魔女が住まう街にて〜Incident analysis by modern witches〜

nashlica

文字の大きさ
54 / 100
file3:魔女と信仰を歪めし枢機卿

第4節 魔女が住まう街④

しおりを挟む
PM 6:20 大通公園(ビアガーデン会場)

「「かんぱーい!!」」

 ジョッキを重ね合う音が、鳴り響く。キンキンの冷えたそれは、蒸し暑さが残る夜にはピッタリだった。
 豪快にビールを飲み干すセシリア。どうやら、酒が欲しかったみたいだ。

「いや~! 無事に終わったわね!! 正直、ダメかと思ったわ!」
「無事に終わったじゃないですよ。始末書の処理にどんだけ時間がかかっと思ってますか!?」
「それに、キサラギさんまで呼んだからって、どんだけピッチャー頼んでるんですか?」
「いいじゃないそれは。あなたもそうでしょう? アル」

 セシリアは、話しながら、私の方に腕を置く。女同士でも、暑苦しいから勘弁してほしいものだ。

「別にいいが、酔い潰れないでくれよ。そこまでは面倒見る気はない」

「ま~たまた」っと言いながら、勝手に私のジョッキにビールを足すセシリア。配慮というものがないのか?
 だが、勢いがあまり、泡が溢れ出してしまった。急いで拭いてると、美羽とリリィとイロハが、私たちの席に来たみたいだ。

「おぉ! やってるねぇ! 僕らも混ぜてよ」
「遅いじゃないですか、議長。 もうやってましたよ!!」

 美生とアリスは、3人を席に案内する。すると、ジョッキが2つ追加された。

「僕は飲めないから、君らで嗜んでておくれ。それに、君が来てくれるなんてね」
「ここは私の街さ。せっかくの誘いを断るわけにはいかないだろ?」

 リリィは、オレンジジュースを飲みながら、私に話す。

「まぁ、そうだね。君がいなきゃ、今回の件は最小ですんだ訳だし。感謝してるよ」
「報酬はしかと受け取ったからいいよ。それで? いつこの国を出るんだい?」
「明日には出とうとは思ってますが、セシリアさんのあの様子では、難しそうですね」

 美羽は、セシリア達の方を見る。あんな様子では、帰るのは難しいの取ろうとは思うのは無理もないだろう。

「それで?『グリモワル真書』はどうだったの?」

 リリィは、私に『グリモワル真書』について、聞き出す。

「紛れもない本物だったよ。それを知らず、聖典なんて言ってんだ。馬鹿げた話さ」
「まぁ、奴らにとって、そう捉えたいんだろうさ。それが、敵対組織の開祖の書いた書籍と知ったら、それこそ終わりさ」
「『グリモワル真書』は、模造品でさえ国宝クラスの代物ですからね。それの本物を手にしていたと考えたら、この世の全てを手にしたと変わりませんから」

「そうさ。アレを手にしただけで、魔術世界にとっては富の全てを手にしたと言っていいだろう。だが、アレは一冊だけでは真価を発揮しないさ。『グリモワル真書』は、9冊揃ってこそその真価を発揮する。人間というのは馬鹿なものさ。9冊揃わんといけないものを、たかが一冊手にしただけで、この世の全てを手にしたと勘違いしやがる」

 そんな話をした後、私は、ビールを口に含む。ジョッキが開いた後に、ピッチャーに入れてあるビールを、ジョッキに注ぎ込む。
 その話を聞いた後、美羽は話を続ける。

「では、キサラギさんは何のためにそれをお集めになるのです?」
自分虹の魔女を知るためさ。奴が、何のために、いたのか。それを知るためかな?」
「相変わらず、その探究心は強いよね。まぁ僕も、それを知りたいから、君に協力してるんだしね」

 リリィは、オレンジジュースを飲みながら言う。

「それに、この街を君を置いたのは僕な訳だし。そのせいで、この街札幌はこう呼ばれてるんだよ」

 リリィの言葉に、その名称は何なのかはわかった。

 ――――――――【魔女が住まう街】

 巷では、この街をそう呼ぶものが多いだそうだ。迷惑な話この上ないのは確かだが、みんな他の魔術師が住み着かないようにはしている。
 汚職に近い事は確かだが、こうまでしないと、より面倒な事になるのだから。

「何4人で水臭いことしてるのよ!! 今日はパーっと飲みましょうよ!!」

 セシリアが、私たちの席に来る。すでに出来上がっていたようなので、やれやれと思いつつ私は付き合う事にした。


 ――――2時間後

 セシリア達は酔い潰れてしまい、その場から動こうとしない。当然だ。あれ程の勢いでビールをたらふく飲むのだから。幸い、私とイロハとリリィは酔っていないが、他のメンツはもうダメみたいだ。
 
 
「それじゃ、あとは頼むね」
「はい。セシリアさんたちは後で連れて行きますので!」

 イロハにセシリア達を任し、私はあるところへと向かう。

「待ってたわ。今日も極上の酒を用意したわ」
仮面の魔女ジャンヌ』が、出向いてくれた。どうやら、私の為にいい酒を用意しながら待っていたそうな。
仮面の魔女ジャンヌ』は、ロックグラスにウィスキーを注ぐ、会場では吸えなかったので、席につくなり私は煙草を吸い出す。
 
「今回はかなり大変だったわね。ここ最近では、5本の指に入るほどよ」
「一時はどうなるかと思ったが、まぁ終わればいい訳だしね」
「そうね。【虹の魔女あの方】の力なしでは、難しかったのもあるわね」

仮面の魔女ジャンヌ』は、灰皿を私の前に置く。私は、遠慮なく吸い殻を灰皿に落とす。

「それで? 今後の予定は?」

「さぁね。今まで通り、その時次第に動くさ」
「あなたらしいわね。でも、たまには自分の目的のために動くのもありよ。待ってるだけじゃ、何も進まないわ」
「それもありか。だが、易々とこの街を離れるわけにはいかないさ」
「あのお子様との約束があるなら、致し方ないわ。でも、そうならなく時もくるんじゃない?」

仮面の魔女ジャンヌ』は、私に指摘する。今はリリィとの誓約がある以上、安易にこの街を離れられない。でも、私は、この街を離れる気はない。

「確かに。でも、私はこの街を離れる気はないよ」
「まぁ、あなたがそう思うなら、構わないわ」

 私は、グラスの酒を飲み干し、席から上がる。そして、紙袋を置き、ここを後にする準備をする。

「これ、置いていくよ」

 そう言うと、『仮面の魔女ジャンヌ』はそれを受け取る。

「確かに、受け取ったわ。それじゃ、またね」

仮面の魔女ジャンヌ』が受け取るのと同時に、私はここを後にした。
 少しすすきのの街を歩く。しばらく歩いていると、事務所に帰ってきた。私は自分の席に座ると、急激な睡魔が私を襲う。
 こうして、私は眠りについたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

処理中です...