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その女神、悦楽
女神の遭遇(3)
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セルゲイは捻り上げられた腕をなんとか振りほどき、仰向けになった。アッシュは器用に落ちることなくセルゲイの腹の上に座った。
一瞬見つめあったアッシュの瞳が子供のようにキョトンとしているのを彼は見逃さなかった。隙ができたと思い、アッシュの胸ぐらをつかみ頭突きをくらわせた。
それで怯むかと思いきや、怯むことなく座り続けた。
「面白い」
言葉もなく逃れようとするができない。すると、何かつぶやくのが聞こえた。
「最小限の動きで、最大限の力を出す」
ハッとしたときにはニヤリと笑うアッシュの顔が目に入り、左の頬に右拳が叩き込まれた。思っていたより重たい拳に一瞬驚いたがそれどころではない。再び振り上げられた拳。それをつかんだ。なおも伸びようとする腕を押し返す。
「おい、アッシュ!お前何やってんだ!」
観客席から男の声が飛んできた。
その方を見ると、身なりのいい厳つい大男が叫んでいた。アッシュというのがこの者の名前なんだろう。
「うるさいなぁ。僕今遊んでるんだけど」
少し不機嫌そうに答える。
大男は呆れたように頭を抱えた。そして三メートルほどある高さの観客席から飛び降りて、つかつかと近寄ってきた。
「あ、おいちょっと!」
アッシュの制止も聞かずに、大男はひょいと俵担ぎに抱き上げた。そして、体を起こしたセルゲイに一礼した。
「すまねぇな。こいつが世話かけた」
「あぁ、いや」
審判にも頭を深々と下げた。
「試合をめちゃくちゃにしてすまねぇ。一戦だけやったら帰るというから参加させたんだが申し訳なかった。こいつは俺が責任もって連れて帰る」
そういうと、背を向けて野次が飛び交う闘技場を去って行った。
その途中、担ぎ上げられたアッシュは叫んだ。
「セルゲイ!お前、面白いね!僕の友達にしてあげるよ。また遊ぼうね」
手を振りながら無邪気に告げた。
その様子を姿が見えなくなるまで見送った後、思い出したように審判はセルゲイの勝利を告げた。
身に入らない感じで控室に向かうと、部下がいた。
「お疲れ様でした。いったい何者だったんですかね」
「俺にもわかんねぇよ」
ベンチに座り込んだ。そのそばに控え、タオルと飲み物を渡す。
「でも、俺あの大男見たことある気がするんです」
「酒場でか?」
「いいえ、王宮でですよ。見間違いかもしれないですけどね」
「そうか」
セルゲイは遠い目を床に向けた。とてつもない疲労感に襲われていた。あの試合だけでここまで疲れたのか、と驚きながらもアッシュの瞳が忘れられなかった。
一瞬見つめあったアッシュの瞳が子供のようにキョトンとしているのを彼は見逃さなかった。隙ができたと思い、アッシュの胸ぐらをつかみ頭突きをくらわせた。
それで怯むかと思いきや、怯むことなく座り続けた。
「面白い」
言葉もなく逃れようとするができない。すると、何かつぶやくのが聞こえた。
「最小限の動きで、最大限の力を出す」
ハッとしたときにはニヤリと笑うアッシュの顔が目に入り、左の頬に右拳が叩き込まれた。思っていたより重たい拳に一瞬驚いたがそれどころではない。再び振り上げられた拳。それをつかんだ。なおも伸びようとする腕を押し返す。
「おい、アッシュ!お前何やってんだ!」
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「あ、おいちょっと!」
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「すまねぇな。こいつが世話かけた」
「あぁ、いや」
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「試合をめちゃくちゃにしてすまねぇ。一戦だけやったら帰るというから参加させたんだが申し訳なかった。こいつは俺が責任もって連れて帰る」
そういうと、背を向けて野次が飛び交う闘技場を去って行った。
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