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3章見習い魔術の商人(本編)
1話初めての受付嬢
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それから、俺は学校を退学し、死の魔術を使った罪でエルグランド王国から追われる立場となった。
エルグランド王国の手が届かない上の階層を目指し、101階層都市フィールドにある中都市モルトに現在身を置いている。
もう、学校に戻ることはない。
かといって、父親が支配する帝国に戻るつもりはない。
戻ったら、戻ったで、再び憎き父の制限下に置かれなければならないのだ。
さて、これからどうしようか。
歩くか、少し歩いたら何か見えるてくるものがあるかもしれない。
このモルトという街は大きくはないが、割と栄えているようだ。
そして、白亜の建物が見えてきた。
あれが冒険者ギルドの施設か……。
シャルマンギルドと看板に書かれている。
戦地には赴いたことがあるが、ダンジョンへは二、三度ぐらいしか行っておらず、また冒険者ギルドや商人ギルドにも入会はしていない。
ただ、冒険者ギルドに入会した方がメリットは大きいことは知っている。
様々な情報やボーナス報酬の面はかなり優遇されるのだ。
中へ入ると、酒場と二階がある広間があった。
「冒険者ギルド……シャルマンギルドへようこそ……です」
と、その時、怒鳴り声が場内に響いた。
「っ……喋るんじゃねぇよぉぉぉぉ!」
「……」
そこには涙を垂らし、俯くサキュバスの受付嬢と怒鳴る客の冒険者の男。
周囲の客や受付嬢は制止するどころか、軽蔑の視線を彼女に送っている。
「なんだよ……あそこに美人の受付嬢いるじゃん……ったくこんな醜くて、貧乳の受付嬢寄越すんじゃねぇよ」
数分後、別のロリ顔巨乳の受付嬢がやってきた。
「お客様どうされました?」
「いやさ、こいつに不愉快な思いされたんだわ。いきなり喋ってくるしさ……」
「誠に申し訳ございませんでした。代わりに私が対応させて頂きます」
「本当しっかりしてくれよ」
それは客が散々罵倒した挙げ句に別の受付嬢の手を取り、卑しい目つきでカウンターへ直行するという残酷な一部始終だった。
その床に崩れ落ちた受付嬢は明るい青髪のショートカット、可愛いらしい羊の角、白金の露出の多いメイド服、白スカーフを纏った飛び切り可愛い美少女。
憂鬱な紅の両眼で床を見、奇妙にも自分の両胸を触り、再び溜め息をついた。
すると、その受付嬢は物欲しげに紅の両眼でこちらを向き、ぱぁっと表情を明るくさせる。
え? 俺?
テクテクとやってきて、やや膨らみのある胸の谷間に俺の腕を無理矢理に挟ませ、というか、挟みきれてないんだが、一生懸命に上下にすりすりさせながら、受付まで引っ張っていく。
視線を向けると、無言の満面の笑顔で返してくれる。
そこまでして気に入られたいのか……それともただ性欲旺盛な女の子なのか……でもな、なんか違う気もするんだよな。
「あの、質問していいですか?」
「え?」
「私のこと嫌いですか?」
「直球過ぎてよく分からないんだが、ただ初めて会った人を嫌う奴なんていないと思うんだが」
「そうですね……でも、私は嫌われてるんです」
「嫌われてるって言われてもな、勘違いとかは考えたか?」
「私……このギルドの中で一番人気の無い受付嬢なんです。その証拠が私だけ胸にネームプレートが無いんです」
「……」
「私が……私がお客様の受付をすると、なんでかな? ……みんな別のカウンターに行ったり、舌打ちして帰っちゃうんです。へへへ……面白いですよね……本当に面白いですよね……本当に……あっ、また私喋り過ぎちゃったみたいです。そうでした……喋るなって言われていたのを忘れてました……今から黙りますね」
懸命に涙を拭い、胸が張り裂けそうなぐらい悲しい横顔をしている。
そんな彼女に俺は掛ける言葉が見つからない。
「なあ……君は凄く可愛いと俺は思う……」
「か、かわいいいっ? わ、わたしがですかぁ!?」
受付嬢は小さな顔を両手で抑え、俯き、一気に赤らめた表情をする。
「う、嘘じゃないですよね?」
「ああ、本当だ」
「そ……そんなことを言われたのは人生で初めてです」
「そうか……」
「それとこんなにもお客様とお話をしたのは人生で初めてなんです。というより、初めてのお客様があなたなんです。あっ、でも、受付嬢になって5年も経っているので、えーと」
「ははは……お願いするよ、俺を人生で初めてのお客様にしてくれ。頼む」
「でも、本当に……本当に……こんな何もかも到らない私があなたの受付嬢でいいんですか?」
