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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第863話 シュウゲン 46 Lv50の恩恵&偽装結婚の代役は樹君?
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外食すると言い、家を出てきた小夜が料理を作ってくれた。
焼売、鯖の味噌煮、法蓮草のお浸し、蓮根のキンピラ、茄子の味噌汁、ご飯がテーブルに並ぶ。
小夜の焼売は久し振りに食べるの。
飾りにグリンピースと小海老が載せてある。
食事をしながらLvが50になった皆に、沙良が何の魔法を覚えたか聞いていた。
「私は緑魔法の複製を覚えたわ。種をLv×1増やせる魔法のようよ。1つの種が50個増えるという事よね」
美佐子が上機嫌で答えを返す。
「私のほうはハイヒールでした。ヒールを習得済みだと、上位魔法を覚えるのかしら?」
結花さんが確認するように息子へ視線を向けると、
「じゃあ俺と同じだね」
尚人君が答える。
「あ~、俺は何も覚えなかったみたいだ」
樹君が与えられた能力は、かなり特殊なものばかりだったから、その上位魔法が存在しないのかも知れん。
「Lv100になった時に期待しましょう!」
そう言って沙良が皆のステータス表に記入する。
Lv50毎に転移者は恩恵があるらしい。これは既にLv100を超えておるな。
食後には、小夜が好きな和菓子が出てきた。
うむ、濃い緑茶ときんつばがよく合うのう。
響君の話題が出なかったので皆の帰宅後に確認すると、新しい魔法は覚えられなかったそうじゃ。
やはり特殊な能力を持った者には恩恵がないらしい。
日曜日。
子供達の炊き出しを終え、ガーグ老の工房へ向かう。
今日はガーグ老が沙良の稽古相手をするようだ。
儂はセイと茜相手に仕合をしようかの。
「シュウゲンさん。胸を借りるつもりで戦います」
「おう、いつでも掛かってこい!」
茜が一礼して槍を構える。
儂は相手が先に攻撃するのを泰然とした態度で迎えた。
茜の重心がゆらりと動いたかと思えば、鋭い一撃が届く。
それを槍で受け止めた儂は、速さも重さも申し分ないと感嘆した。
儂に一撃を阻止された茜が、次は手数で勝負とばかりに攻撃を繰り出す。
その全てを躱さず、儂は槍で防いだ。
なんとなく長女の幸恵の動きを思い出す。
あの子も槍を得意としておったな。薙刀では小夜に一度も勝てんかったが……。
試合中に他事を考えていたら、茜が大きく飛び上がる。
うんん? 飛翔魔法を使用したのか??
流石に上空からの攻撃は予想しておらなんだ。
降下しながらの突きを受けとめるのは分が悪いと判断し、儂は落下地点から飛び退る。
その瞬間、地面に槍が突き刺さりズドンと激震が走った。
爺を相手に情け容赦ないな!
危うく串刺しにされるところじゃったわい。
間一髪で助かった儂は、ニヤリとする孫娘を見て引き攣った笑みを浮かべる。
勝ちに拘る姿勢には賛同するが、本気で殺そうとするのは止めてほしい。
茜が得物を手放した時点で仕合終了となり、次はセイと対峙する。
彼はどこか腰が引けておったが、儂が沙良の祖父だからかの?
こちらは飛翔魔法を使用する事もなく、ちゃんと仕合と呼べる程度で終わった。
少し休憩する間、沙良とガーグ老の対戦を見ていたが……。
負けず嫌いの孫はアイテムBOXから槍を取り出し、ガーグ老に向かって次々と投げていた。
いや、一体何本の槍が入っているのだ? 地面が槍だらけではないか!
軽く百本を超えても、ガーグ老の体に当たる事はなかった。
これはLv差というよりも、沙良の命中率の悪さが原因だな。
闇雲に槍を投げつけるだけでは、ガーグ老に一生当てられぬだろう。
その後、茜とセイの相手を交互にして稽古が終了した。
昼食を食べている最中、
「そろそろ結婚式の準備を始めた方がいいと思うが、サラ……ちゃんの衣装は決まっておるのか?」
ガーグ老が沙良に結婚式の話題を振る。
たとえ偽装結婚だとしても花嫁衣裳は必要じゃ。
白無垢姿の孫を見るのは楽しみだ。
「ガーグ老。実は……結婚式に出るのは私ではなく、姿変えの魔道具で女性になった樹おじさんなんです」
沙良がガーグ老の質問に躊躇いながら答える。
はっ? 儂の聞き間違いか?
「なんと! 相手はサラ……ちゃんではないのか!? それなら、儂も正装せねばなるまい。イツキ殿の着飾った姿を見られるとは……。長生きはするもんだわ」
何故か相手は沙良ではなく、樹君だと知ったガーグ老が嬉しそうにしていた。
待て待て、樹君が女性化しても沙良に似せる事は出来んだろう。
沙良は姿変えの魔道具を使用すると言ったが、樹君には女性化の能力がある。
家族の様子を窺うと、事前に話を聞いていたのか驚いた様子はない。
しかし結花さん、尚人君、雫ちゃんは微妙な顔をしておった。
夫や父親が女性化するのを見たくないと思っていそうだ。
響君は心配そうな様子も見せず、沙良と小声で何か話をしておる。
本当に樹君が代役で大丈夫かのう……。
夕食時。響君に代役の話をしたが、「問題ありませんよ」という返事が返ってきた。
樹君の女性化魔法は、そんなに都合よく沙良とそっくりになれるのか?
