自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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<外伝> 椎名 賢也

椎名 賢也 68 迷宮都市 地下6階&ゴミ問題の解決

 月曜日。
 冒険者ギルドで地下6階の迷宮地図(銀貨60枚)を購入して、ダンジョンへ向かう。
 沙良の先導で魔物を避けながら、地下6階の安全地帯まで一気に走り抜けた。
 マジックテントを設置後、ホームの自宅で休憩を済ませ常設依頼を確認する。

【ダンジョン地下6階 常設依頼 C級】
 オーガ1匹 銀貨15~17枚(魔石・本体必要)
 オーガメイジ1匹 銀貨18~20枚(魔石・本体必要)
※グリーンタートル1匹 銀貨50~55枚(魔石・本体必要) 
 アイアンゴーレム1体 銀貨15枚(魔石・本体必要)
 カーバンクル1匹 銀貨20枚(魔石・本体必要)

 この階層で初見の魔物はグリーンタートルか……。
 安全地帯から出ると、沙良が早々にグリーンタートルを見付けて駆け出す。
 会敵した体長3mのグリーンタートルは、名前の通り緑色の大きな甲羅を持つ亀だ。
 首が出ているなら硬い甲羅があっても問題ない。
 ライトボールを額に撃ち瞬殺した。
 ただ魔法が使えない冒険者ばかりだと、接近戦で倒す必要があるからみつかれそうだ。
 沙良は俺が倒したグリーンタートルを嬉しそうに収納して、「色違いの亀がいるはずだから、1体コレクションする」と言う。
 あぁ、確か最初に冒険者ギルドの資料室で魔物を調べた時、他の色の名前が付いたタートルがいたな。
 アイテムBOX内でコレクションする分には、場所も取らないから好きにさせよう。
 やたら亀の味を気にしていたが、食べさせようとしないでくれよ?
 間違いなくスッポンの味じゃないと思うぞ!
 
 5日後、冒険者ギルドで換金を済ませる。
 今回は傷のないグリーンタートルの甲羅を、銀貨60枚で買い取ってもらえた。
 旭が換金する際、このダンジョンにいないハイオーガを出そうとして、沙良から注意されあわてて引っ込めていたが……。
 この5日間、狩っていた魔物を覚えていないのか?
 しかもダミー用のマジックバッグからリースナーのダンジョンしか出現しない魔物を出せば、時間が経過しないアイテムBOXの存在がバレる。
 旭は魔物が1ヶ月経過すれば腐るのを知らない可能性があるな。
 11年間この世界の誰とも接触せず過ごしてきたから、俺達が知っている常識を教える必要がありそうだ。
 地下6階でも旭が治療する機会はなく、彼の初体験は先伸ばしになった。

 冒険者ギルドを出て自宅に戻ると、

「花金だ~」

 旭と二人で声を合せ、いつもの居酒屋へ歩き出した。
 誰もいない店内で、電子メニューから生ビールと数品の料理を注文し乾杯する。

「「お疲れ様~」」

 旭が一気飲みして2杯目を直ぐに注文した。
 俺は、ゆっくりと料理をまみながら飲む。
 酔って忘れる前に魔物の話をしておこう。

「旭。沙良が注意していた通り、迷宮都市に出現しない魔物は換金するなよ?」

「地下7階以上の魔物は出さないように気を付けていたら、ハイオーガの事が頭から抜け落ちちゃったみたい」

 恥ずかしそうに頭をく旭に、

「魔物は1ヶ月過ぎると腐り始めるんだ。ダンジョンで入場料を払うから、冒険者ギルドは冒険者の情報を把握している。どの町から移動したか分からなくても、他のダンジョンで換金可能な状態の魔物を出せば怪しまれるからな」

 必要な情報を教えてやった。

「えっ? 魔物って腐るんだ!?」

 やはり旭は知らなかったのか驚いている。

「だから冒険者達はクランに入り、水や食料や倒した魔物が入ったマジックバッグを配送する仕事を請け負っているんだ」

「クランに入る意味が分かったよ」

「俺達は毎週帰還するし、秘密があるからクランに入らないけどな」

「だよね~。他の冒険者とパーティーも組めないのに……、勧誘されたりしないかな?」

「魔法使いが3人しかいないパーティーを、勧誘するクランはないと思う」

 俺は治癒術師だとバレたら、勧誘される可能性があるかも知れないと思ったが黙っておいた。

「まだ俺の知らない事が沢山ありそうだよね」

「追い追い教えてやるから心配するな」

「よろしくお願いします」

 昔から旭に何かを教えるのは俺の仕事だ。
 頭を下げながらニコニコ笑う彼は、もう少し酔っているようだな。
 何も食べずに生ビールを2杯続けて飲んでいたから機嫌がいい。

「アレは本当に良い商品だよね~」

 珍しく旭が下ネタを話し出した。
 あまり興味がないのか初体験の記憶がトラウマになっているのか、旭とそういう会話をする機会は滅多にない。
 確か初めての相手が年上で怖かったと言っていたが……。
 一体、どんな体験をしたんだと逆に興味が湧いた。
 丁度いい機会だし、さらっとゴミの処理をお願いしよう。

「旭、悪いが使用済みの物をアイテムBOXに入れてくれないか?」

 捨てる場所がなく困っていた例のモノを入れたゴミ袋を、マジックバッグから取り出し床に置く。
 ホーム内は便利だが、人が居ないのでゴミ収集車が来ないのだ。
 流石さすがに、このゴミを妹へ渡すのははばかられる。
 
「うん? いいよ~」

 特に気にしないのか、旭がアイテムBOXに収納してくれた。
 また溜まった頃に入れてもらおう。

「飲んでばかりいないで何か口にしろ。夜中に腹が空くぞ?」

「食べる、食べる~」

 注文した料理がなくなり店を出た。
 千鳥足ちどりあしの旭を背負い自宅に戻ると、そのまま寝てしまった。

 翌日、土曜日。
 沙良に起こされて目が覚めた。
 朝9時に行くと約束したのを忘れていた俺達に、沙良がぷりぷり怒っている。
 仕方なく二日酔いでだるい体を無理やり引きずり、異世界の露店と道具屋に行った。
 自宅に戻ると沙良からドライアプリコットと160枚の巾着を渡され、頭痛に顔をしかめながら旭と巾着にドライアプリコットを入れる。
 作業が終わった後で酔い覚ましにコーヒーを飲んだが、まだ食欲がない。
 沙良は酒が飲めないから、相手がいるとついつい飲みすぎてしまうようだ。
 俺達は沙良の冷たい視線から逃げるように部屋へ帰った。

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