1 / 1
異世界に行ける世界で…
しおりを挟む
異世界が証明され早100年。
転生するための薬が生まれて70年が経った。
世界各国の文化は徐々に衰退、それは文明も同じだった。
日本がマンガ、アニメ大国なんて言われたのも今や昔。100年前と比べ15分の1となった人口でそんなものが産み出される余裕は無かった。
きっとこれからもないだろう。
今この国は重大な人口減少が起きていると政治家は言っているが内心は自分も異世界に転生したいんだ。十代の俺にはそう聞こえる。
この国に残ったのは政を仕切る者、こんな時代でもバカみたいに文化を残そうとする愚か者、そして物好きな俺らだ。
俺には両親がいない
「子供くらいはこっちで作りたい」人間はここ10年で人口と反比例するように増えたそうだ。
大昔の感性は消えたらしい。
ちなみに、俺の親は両方とも16歳だったそうだ。
法もへったくれもあったもんじゃないな。
そんな廃退的で得一つ夢一つ無い世界で俺は今何してるかって?
普通に学校に来ている。
とはいえだ、先生と呼べる用な人間は殆どいないこの時代だと数人の子供で集まって大昔の文章、教科書から学ぶという学習が主流になっている。
面白いのは大昔の小説だ。
異世界のことばっかり書いてやがる。
夢を膨らませた結果、こんな世界が形成された。
少年心の最終版、現実を見すぎないお陰で現実から乖離したものを作り出す野蛮性は人間の特徴だろう。善し悪しはともかくだ。
「Q1、異世界に転生した者が増えた要因は?」
「A、当時は異世界が物珍しかったから」
解答としては三角だ。
満点の答えは
「A'、当時の若者にとって異世界が物珍しく、かつ夢のある『逃避場所』だったから」
だ
いわゆる『ブラック企業』なるものが原因だ。
もしくは当時の言葉で『陰キャ』とか今もいる『引きこもり』か。
辛い事から逃げ続けた上でたどり着いた場所だ。
この時代の人間に言わせりゃ『当然の帰結』ってやつだ。
現実じゃあまずあり得ない魔法だモンスターだ云々。そして元々は自分と同じような人間が無双と来たもんだ。共通点はなんだ?昼と夜があって、重力があるくらいか?
あ、雄雌とかもか。
そんな異世界は逃げるのに最高な場所だったろうな。それが見つかって、行けるんだもの、そりゃ使うよな。
「問二、では貴方は異世界に行ってみたいと思うか否か。」
「解、断じて否である」
言うまでもない。
俺は彼らじゃないし彼らに俺は理解出来ない。
前提がそもそも間違っているんだ
「異世界がない」
か
「異世界がある」
かの違い。
彼らは異世界があることを知らなかった。
彼らの中には異世界が無かった、故に欲したのだ。
対して俺は異世界があることを知っている人間だ。
そういう意味では全く違う。
俺の中には異世界があるのだ。
「③、では今の人間は異世界に行きたくないのか?」
「答、そんなことはない」
人もいなくなり、社会が成り立ってない世の中には逃げる物が無いのになぜか転生は後を経たない。
それは人間の根底にある「周りがやってるから自分もやる」といった心理によるものだ
だから俺は物好き扱いなんだよ。
そうそう、前に告白されたときがあったんだよね。
「好きです!」
ってさ。古いマンガであるような古典的なやつ。
でもこの後の台詞が最高に現代チックだったぜ。
「転生しても仲良くしてください」
だとよ。
転生するのは最早常識らしいな。面白くない。
彼女がどうなったかって?
