逃げ足スキルで職業勇者になろう

1章勇者の活動

26話一日目終了

　外は空は赤く染まり水平線に沈む太陽。三階もある大きな建築物が見える。勇者協会。
　そして、三人は勇者協会の中に入る。
　さっきの白髭の老人が一人で椅子に座っていた。老人以外誰もいなく、閑散としていた。

「待っていたよルシア、ヘレネ、駆」

「おじいちゃん！」

「おじいちゃん？」

「そうよ、バスティアン・アザン、現勇者協会会長でユグドラシル王国の元皇帝よ」

「え？　このじいさんが！？　じゃルシアは皇帝の子！」

「ところで、駆。光の石はどうしたのじゃ？」

「これか」

　
　駆はポケットにあった光の石を取り出す。
　光の石という割に輝いていなく、ただの石にしか見えない。

「これじゃ。逃足駆よ……勇者一次試験合格とする。」

「……あ、どうも」

　異世界召還や魔獣やら能力者が襲いかかってくる非日常を今日一日で体験した。
　結構大変だったけど案外、楽しかった。
　アザンは照れる駆に、何かを伝えてやらなければならないと思い、ふと語る。

「これはあくまで修行。試験中に成功や失敗もあるじゃろう、失敗をしてもいい、ただその失敗から何を学びそこからいかに成功へ導くかじゃ。そして大切なのは勇者になってからなにをするかじゃ」

「ああ、分かった」

「それと、三人共も今日はしっかり休め。協会には使ってない部屋があるそこで寝るといい。試験のことは明日話す」
　
　そして、あっという間の異世界生活一日目は終わった。