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1章勇者の活動

30話勇者二次試験開始

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 そこは全く昨日と同じ西洋風の広い部屋。天井には高級なシャンデリア、壁には歴史を感じさせる剣や防具。
 たくさんのテーブルや椅子。芳ばしい肉やラーメンのような中華風の匂い。食堂から漂ってくるのだろうか。
 まだ一日しか経過していないのに懐かしい気分だ。
 だが、そんな懐かしさも一瞬で消えた。百人程度だろうか。
 仮面を被った不気味な男や落ち着かない様子の魔法服の女、獣のような男、騎士から多種多様に集まっている。

 右側の奥横にある広いスペースの上段には白髭老人、大柄で大剣を所持した強面の男、年配のローブ着た女性。
 その下には見覚えのある眼鏡を掛けた黒髪の女性、駆が最初に出会ったお姉さん。
 駆はルシアに疑問をぶつける。ルシアは緊張した様子だったが、質問に応じる。

「なぁ二次試験受ける人ってこんなにいるのか?」

「もっといるわ。王都には東西南北と協会があるの。次いでにここは東部協会。それ以外は王国内領地の協会から受験者が来るわ。人数は分からないけどね」

 白髭の老人は咳をたて、周りを見渡し、静かになるのを確認して、話を始める。

「ここには受かった者しかおらんが落ちた者にも労おう。皆、ご苦労じゃった。それで……長い話はいらんな。さて、二次試験の内容を申し渡す。皆には依頼をクリアしてもらいたい。この勇者協会には様々な依頼が持ち込まれている。勇者となればこの依頼をこなすことが仕事になってくるじゃろう……以上じゃ」

 周りがざわつき始める。もうすでに分かってたかのように二人組や三人組が受付へと走っていく。また人だかりがそれへと続く。
 困惑した様子で駆が二人に問いかける、

「依頼をクリアするって一人じゃないと駄目?」

「ううん。パーティーでクリアしても良いの。でもその分依頼の難易度は高くなるの」

 ルシアがそんな風に人差し指を立て、説明する。すると、ヘレネがこそこそと耳打ちをする。

「ルシア様……ここで足軽と別れましょ」

「ええ……でも」

「聞こえてるぞ!」

「話が早いわ。そういうことよ」

「一晩共にした仲だろうがぁ! そんな薄情なことはない」

「誤解を生むようなこと言わないでくれる」

「ああ、そうか。分かったぜ。これ以上俺に関わるな」

「どっちがよ。乞食みたいにくっついてくるのはあんたでしょ」

「誰がぁ乞食だ」
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