適当にOK出したら速攻で薬を使ったよ。
ハナから異世界に行きたかったらしい。
俺は行かないけどな。
「(4-1)、異世界に行くに当たり禁止となっているものを答えなさい」
「未成年の薬の服用不可」
法律にもなっている、がさっきも言った通り法もへったくれもあったもんじゃないんだよ。
普通に学生が使うことだってある。さっきの話みたいにね。
「(4-2)それは何故か」
言うまでもない。
転生するのは死ぬからだ。
薬の正体は劇薬。胃酸と反応してどうとか言っていたがよくはわからない。
一時は「倫理観がどうこう」とか「死の価値観云々」とか言っていた時期もあったそうだが、「肉体的に死んでいても魂が生きているから」という理由で黙らせたらしい。
死んでしまったら異世界があるのかわからない筈なのに、異世界転生が出来るという矛盾抱えているのになぜ使うのか?
ただただ意味無く死んでいるだけじゃないのか?
と思ったが、大学のお偉いさん方が説明していたのでどうにかしたのだろうと思うことにした。
じゃないと本当に無駄死にだろう?
「クエスチョン、あなたはだぁれ?」
「アンサー……」
俺はひねくれものだ。流行に逆らう。
俺は物好きだ。ここが好きだ。
俺は変人だ。誰もいないはずの教室に今日も来ていた。
俺は…
「ハルト…これが糞みたいな両親の唯一の名前。俺を示す固有名詞。物好きな俺に何の用だ?」
「辛辣だなぁ…一人が嫌なんじゃないかと思ってここに来たのに…」
「それは…どういう…」
「それはQ?なら答えなきゃだね。誰もいない教室なんて寂しいもの。提案をしに来たついでに遊んでいただけよ?」
「提案…?」
何を提案するというのだろう。後ろ向きで、面白味もなく、根元から炭になったようなこの世界で一体…
「ねぇ、一緒に…世直ししましょう?」
Q……異世界の人間はこっちに転生したくなるのでしょうか?
A、まだそれには程遠い。
でも…いつか…それをやってみせようと思えたんだ。真っ暗でもね。
転生するための薬が生まれて70年が経った。
世界各国の文化は徐々に衰退、それは文明も同じだった。
日本がマンガ、アニメ大国なんて言われたのも今や昔。100年前と比べ15分の1となった人口でそんなものが産み出される余裕は無かった。
きっとこれからもないだろう。
今この国は重大な人口減少が起きていると政治家は言っているが内心は自分も異世界に転生したいんだ。十代の俺にはそう聞こえる。
この国に残ったのは政を仕切る者、こんな時代でもバカみたいに文化を残そうとする愚か者、そして物好きな俺らだ。
俺には両親がいない
「子供くらいはこっちで作りたい」人間はここ10年で人口と反比例するように増えたそうだ。
大昔の感性は消えたらしい。
ちなみに、俺の親は両方とも16歳だったそうだ。
法もへったくれもあったもんじゃないな。
そんな廃退的で得一つ夢一つ無い世界で俺は今何してるかって?
普通に学校に来ている。
とはいえだ、先生と呼べる用な人間は殆どいないこの時代だと数人の子供で集まって大昔の文章、教科書から学ぶという学習が主流になっている。
面白いのは大昔の小説だ。
異世界のことばっかり書いてやがる。
夢を膨らませた結果、こんな世界が形成された。
少年心の最終版、現実を見すぎないお陰で現実から乖離したものを作り出す野蛮性は人間の特徴だろう。善し悪しはともかくだ。
「Q1、異世界に転生した者が増えた要因は?」
「A、当時は異世界が物珍しかったから」
解答としては三角だ。
満点の答えは
「A'、当時の若者にとって異世界が物珍しく、かつ夢のある『逃避場所』だったから」
だ
いわゆる『ブラック企業』なるものが原因だ。
もしくは当時の言葉で『陰キャ』とか今もいる『引きこもり』か。
辛い事から逃げ続けた上でたどり着いた場所だ。
この時代の人間に言わせりゃ『当然の帰結』ってやつだ。
現実じゃあまずあり得ない魔法だモンスターだ云々。そして元々は自分と同じような人間が無双と来たもんだ。共通点はなんだ?昼と夜があって、重力があるくらいか?