相手も馬鹿じゃない。
結婚式を邪魔しようと乗り込んでくる者達は、当然沙良の顔を知っていると思うぞ?
この世界に写真はないが、似顔絵くらい簡単に作れる。
諜報員に絵心がある者がいれば、かなり特徴を掴んだ絵になる筈だ。
そんな呑気にしておって、花嫁が偽物とバレたらどうする心算じゃ!
儂がハラハラ心配していると、
「お父さん。樹さんの女装化が上手くいかない場合に備えて、沙良の花嫁衣裳もレンタルしたから大丈夫よ」
美佐子に宥められて肩の力を抜く。
「そっ、そうか……ならば良い」
ちゃんとリスクを回避出来るよう準備していたようだ。
「それより支援している子供達に劇を見せるんだけど、沙良が白雪姫役をするの。あっ、尚人君は人魚姫役をするそうよ」
それは初耳じゃ。
沙良の白雪姫は似合いそうだが、尚人君の人魚姫はどうかの?
どうしてその配役になったのだ?
どうせなら、王子役のほうが良かったのではないか?
「娘が主役をやるなんて2週間後が楽しみね~」
それは是非、儂も見れければならん。
沙良が白雪姫に扮した姿を写真で撮れぬのは残念だ。
尚人君は人魚姫になった姿を写真に残したくないか……。
可愛い曾孫だが、男としての矜持があるだろう。
冒険者ギルドの新しい政策が施行され、家族が犯罪に巻き込まれる事なく土曜日となった。
奏は、午後から沙良と茜を連れ立って王宮へ行くらしい。
王都に行くならと、響君と樹君も同行するようだ。
儂はドワーフ王じゃが、単なる称号なので王宮を持っていない。
すこし王宮を覗いてみたいと興味が湧いたが、儂がドワーフ王と知っている者がいるかもと思い諦めた。
家族に話していないので、摩天楼の冒険者ギルドマスターみたいに敬われるような態度を取られると困るのだ。
まぁ内緒にする必要はないのだが、言うタイミングを外した所為で今更話し辛い。
特級冒険者にならぬ限り、別大陸にあるドワーフの国へは行けず、儂が王だという事はバレないだろう。
この世界で大陸を移動するのは簡単じゃないからの。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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これからもよろしくお願い致します。
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焼売、鯖の味噌煮、法蓮草のお浸し、蓮根のキンピラ、茄子の味噌汁、ご飯がテーブルに並ぶ。
小夜の焼売は久し振りに食べるの。
飾りにグリンピースと小海老が載せてある。
食事をしながらLvが50になった皆に、沙良が何の魔法を覚えたか聞いていた。
「私は緑魔法の複製を覚えたわ。種をLv×1増やせる魔法のようよ。1つの種が50個増えるという事よね」
美佐子が上機嫌で答えを返す。
「私のほうはハイヒールでした。ヒールを習得済みだと、上位魔法を覚えるのかしら?」
結花さんが確認するように息子へ視線を向けると、
「じゃあ俺と同じだね」
尚人君が答える。
「あ~、俺は何も覚えなかったみたいだ」
樹君が与えられた能力は、かなり特殊なものばかりだったから、その上位魔法が存在しないのかも知れん。
「Lv100になった時に期待しましょう!」
そう言って沙良が皆のステータス表に記入する。
Lv50毎に転移者は恩恵があるらしい。これは既にLv100を超えておるな。
食後には、小夜が好きな和菓子が出てきた。
うむ、濃い緑茶ときんつばがよく合うのう。
響君の話題が出なかったので皆の帰宅後に確認すると、新しい魔法は覚えられなかったそうじゃ。
やはり特殊な能力を持った者には恩恵がないらしい。
日曜日。
子供達の炊き出しを終え、ガーグ老の工房へ向かう。
今日はガーグ老が沙良の稽古相手をするようだ。
儂はセイと茜相手に仕合をしようかの。
「シュウゲンさん。胸を借りるつもりで戦います」
「おう、いつでも掛かってこい!」
茜が一礼して槍を構える。
儂は相手が先に攻撃するのを泰然とした態度で迎えた。
茜の重心がゆらりと動いたかと思えば、鋭い一撃が届く。
それを槍で受け止めた儂は、速さも重さも申し分ないと感嘆した。
儂に一撃を阻止された茜が、次は手数で勝負とばかりに攻撃を繰り出す。
その全てを躱さず、儂は槍で防いだ。
なんとなく長女の幸恵の動きを思い出す。
あの子も槍を得意としておったな。薙刀では小夜に一度も勝てんかったが……。
試合中に他事を考えていたら、茜が大きく飛び上がる。
うんん? 飛翔魔法を使用したのか??
