学習能力スキルを使ってチートスキルを覚える魔術の商人

一色

文字の大きさ
41 / 53
3章見習い魔術の商人(本編)

1話初めての受付嬢

しおりを挟む
 それから、俺は学校を退学し、死の魔術を使った罪でエルグランド王国から追われる立場となった。
 エルグランド王国の手が届かない上の階層を目指し、101階層都市フィールドにある中都市モルトに現在身を置いている。
 もう、学校に戻ることはない。
 かといって、父親が支配する帝国に戻るつもりはない。  
 戻ったら、戻ったで、再び憎き父の制限下に置かれなければならないのだ。
 さて、これからどうしようか。
 歩くか、少し歩いたら何か見えるてくるものがあるかもしれない。
 このモルトという街は大きくはないが、割と栄えているようだ。
 そして、白亜の建物が見えてきた。
 あれが冒険者ギルドの施設か……。
 シャルマンギルドと看板に書かれている。
 戦地には赴いたことがあるが、ダンジョンへは二、三度ぐらいしか行っておらず、また冒険者ギルドや商人ギルドにも入会はしていない。
 ただ、冒険者ギルドに入会した方がメリットは大きいことは知っている。
 様々な情報やボーナス報酬の面はかなり優遇されるのだ。
 中へ入ると、酒場と二階がある広間があった。

「冒険者ギルド……シャルマンギルドへようこそ……です」

 と、その時、怒鳴り声が場内に響いた。

「っ……喋るんじゃねぇよぉぉぉぉ!」

「……」

 そこには涙を垂らし、俯くサキュバスの受付嬢と怒鳴る客の冒険者の男。
 周囲の客や受付嬢は制止するどころか、軽蔑の視線を彼女に送っている。

「なんだよ……あそこに美人の受付嬢いるじゃん……ったくこんな醜くて、貧乳の受付嬢寄越すんじゃねぇよ」

 数分後、別のロリ顔巨乳の受付嬢がやってきた。

「お客様どうされました?」

「いやさ、こいつに不愉快な思いされたんだわ。いきなり喋ってくるしさ……」

「誠に申し訳ございませんでした。代わりに私が対応させて頂きます」

「本当しっかりしてくれよ」

 それは客が散々罵倒した挙げ句に別の受付嬢の手を取り、卑しい目つきでカウンターへ直行するという残酷な一部始終だった。
 その床に崩れ落ちた受付嬢は明るい青髪のショートカット、可愛いらしい羊の角、白金の露出の多いメイド服、白スカーフを纏った飛び切り可愛い美少女。
 憂鬱な紅の両眼で床を見、奇妙にも自分の両胸を触り、再び溜め息をついた。
 すると、その受付嬢は物欲しげに紅の両眼でこちらを向き、ぱぁっと表情を明るくさせる。
 え? 俺?
 テクテクとやってきて、やや膨らみのある胸の谷間に俺の腕を無理矢理に挟ませ、というか、挟みきれてないんだが、一生懸命に上下にすりすりさせながら、受付まで引っ張っていく。
 視線を向けると、無言の満面の笑顔で返してくれる。
 そこまでして気に入られたいのか……それともただ性欲旺盛な女の子なのか……でもな、なんか違う気もするんだよな。

「あの、質問していいですか?」

「え?」

「私のこと嫌いですか?」

「直球過ぎてよく分からないんだが、ただ初めて会った人を嫌う奴なんていないと思うんだが」
 
「そうですね……でも、私は嫌われてるんです」

「嫌われてるって言われてもな、勘違いとかは考えたか?」

「私……このギルドの中で一番人気の無い受付嬢なんです。その証拠が私だけ胸にネームプレートが無いんです」

「……」

「私が……私がお客様の受付をすると、なんでかな? ……みんな別のカウンターに行ったり、舌打ちして帰っちゃうんです。へへへ……面白いですよね……本当に面白いですよね……本当に……あっ、また私喋り過ぎちゃったみたいです。そうでした……喋るなって言われていたのを忘れてました……今から黙りますね」

 懸命に涙を拭い、胸が張り裂けそうなぐらい悲しい横顔をしている。
 そんな彼女に俺は掛ける言葉が見つからない。

「なあ……君は凄く可愛いと俺は思う……」

「か、かわいいいっ? わ、わたしがですかぁ!?」

 受付嬢は小さな顔を両手で抑え、俯き、一気に赤らめた表情をする。

「う、嘘じゃないですよね?」

「ああ、本当だ」

「そ……そんなことを言われたのは人生で初めてです」

「そうか……」

「それとこんなにもお客様とお話をしたのは人生で初めてなんです。というより、初めてのお客様があなたなんです。あっ、でも、受付嬢になって5年も経っているので、えーと」

「ははは……お願いするよ、俺を人生で初めてのお客様にしてくれ。頼む」

「でも、本当に……本当に……こんな何もかも到らない私があなたの受付嬢でいいんですか?」

「ああ。頼めるか?」

「……はい……この身を捧げる覚悟で精進致しますので、あの……宜しくお願いします」

「そんなに固くならなくていいぞ」

「あの、冒険は初心者の御方ですか?」

「ああ……まあ、そんなところかな」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

​『追放された底辺付与術師、実は【全自動化】のチートスキル持ちでした〜ブラックギルドを追い出されたので、辺境で商会を立ち上げたら勝手に世界規

NagiKurou
ファンタジー
​「お前のような、一日中デスクに座って何もしない無能はクビだ!」 国内最大のギルド『栄光の剣』で、底辺の付与術師として働いていたアルスは、ある日突然、強欲なギルドマスターから追放を言い渡される。 しかし、彼らは知らなかった。ギルドの武器の自動修復、物流の最適化、資金管理に至るまで、すべてアルスの固有スキル【全自動化(ワークフロー構築)】によって完璧にシステム化され、回っていたことを。 「俺がいなくなったら、あの自動化システム、全部止まるけど……まあいいか」 管理権限を解除し、辺境へと旅立ったアルス。彼は自身のスキルを使って、圧倒的な耐久力を誇る銀色の四輪型重装ゴーレムを作り出し、気ままな行商を始める。 一度構築すれば無限に富を生み出す「全自動」のチートスキルで、アルスの商会は瞬く間に世界規模へとスケールしていく! 一方、すべてを失ったギルドは、生産ラインが崩壊し、絶望のどん底へと突き落とされていくのだった……。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

処理中です...