「ああ。頼めるか?」
「……はい……この身を捧げる覚悟で精進致しますので、あの……宜しくお願いします」
「そんなに固くならなくていいぞ」
「あの、冒険は初心者の御方ですか?」
「ああ……まあ、そんなところかな」
エルグランド王国の手が届かない上の階層を目指し、101階層都市フィールドにある中都市モルトに現在身を置いている。
もう、学校に戻ることはない。
かといって、父親が支配する帝国に戻るつもりはない。
戻ったら、戻ったで、再び憎き父の制限下に置かれなければならないのだ。
さて、これからどうしようか。
歩くか、少し歩いたら何か見えるてくるものがあるかもしれない。
このモルトという街は大きくはないが、割と栄えているようだ。
そして、白亜の建物が見えてきた。
あれが冒険者ギルドの施設か……。
シャルマンギルドと看板に書かれている。
戦地には赴いたことがあるが、ダンジョンへは二、三度ぐらいしか行っておらず、また冒険者ギルドや商人ギルドにも入会はしていない。
ただ、冒険者ギルドに入会した方がメリットは大きいことは知っている。
様々な情報やボーナス報酬の面はかなり優遇されるのだ。
中へ入ると、酒場と二階がある広間があった。
「冒険者ギルド……シャルマンギルドへようこそ……です」
と、その時、怒鳴り声が場内に響いた。
「っ……喋るんじゃねぇよぉぉぉぉ!」
「……」
そこには涙を垂らし、俯くサキュバスの受付嬢と怒鳴る客の冒険者の男。
周囲の客や受付嬢は制止するどころか、軽蔑の視線を彼女に送っている。
「なんだよ……あそこに美人の受付嬢いるじゃん……ったくこんな醜くて、貧乳の受付嬢寄越すんじゃねぇよ」
数分後、別のロリ顔巨乳の受付嬢がやってきた。
「お客様どうされました?」
「いやさ、こいつに不愉快な思いされたんだわ。いきなり喋ってくるしさ……」
「誠に申し訳ございませんでした。代わりに私が対応させて頂きます」
「本当しっかりしてくれよ」
それは客が散々罵倒した挙げ句に別の受付嬢の手を取り、卑しい目つきでカウンターへ直行するという残酷な一部始終だった。
その床に崩れ落ちた受付嬢は明るい青髪のショートカット、可愛いらしい羊の角、白金の露出の多いメイド服、白スカーフを纏った飛び切り可愛い美少女。
憂鬱な紅の両眼で床を見、奇妙にも自分の両胸を触り、再び溜め息をついた。
すると、その受付嬢は物欲しげに紅の両眼でこちらを向き、ぱぁっと表情を明るくさせる。
え? 俺?
テクテクとやってきて、やや膨らみのある胸の谷間に俺の腕を無理矢理に挟ませ、というか、挟みきれてないんだが、一生懸命に上下にすりすりさせながら、受付まで引っ張っていく。
視線を向けると、無言の満面の笑顔で返してくれる。
そこまでして気に入られたいのか……それともただ性欲旺盛な女の子なのか……でもな、なんか違う気もするんだよな。
「あの、質問していいですか?」
「え?」
「私のこと嫌いですか?」
「直球過ぎてよく分からないんだが、ただ初めて会った人を嫌う奴なんていないと思うんだが」
「そうですね……でも、私は嫌われてるんです」
「嫌われてるって言われてもな、勘違いとかは考えたか?」
「私……このギルドの中で一番人気の無い受付嬢なんです。その証拠が私だけ胸にネームプレートが無いんです」
「……」
「私が……私がお客様の受付をすると、なんでかな? ……みんな別のカウンターに行ったり、舌打ちして帰っちゃうんです。へへへ……面白いですよね……本当に面白いですよね……本当に……あっ、また私喋り過ぎちゃったみたいです。そうでした……喋るなって言われていたのを忘れてました……今から黙りますね」
懸命に涙を拭い、胸が張り裂けそうなぐらい悲しい横顔をしている。
そんな彼女に俺は掛ける言葉が見つからない。
「なあ……君は凄く可愛いと俺は思う……」
「か、かわいいいっ? わ、わたしがですかぁ!?」
受付嬢は小さな顔を両手で抑え、俯き、一気に赤らめた表情をする。
「う、嘘じゃないですよね?」
「ああ、本当だ」
「そ……そんなことを言われたのは人生で初めてです」
「そうか……」
「それとこんなにもお客様とお話をしたのは人生で初めてなんです。というより、初めてのお客様があなたなんです。あっ、でも、受付嬢になって5年も経っているので、えーと」
「ははは……お願いするよ、俺を人生で初めてのお客様にしてくれ。頼む」
「でも、本当に……本当に……こんな何もかも到らない私があなたの受付嬢でいいんですか?」
「ああ。頼めるか?」
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