流石に上空からの攻撃は予想しておらなんだ。
降下しながらの突きを受けとめるのは分が悪いと判断し、儂は落下地点から飛び退る。
その瞬間、地面に槍が突き刺さりズドンと激震が走った。
爺を相手に情け容赦ないな!
危うく串刺しにされるところじゃったわい。
間一髪で助かった儂は、ニヤリとする孫娘を見て引き攣った笑みを浮かべる。
勝ちに拘る姿勢には賛同するが、本気で殺そうとするのは止めてほしい。
茜が得物を手放した時点で仕合終了となり、次はセイと対峙する。
彼はどこか腰が引けておったが、儂が沙良の祖父だからかの?
こちらは飛翔魔法を使用する事もなく、ちゃんと仕合と呼べる程度で終わった。
少し休憩する間、沙良とガーグ老の対戦を見ていたが……。
負けず嫌いの孫はアイテムBOXから槍を取り出し、ガーグ老に向かって次々と投げていた。
いや、一体何本の槍が入っているのだ? 地面が槍だらけではないか!
軽く百本を超えても、ガーグ老の体に当たる事はなかった。
これはLv差というよりも、沙良の命中率の悪さが原因だな。
闇雲に槍を投げつけるだけでは、ガーグ老に一生当てられぬだろう。
その後、茜とセイの相手を交互にして稽古が終了した。
昼食を食べている最中、
「そろそろ結婚式の準備を始めた方がいいと思うが、サラ……ちゃんの衣装は決まっておるのか?」
ガーグ老が沙良に結婚式の話題を振る。
たとえ偽装結婚だとしても花嫁衣裳は必要じゃ。
白無垢姿の孫を見るのは楽しみだ。
「ガーグ老。実は……結婚式に出るのは私ではなく、姿変えの魔道具で女性になった樹おじさんなんです」
沙良がガーグ老の質問に躊躇いながら答える。
はっ? 儂の聞き間違いか?
「なんと! 相手はサラ……ちゃんではないのか!? それなら、儂も正装せねばなるまい。イツキ殿の着飾った姿を見られるとは……。長生きはするもんだわ」
何故か相手は沙良ではなく、樹君だと知ったガーグ老が嬉しそうにしていた。
待て待て、樹君が女性化しても沙良に似せる事は出来んだろう。
沙良は姿変えの魔道具を使用すると言ったが、樹君には女性化の能力がある。
家族の様子を窺うと、事前に話を聞いていたのか驚いた様子はない。
しかし結花さん、尚人君、雫ちゃんは微妙な顔をしておった。
夫や父親が女性化するのを見たくないと思っていそうだ。
響君は心配そうな様子も見せず、沙良と小声で何か話をしておる。
本当に樹君が代役で大丈夫かのう……。
夕食時。響君に代役の話をしたが、「問題ありませんよ」という返事が返ってきた。
樹君の女性化魔法は、そんなに都合よく沙良とそっくりになれるのか?
相手も馬鹿じゃない。
結婚式を邪魔しようと乗り込んでくる者達は、当然沙良の顔を知っていると思うぞ?
この世界に写真はないが、似顔絵くらい簡単に作れる。
諜報員に絵心がある者がいれば、かなり特徴を掴んだ絵になる筈だ。
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美佐子に宥められて肩の力を抜く。
「そっ、そうか……ならば良い」
ちゃんとリスクを回避出来るよう準備していたようだ。
「それより支援している子供達に劇を見せるんだけど、沙良が白雪姫役をするの。あっ、尚人君は人魚姫役をするそうよ」
それは初耳じゃ。
沙良の白雪姫は似合いそうだが、尚人君の人魚姫はどうかの?
どうしてその配役になったのだ?
どうせなら、王子役のほうが良かったのではないか?
「娘が主役をやるなんて2週間後が楽しみね~」
それは是非、儂も見れければならん。
沙良が白雪姫に扮した姿を写真で撮れぬのは残念だ。
尚人君は人魚姫になった姿を写真に残したくないか……。
可愛い曾孫だが、男としての矜持があるだろう。
冒険者ギルドの新しい政策が施行され、家族が犯罪に巻き込まれる事なく土曜日となった。
奏は、午後から沙良と茜を連れ立って王宮へ行くらしい。
王都に行くならと、響君と樹君も同行するようだ。
儂はドワーフ王じゃが、単なる称号なので王宮を持っていない。
すこし王宮を覗いてみたいと興味が湧いたが、儂がドワーフ王と知っている者がいるかもと思い諦めた。
家族に話していないので、摩天楼の冒険者ギルドマスターみたいに敬われるような態度を取られると困るのだ。
まぁ内緒にする必要はないのだが、言うタイミングを外した所為で今更話し辛い。
特級冒険者にならぬ限り、別大陸にあるドワーフの国へは行けず、儂が王だという事はバレないだろう。
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