あ、雄雌とかもか。
そんな異世界は逃げるのに最高な場所だったろうな。それが見つかって、行けるんだもの、そりゃ使うよな。
「問二、では貴方は異世界に行ってみたいと思うか否か。」
「解、断じて否である」
言うまでもない。
俺は彼らじゃないし彼らに俺は理解出来ない。
前提がそもそも間違っているんだ
「異世界がない」
か
「異世界がある」
かの違い。
彼らは異世界があることを知らなかった。
彼らの中には異世界が無かった、故に欲したのだ。
対して俺は異世界があることを知っている人間だ。
そういう意味では全く違う。
俺の中には異世界があるのだ。
「③、では今の人間は異世界に行きたくないのか?」
「答、そんなことはない」
人もいなくなり、社会が成り立ってない世の中には逃げる物が無いのになぜか転生は後を経たない。
それは人間の根底にある「周りがやってるから自分もやる」といった心理によるものだ
だから俺は物好き扱いなんだよ。
そうそう、前に告白されたときがあったんだよね。
「好きです!」
ってさ。古いマンガであるような古典的なやつ。
でもこの後の台詞が最高に現代チックだったぜ。
「転生しても仲良くしてください」
だとよ。
転生するのは最早常識らしいな。面白くない。
彼女がどうなったかって?
適当にOK出したら速攻で薬を使ったよ。
ハナから異世界に行きたかったらしい。
俺は行かないけどな。
「(4-1)、異世界に行くに当たり禁止となっているものを答えなさい」
「未成年の薬の服用不可」
法律にもなっている、がさっきも言った通り法もへったくれもあったもんじゃないんだよ。
普通に学生が使うことだってある。さっきの話みたいにね。
「(4-2)それは何故か」
言うまでもない。
転生するのは死ぬからだ。
薬の正体は劇薬。胃酸と反応してどうとか言っていたがよくはわからない。
一時は「倫理観がどうこう」とか「死の価値観云々」とか言っていた時期もあったそうだが、「肉体的に死んでいても魂が生きているから」という理由で黙らせたらしい。
死んでしまったら異世界があるのかわからない筈なのに、異世界転生が出来るという矛盾抱えているのになぜ使うのか?
ただただ意味無く死んでいるだけじゃないのか?
と思ったが、大学のお偉いさん方が説明していたのでどうにかしたのだろうと思うことにした。
じゃないと本当に無駄死にだろう?
「クエスチョン、あなたはだぁれ?」
「アンサー……」
俺はひねくれものだ。流行に逆らう。
俺は物好きだ。ここが好きだ。
俺は変人だ。誰もいないはずの教室に今日も来ていた。
俺は…
「ハルト…これが糞みたいな両親の唯一の名前。俺を示す固有名詞。物好きな俺に何の用だ?」
「辛辣だなぁ…一人が嫌なんじゃないかと思ってここに来たのに…」
「それは…どういう…」
「それはQ?なら答えなきゃだね。誰もいない教室なんて寂しいもの。提案をしに来たついでに遊んでいただけよ?」
「提案…?」
何を提案するというのだろう。後ろ向きで、面白味もなく、根元から炭になったようなこの世界で一体…
「ねぇ、一緒に…世直ししましょう?」
Q……異世界の人間はこっちに転生したくなるのでしょうか?
A、まだそれには程遠い。
でも…いつか…それをやってみせようと思えたんだ。真っ暗でもね。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
公爵閣下、社交界の常識を学び直しては?
碧井 汐桜香
ファンタジー
若い娘好きの公爵は、気弱な令嬢メリシアルゼに声をかけた。
助けを求めるメリシアルゼに、救いの手は差し出されない。
母ですら、上手くやりなさいと言わんばかりに視線をおくってくる。
そこに現れた貴婦人が声をかける。
メリシアルゼの救いの声なのか、非難の声なのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる