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2章魔術師学院(閑話)
29話落胆
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大会2日目の午前中に、俺、クロテア、フレスは魔術治癒センター病院にいた。
病院は学校近くにあり、徒歩で行ける距離だ。
なぜ病院にいるのかというと、ガロロのお見舞いである。
両手にはたくさんの果物と漫画やゲームを抱え、ガロロが眠る病室へ入った。
「おお!」
腹部分が包帯で巻かれたある人物は意外にも子供らしい笑顔だった。
茶髪短髪、つんつんとした頭頂部、つり目の犬の少年。
「元気そうで何よりだな」
「腕だって、脚だって全然、動かせるぜ。痛たたた……ははは、ちょっと痛いけど、後一時間もしてりゃ、大会に復帰だからよ! ゼル心配すんな?」
「ガロロ……もういい……」
明るく振る舞っているようだが、無理してるようにしか見えなかった。
「ゼル……おめぇ……まさか、団体戦諦めるとか言わねーだろうな?」
もう既に事の経緯は聞かされている。
ガロロは全治三週間の怪我だそうだ。
腹部分に与えられたダメージが思ったよりも大きかった。
通常はゲームなので、ある程度のダメージ軽減されているはずだが、昨日はされていなかった。
誰かが故意に操作したとしか考えられなかった。
「残念ながら、団体戦は棄権だ」
「何言ってんだよ……ゼル」
団体戦は三人一組が義務付けられ、追加の補欠は事前登録しないと認められないそうだ。
「早く怪我を治すことが優先だ」
「……」
ガロロは険しい表情をし、俯いた。
クロテアはあまりのカバーニの落ち込みっぷりを察して黙っていた。
フレスは心配そうな顔でその様子を見守っている。
そして、病室を後にし、病院から出た。
「ガロロ君落ち込んでいた……」
「何……Aクラスは俺達だけじゃない。他にもいるんだ。勝利を託して任せよう。後は個人戦で頑張ろう」
学校の魔術闘技場へ向かって歩いていると、手を上げたイルガと出会した。
「ガロロは元気だったか?」
「ええ。元気でした」
「それを聞いてひと安心だ」
「あの……ゲーム世界にバグが入ったと言ってましたが、本当ですか?」
「いや違う。犯人がいる。そして、犯人は特定した……」
「誰です?」
「B組のアシュリー子爵家のミドロクらが首謀者で、幾人かの生徒がその指示通りに動いた」
「なら、その人達に何らかの処罰はくだされるのですか?」
「いや。学校側はミドロクの罪を不問にするつもりだ……」
「悪いことしたのに罰せられないのは……おかしいな」
「これは、教頭命令だ。従わなければならない」
「何ですか……理由になっていません」
「詳しく言うと、アシュリー子爵家から圧力がかかった、学校側は逆らえない。分かるだろ? 世界は力ある者が支配しているんだ」
「分かりますが。学校の一大会に貴族が関与して良いのですか? 学校が許すとはどういうことなんです? 教育とは何ですか?」
「話は終わりだ」
俺達は納得するしかなかった。
俺とフレスは個人戦一回戦が行われる魔術闘技場Bに。
一方、クロテアは魔甲闘技場Cに向かった。
*
個人戦一回戦第25試合Aクラストーマス=ゼルフォード対Bクラスメルローズ騎士伯家ジン。
個人戦は1VS1で戦う。
相手のライフをゼロにした方が勝利。
敵は剣を向け、明らかに俺を見下した利発な両眼をしている。
「……君、身分は?」
「……平民の出だが」
「平民で、Aクラスか……不釣り合いだな」
「それはどうも」
「ずいぶん馴れ馴れしいな言葉遣い。これでも僕はエルグランド王国の騎士の父を持つ……まあ良い、これからたっぷりとしごいてやる」
レベル100
攻撃力 200
敏捷力 200
騎士は量産型灰色魔甲。
恐れる程ではないが、攻撃力、敏捷力はそれなりに高い。
「では始め!」
騎士は片手に長剣を持ち、即座に凄まじい速さで、一直線に俺の胸部分を向けて、襲いかかる。
【騎士の加速】レベル7
ランク D
威力 +50
効能 時間を追う毎に敏捷力が上昇する
「騎士の強さ……みせてやる!!!!」
速い。
自分の能力が高いというだけのことはある。
だが、直線的過ぎる。
その時、騎士が霧のように消えた。
騎士はいつの間にか、笑みを浮かべ、俺の背後にいた。
「クックックッ……分からなかっただろう?……僕は【霧隠れ】の術に長けているんだ」
一種の隠蔽の類の術だ。
既に【鑑定眼】で見破っている。
「くらぇ! 平民風情がぁぁ!!!!」
その瞬間、俺は敵の重力方向を逆にし、浮き上がらせ、バランスを崩し、剣から手を離させ、重力方向を戻し、更なる重力を掛け、地面落下させた。
「え? ぐはっ! がぁぁぁぁ!」
その落下の衝撃波に審判員は目を丸くさせ、食い気味に。
「し……しょうしゃトーマス=ゼルフォード!」
どよめく会場。
まあ、こんなものか……。
「勝者シウス=フレス!」
という審判の声が同時にする。
俺はフレスと目がばっちり合う。
「やった」
「良くやったな」
二人でアイコンタクトを取る。
「ふざけるなぁぁぁぁ! こんなことがあるか! 騎士が平民に負けるはずがない!」
負けたのにまだ、言ってるのか……。
俺は【重力制御】の技で楽々二回戦、三回戦と勝ち上がっていく。
一方、フレスは二回戦で負けてしまった。
だが、彼女は落ち込む様子はどこにも無く、「だって、全力で頑張って負けたから。次はもっと強くなる」と笑顔でそう言っていた。
病院は学校近くにあり、徒歩で行ける距離だ。
なぜ病院にいるのかというと、ガロロのお見舞いである。
両手にはたくさんの果物と漫画やゲームを抱え、ガロロが眠る病室へ入った。
「おお!」
腹部分が包帯で巻かれたある人物は意外にも子供らしい笑顔だった。
茶髪短髪、つんつんとした頭頂部、つり目の犬の少年。
「元気そうで何よりだな」
「腕だって、脚だって全然、動かせるぜ。痛たたた……ははは、ちょっと痛いけど、後一時間もしてりゃ、大会に復帰だからよ! ゼル心配すんな?」
「ガロロ……もういい……」
明るく振る舞っているようだが、無理してるようにしか見えなかった。
「ゼル……おめぇ……まさか、団体戦諦めるとか言わねーだろうな?」
もう既に事の経緯は聞かされている。
ガロロは全治三週間の怪我だそうだ。
腹部分に与えられたダメージが思ったよりも大きかった。
通常はゲームなので、ある程度のダメージ軽減されているはずだが、昨日はされていなかった。
誰かが故意に操作したとしか考えられなかった。
「残念ながら、団体戦は棄権だ」
「何言ってんだよ……ゼル」
団体戦は三人一組が義務付けられ、追加の補欠は事前登録しないと認められないそうだ。
「早く怪我を治すことが優先だ」
「……」
ガロロは険しい表情をし、俯いた。
クロテアはあまりのカバーニの落ち込みっぷりを察して黙っていた。
フレスは心配そうな顔でその様子を見守っている。
そして、病室を後にし、病院から出た。
「ガロロ君落ち込んでいた……」
「何……Aクラスは俺達だけじゃない。他にもいるんだ。勝利を託して任せよう。後は個人戦で頑張ろう」
学校の魔術闘技場へ向かって歩いていると、手を上げたイルガと出会した。
「ガロロは元気だったか?」
「ええ。元気でした」
「それを聞いてひと安心だ」
「あの……ゲーム世界にバグが入ったと言ってましたが、本当ですか?」
「いや違う。犯人がいる。そして、犯人は特定した……」
「誰です?」
「B組のアシュリー子爵家のミドロクらが首謀者で、幾人かの生徒がその指示通りに動いた」
「なら、その人達に何らかの処罰はくだされるのですか?」
「いや。学校側はミドロクの罪を不問にするつもりだ……」
「悪いことしたのに罰せられないのは……おかしいな」
「これは、教頭命令だ。従わなければならない」
「何ですか……理由になっていません」
「詳しく言うと、アシュリー子爵家から圧力がかかった、学校側は逆らえない。分かるだろ? 世界は力ある者が支配しているんだ」
「分かりますが。学校の一大会に貴族が関与して良いのですか? 学校が許すとはどういうことなんです? 教育とは何ですか?」
「話は終わりだ」
俺達は納得するしかなかった。
俺とフレスは個人戦一回戦が行われる魔術闘技場Bに。
一方、クロテアは魔甲闘技場Cに向かった。
*
個人戦一回戦第25試合Aクラストーマス=ゼルフォード対Bクラスメルローズ騎士伯家ジン。
個人戦は1VS1で戦う。
相手のライフをゼロにした方が勝利。
敵は剣を向け、明らかに俺を見下した利発な両眼をしている。
「……君、身分は?」
「……平民の出だが」
「平民で、Aクラスか……不釣り合いだな」
「それはどうも」
「ずいぶん馴れ馴れしいな言葉遣い。これでも僕はエルグランド王国の騎士の父を持つ……まあ良い、これからたっぷりとしごいてやる」
レベル100
攻撃力 200
敏捷力 200
騎士は量産型灰色魔甲。
恐れる程ではないが、攻撃力、敏捷力はそれなりに高い。
「では始め!」
騎士は片手に長剣を持ち、即座に凄まじい速さで、一直線に俺の胸部分を向けて、襲いかかる。
【騎士の加速】レベル7
ランク D
威力 +50
効能 時間を追う毎に敏捷力が上昇する
「騎士の強さ……みせてやる!!!!」
速い。
自分の能力が高いというだけのことはある。
だが、直線的過ぎる。
その時、騎士が霧のように消えた。
騎士はいつの間にか、笑みを浮かべ、俺の背後にいた。
「クックックッ……分からなかっただろう?……僕は【霧隠れ】の術に長けているんだ」
一種の隠蔽の類の術だ。
既に【鑑定眼】で見破っている。
「くらぇ! 平民風情がぁぁ!!!!」
その瞬間、俺は敵の重力方向を逆にし、浮き上がらせ、バランスを崩し、剣から手を離させ、重力方向を戻し、更なる重力を掛け、地面落下させた。
「え? ぐはっ! がぁぁぁぁ!」
その落下の衝撃波に審判員は目を丸くさせ、食い気味に。
「し……しょうしゃトーマス=ゼルフォード!」
どよめく会場。
まあ、こんなものか……。
「勝者シウス=フレス!」
という審判の声が同時にする。
俺はフレスと目がばっちり合う。
「やった」
「良くやったな」
二人でアイコンタクトを取る。
「ふざけるなぁぁぁぁ! こんなことがあるか! 騎士が平民に負けるはずがない!」
負けたのにまだ、言ってるのか……。
俺は【重力制御】の技で楽々二回戦、三回戦と勝ち上がっていく。
一方、フレスは二回戦で負けてしまった。
だが、彼女は落ち込む様子はどこにも無く、「だって、全力で頑張って負けたから。次はもっと強くなる」と笑顔でそう言っていた。
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