自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第860話 シュウゲン 43 茜のステータスと従魔

 あかねに問いただそうとする前に、沙良が口を開く。

「それと私も、もう直ぐ結婚式を挙げる予定なの」

「はっ!? 相手は誰なんだ!!」

 流石さすがに、この発言は無視出来なかったのか茜の表情がけわしくなる。
 
「でも、アシュカナ帝国の王に9番目の妻として狙われているためにする偽装結婚なのよ」

 フォローを入れないとまずいと思ったのか、沙良がすかさず言葉を続けた。

「万死に値する」

 が、それを聞いた茜は物騒な台詞を吐き鼻で笑った。
 兄が尚人なおと君と結婚するのは良くとも、姉がする偽装結婚は許せぬらしい。
 その違いは何だ?
 この話題を避けるために沙良は茜が召喚された時、『手紙』がなかったか確認する。
 儂も読んでみたが、授かった能力に違和感を覚えた。
 大型のダンジョンマスターになったから、召喚出来る魔物が30個体あるのは理解出来るが……。
 ホームの能力にある一文は、どういう意味じゃ?
 『冒険者がいる階層には移動出来ません』とあるが、それなら茜は51階層から攻略しなければならん。

「あの……、これだと茜さんは51階からしか移動出来ませんよね?」

 儂と同じ疑問を持ったセイが質問すると、

「そこが憎いところだな。武器も防具もなくLv0の状態で、いきなり51階の魔物と戦う羽目はめになった。今となっては、あれも良い思い出だよ……」

 茜は遠い目をしながら話す。

「茜、51階の魔物なら相当強いはずよ? 武器がないのに倒せたの?」

 聞いた沙良が驚きに目をみはり、疑問をていした。

「幸い風魔法が使用出来たから、ウィンドウォールで防御しつつウィンドボールを何度も撃った。それで最初の内は魔法Lvを上げ、一つ目の二足歩行していた大きな魔物に狙いを定め、足を徹底的にり続けた。膝を落とし立てなくなったところで、延髄えんずいにLvを上げた魔法を撃ち倒したんだ。1ヶ月も掛かり大変だったが1匹倒した後はLvが一気に50まで上がったから、その後は体術を鍛え敵の持っている武器を奪い剣術や槍術Lvを上げたよ」
 
 それを受け、茜が魔物を倒した方法を語って聞かせた。
 一つ目の二足歩行する大きな魔物なら、サイプロクスじゃないか!!
 ありゃ、大型ダンジョンの深層やS級ダンジョンの1階層に出現する魔物だ。
 12歳の時に受ける儀式で、儂が初めて倒した魔物がつのウサギだったのを思えば、難易度は段違いに高い。
 しかも武器もなく体術だけで倒すとは……、儂の孫は大物だな。
 しかし、同じダンジョンマスターとして召喚された尚人君との差がありすぎんか?

 どうやら沙良が『手紙の人』と呼んでいる人物は、異世界に召喚する際の難易度を選んでいるふしがある。
 当人の実力や技能を加味して、能力を授けていそうでもあるな。
 儂が感心していると、沙良は妹をすごいとたたえる。
 話が自然と宝箱の中身について移り、茜はその存在自体知らなかったと言う。
 行動範囲外の30階で、宝箱が出現する事は知りようがない。
 なら、宝箱の中身はダンジョンの意志によるものなのか?
 いや、これは『手紙の人』が操作した可能性が高いじゃろう。
 儂は沙良達を茜と引き合わせるためにしたとんでおる。
 沙良達が摩天楼まてんろうダンジョンの100階層に行くまで時間がかかり過ぎるため、宝箱の中身を役に立たない物にして、ダンジョンマスターに会いに行くよう仕向けたのではないか?
 現に尚人君も同じような事を言っておる。

 話題が変わり、茜の夫を召喚する話になった。
 本人は呼ばなくていいと言うが……、旦那と離れて寂しくないのかの。
 それより、沙良達のように若返らせてほしいらしい。
 それを聞いた美佐子みさこが反対し、孫の顔を見せろと厳しく注意していた。
 美佐子のところは孫が1人もおらんから、そう意見するのも分かる。
 儂は孫も曾孫ひまごも沢山いて幸せじゃ。
 母親の勢いに押され、茜が嫌々了解した。
 
 沙良が茜を召喚すると、一瞬で彼女は18歳の姿に変わる。
 これで皆の年齢がそろったな。
 結花ゆかさんだけはしずくちゃんと同時に異世界転生したので、娘と同い年になっておるが……。
 沙良は茜に床に落ちた『手紙』を渡すと、一緒に冒険者をするか提案する。
 茜が了承したのを受け、現在のステータスを書かせた。
 うん? んんん?
 テイム魔法を習得済みで従魔が7匹おるとな?

「茜、テイム魔法があるんだけど……」

 スタータスの内容を見て気付いた沙良が聞く。

「あぁ何か魔物と死闘を演じている間になついたんで、ステータスを確認したら勝手に覚えてた」

 成程……、魔物を屈服くっぷくさせてテイム魔法を習得したんだな。
 直ぐに殺してしまう儂は、覚えられんかったはずじゃ。
 手加減しながら長時間魔物と向き合えば、儂にも習得出来るか?
 
「こいつらがいたから、寂しくなかったんだ。あぁ、後で連れてこないと」

 13年間、独りきりでいたわけではなく、従魔達がそばにいたみたいだ。
 茜に儂らのステータスを書いた紙を見せると、習得済みの魔法の多さに驚いている。
 沙良に、転移組は魔物から魔法を受けて覚えた話を聞き声を上げた。

「はぁ!? そんな、滅茶苦茶な方法で覚えられるのか!」

 これが普通の反応だろう。
 治癒魔法を習得していない限り、魔物の魔法攻撃を受けようとは思うまい。
 残念ながら、儂はその方法で魔法を覚えられんがな。
 茜は沙良の家に泊まると言い、帰っていった。
 
 翌日、水曜日。
 茜は直ぐにでも冒険者として活動したいらしく、沙良と王都で冒険者登録と従魔登録をすると言う。
 13年もダンジョン攻略をしていたくらいだ、何の心配もない。
 むしろ若返った分、体の動きが良くなるじゃろう。
 昼食後。沙良に摩天楼のダンジョンまで送ってもらい、儂はLvを上げるため黄金こがねに騎乗し魔物を狩った。
 ただ31階層より、もっと上の階層へ行きたいが……。
 沙良は茜に魔物から魔法を受け習得させるため、迷宮都市のダンジョンへ戻った。

 現在覚えられる全ての魔法を習得後、摩天楼のダンジョンに帰ってきた茜から7匹の従魔を見せてもらう。
 一番大きなクインレパードのダンアンは体長5mはありそうだ。
 額にある第三の目は閉じられて見えない。
 群れを成す6匹のキングレパード(アーサー1号~6号)の体長は4mくらいか。
 大体、ゴールデンウルフに進化したシルバーと同じじゃな。
 儂がその体をでようと近付いた途端とたん、7匹が一斉に逃げ茜の後ろに隠れてしまった。
 いや、体が大きくて隠れておらんが……。
 これは、茜を盾にしておるのかの?
 どうやら儂は、ある一定の高位の魔物から怖がられる存在のようだ。
 美佐子、沙良、結花さんの従魔達は大丈夫だったのになぁ。
 美しい黒い毛並みを見て黒曜こくようを思い出した儂は、触れられんのをさびしく思った。

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