自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
147 / 781
<外伝> 椎名 賢也

椎名 賢也 83 迷宮都市 地下10階~地下11階 7パーティー集結

 月曜日。
 地下10階は今週で最後となる。
 沙良がリーダー達に、来週から地下11階へ拠点を移す話をしていた。
 子供達の支援を通じて、この階層のリーダー達とは仲良くなったから、会えなくなると寂しそうにしている。
 話を聞いたリーダー達が、メンバーと何やら相談しているようだが?

「地下11階を楽しみにしとけよ!」

 彼らから口々にそう言われ、地下11階では珍しい魔物でも出現するのかと気になった。
 アマンダさんとダンクさんのパーティーは、来週から地下11階へ移動すると決めたらしい。
 アマンダさんはクランリーダーなので階層を移っても問題なさそうだが、ダンクさんのパーティーは配送を請け負っているのに勝手に変更して大丈夫なのか心配になる。
 沙良は顔見知りの冒険者パーティーが地下11階に移動すると聞き、嬉しそうにしていた。
 5日後。冒険者ギルドで換金を済ませ、肉うどん店へ寄りホームに戻った。

 翌週、月曜日。
 冒険者ギルドで地下11階の迷宮地図(金貨1枚・銀貨10枚)を購入し、ダンジョンへ向かう。
 地下10階を通り過ぎ地下11階に到着した俺達は、そこで見た景色に目をみはる事となった。
 これまで迷路状のダンジョンだとばかり思っていたのに、目の前に広がるのは森だ!
 呆気あっけに取られて視線を上に向ければ空がある。
 ここだけ別空間になっているのか?? 太陽は流石さすがにないようだが……。
 沙良の先導で安全地帯へ行き、マジックテントを設置してホームに戻る。

「いきなり森の中になって驚いたね~。リーダー達が楽しみにしろって言ってたのは、この事かぁ~」

 家に入るなり、沙良が興奮した様子で話し出す。

「うん、俺もビックリしたよ! リースナーのダンジョンは地下10階までだから、迷路状の階層しかなかったのかな?」

 旭も沙良に賛同して声を上げる。

「ファンタジー世界だから何でもありなのか、まさか森になっているとは思わなかった」

 俺も驚いた事を伝えてから、地下11階の常設依頼を皆で確認した。

【ダンジョン地下11階 常設依頼 C級】
 ゴブリンアーチャー1匹 銀貨1枚(魔石)
 ゴブリンソルジャー1匹 銀貨1枚(魔石)
 フォレストキャット1匹 銀貨1枚(魔石)
 フォレストウルフ1匹 銀貨50枚(魔石・本体必要)
 フォレストベア1匹 金貨1枚(魔石・本体必要)
 フォレストボア1匹 金貨1枚(魔石・本体必要) 
 フォレストスネーク1匹 金貨1枚~(魔石・本体必要)
  
 ここでゴブリンの上位種が出てくるとは……。
 名前の多くにフォレストと付いているのは、森の中に出現する魔物だからだろう。
 沙良がゴブリンは無視して、他の魔物を索敵しそうだな。
 俺も魔石取りが必要な魔物は面倒だから丁度ちょうどいい。

 テントの外に出ると、アマンダさんとダンクさんのパーティーが挨拶に来た。
 その時、沙良が言った「多分、3ヶ月後には地下12階へ拠点を移しますよ」言葉に、全員唖然あぜんとしていたが……。
 まぁ、3ヶ月毎に階層を移動する冒険者パーティーはいないだろう。
 Lvを上げるために俺達は移動を続ける必要がある。
 沙良のLvが上がらないと、俺のマンションに行けないからな。
 
 安全地帯から出て最初に会敵したのは、予想外のゴブリンだった!!
 なんと沙良は、ゴブリンの頭を石化して魔法Lvを上げる心算つもりらしい。
 魔石取りをしても銀貨1枚(1万円)しかならないのに、金貨1枚(100万円)のフォレストベアやフォレストボアじゃなくてもいいのか?
 沙良がゴブリンばかり索敵する所為せいで、俺と旭は魔石取りに追われた。
 こんな魔物じゃ、オリハルコン製のナイフが泣くぞ!?
 しばらくゴブリン狩りが続き、そろそろ他の魔物を見たいと思っている頃、フォレストスネークと会敵した。
 木の枝から攻撃される前に、魔石取りのストレスでイライラしていた俺が瞬殺する。
 皮が緑色なのは保護色だからか?
 居る場所が分からなければ、見付けづらい魔物だな。
 フォレストと名の付くウルフ・ベア・ボアも毛皮が緑色かと思えば、こちらは緑色じゃなかった。
 初見の魔物であるフォレストキャットを倒すのは、猫好きな俺としては心が痛む。
 一瞬、躊躇ちゅうちょしている間に沙良が倒した。
 魔物だしな、仕方ない。
 
 金曜日の攻略終了日までに、顔見知りの5つの冒険者パーティーが増えた。
 地下10階に居た7パーティーの冒険者が、地下11階まで移動してきた事になる。
 これは、治癒術師2人がいる俺達の治療を当てにしてだろう。
 果たして3ヶ月後の移動も付いてこれるか?
 冒険者ギルドで換金すると、フォレストスネークは皮の状態がいいから金貨2枚になった。
 沙良は換金額が2倍になったと大喜びしている。
 そうだろう、そうだろう。
 だからもうゴブリンの魔石取りはさせないでくれ! あの醜悪しゅうあくな顔が夢に出てきそうだ。
 地下11階の攻略は、ダンジョン内が迷路状から森になっただけで何事もなく終わった。
 他領から来た冒険者は地下10階に居るので、俺達が関わる事はないと願いたい。

 ホームに戻って旭と居酒屋へ行く。
 生ビールを飲んで枝豆をまみながら旭が口を開き、

「沙良ちゃんがゴブリンの魔石取りばかりさせるから、手が腱鞘炎けんしょうえんになりそう!」

 珍しく不満をらす。
 5日間で150匹以上だからな。
 更にフォレストキャットの魔石取りを、60匹以上させられれば気持ちは分かる。

「あ~、悪い。沙良の石化魔法のLvが上がるまで我慢してくれ。あいつは夢中になると周りが見えなくなるから……」

「それは知ってるけど、ゴブリンは嫌い!!」

 そう言って旭が生ビールを飲み干す。
 今日は好きに飲ませてやろう。

「その内に飽きるだろう。フォレストスネークの皮を高く買い取りしてもらえて喜んでたしな」

「だといいなぁ~。そうだ! ベアがいる森なら、ローリエが採取出来るんじゃない?」

 ゴブリン狩りから意識を逸らせたい旭が、以前ベアが居た森でローリエを採取したのを思い出したようだ。
 ふむ、上手く誘導すれば沙良が採取したがるか?

「それとなく言ってみよう」

 俺の言葉に旭は大きくうなずき、だし巻き卵を口一杯頬張ほおばった。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