのも、それが理由だろう」
「ガーグ老達は、ヒルダさんを護衛していたからエルフなんじゃない?」
「それにしては、身体的特徴がないがな」
賢也はガーグ老達にエルフの種族的特徴がない事から、信じておらんようだ。
「あの老人達は、ヒルダちゃんの護衛をしておった者達なのか。本人は何処にいるんじゃ?」
エロ爺と呼ばれ既に確信していたが、知らぬ振りをした。
それを聞いた響君と樹君が、飲んでいた茶を吹き出し咳き込む。
「沙良。ガーグ老達にも、秘密にしておきたい事があるだろう。聞くのは失礼だと思うぞ?」
何故か響君が沙良の疑問に対して曖昧な態度を見せ、隣にいる樹君も同意するよう首を縦に振っておる。
やはり、この2人はヒルダちゃんについて何か知っておりそうだ。
それを沙良には知られたくないようだな。
「ヒルダちゃんに会いたいのぅ。ずっとお礼を待っておるが、約束を忘れてしまったんじゃろうか……」
ヒルダちゃんを知っていそうな2人に鎌をかける心算で言えば、樹君が再び茶を吹き出し盛大に咽ておった。
ふむ、どうやらヒルダちゃんに関連が深いのは樹君の方らしい。
沙良に召喚されたばかりの彼が、一体どのような関係を持っているというのだ?
気になりつつも、その場で問い詰めるのは止め、ダンジョンに潜る準備をする。
沙良の能力で、摩天楼ダンジョン30階の安全地帯に設置されたテント内へ移動した。
入場料を払わずダンジョンを攻略するのは違法だが、沙良達のパーティーは午前中に迷宮都市のダンジョンを攻略しているから、齟齬が出ぬようしておるのだろう。
テント内には、ガーグ老の従魔である白梟がいて非常に驚いた。
「うん? この従魔は、ガーグ老の白梟ではないか?」
「ポチは父が大好きみたいで、毎週会いに来るんですよ~」
怪訝に思った儂が尋ねると、沙良が返事をする。
「そんな不思議な事があるのかの?」
もしやガーグ老達が姿を消し、ダンジョン内まで沙良を警護しておるのではないか?
テントから出て周囲を探るが、視界に映る冒険者以外の気配はない。
「本当に主人はおらんようじゃ。勝手に行動しては従魔の役目を果たせんだろうに……」
そう言いながら、儂は王族を警護する事に長けたガーグ老達を称賛していた。
ここに従魔がいるならば、必ず主人もいる筈じゃ。
儂に察知できんくらい、その技が優れたものであるとはな。
影ながら王族の血筋を守る任務に就いているのか……。
リーシャという子供は、本当にエルフの王族である可能性が高い。
本人は亡くなったと沙良から聞いておるが、厄介な事態に巻き込まれんといいがの。
儂が独りで洞窟に入り鉱物を探すと言うと、沙良がシルバーを貸してくれた。
うん? ダンジョンで魔物を倒し、Lv上げをせんのか?
孫娘はテント内で従魔達用のポシェットを作るらしい。
何のためにダンジョンへ来たのか理解不能じゃ。
父親の響君が何も言わないところを見ると、沙良の行動は普段通りのようだ。
まぁ、年齢から考えるとLvが高いし金も稼いでいる。
必死にダンジョンを攻略する必要はないかもしれんな。
アシュカナ帝国の王に狙われているなら、テント内から出ず姿を隠している方が得策か。
シルバーに騎乗して洞窟を目指す間、儂の契約従魔だった黒曜を思い出す。
黒曜とは念話で意志の疎通が取れたが、沙良の従魔であるシルバーにはどうやって指示を出せばいいのかの。
少し悩んで向かう方角を指せば、その通りに移動してくれた。
おおっ、賢い従魔じゃな! しかも速い!!
気を抜けば振り落とされそうな速度を出され、高Lvな従魔だと実感する。
沙良を乗せている時は、かなり加減しながら走っておりそうじゃ。
洞窟内に入りシルバーから降りると、先ずは魔物の殲滅から始めた。
逃げ場のない洞窟内で、鉱物を採掘している時に魔物から襲われるのは避けたい。
数百m奥まで出現している魔物を倒しながら進み、横に並んで歩くシルバーに待ての合図をすれば、お座りの状態になった。
その右足首に金の足輪が着けられているのを見て、従魔用のアイテムに思い当たり鑑定する。
速度2倍の効果が付いておるのか……。
従魔用アイテムは魔道具屋に売られてないから、沙良達が宝箱を出現させたんじゃな。
シルバーの走る速度が速いのは、この従魔用アイテムを嵌めている所為もありそうだ。
すっきりした洞窟内を見渡し、鉱物がありそうな壁面に視線を向ける。
儂の勘が告げた場所をツルハシで突くと、赤色の鉱物が顔を覗かせた。
鉱物の周囲をハンマーで叩き崩し、取り出して鑑定する。
【火炎石】 (火魔法が内包された武器の原料で非常に珍しく、これを使用した武器を振るうと火魔法の追加攻撃が入る)
おっ、これは当たりだ!
レガントのS級ダンジョンで緑風石が採れた際、換金額は金貨100枚すると言われたからな。
これも似たような物だろう。
本当は、この鉱物を使用して武器に魔法を付与したいんじゃが……。
儂の師匠だった前ドワーフ王は、その方法を教えぬまま逃げおった。
あれほど苦労して覚えたドワーフの古語が、何の役にも立たないものとなったのは今思い返しても腹立だしい。
無駄な勉強を3年間もさせられ、文句の一つも言えんとは……。
一発殴っておけば良かった!
その後、ひたすら壁を叩き鬱憤を晴らしていると、シルバーが儂の服を引っ張り背に乗れという仕草をする。
沙良から連絡があったのかと思いシルバーに騎乗した途端、いきなり走り出した。
そのまま安全地帯に連れていかれ、テント内に戻る。
「休憩しに、ホームへ戻りますね」
なんと3時間毎に家へ帰ると沙良が言う。
ホームの能力があり、安全地帯の簡易トイレに慣れていない沙良達は家で済ませたいのだろう。
確かに、あのウォシュレットを一度体験したら異世界のトイレでは満足出来んわな。
儂も使い方を教えてもらった時は、そんな機能が必要かと思っていたが、実際使用したらかなり心地良かった。
日本人の綺麗好きは、ここまできたかと唸ったものじゃ。
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穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろうでも同時連載中です◇