あそこにいる公爵令嬢は、実は脱走してきたゴブリンです

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2章アストレア家

2章4話嫌な再会

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 レイカを遺棄現場から離れさせる目的で、連れ出したが、いつの間にか食の間と呼ばれる部屋まで来てしまう。
 すると、その部屋から銀のマッシュルーム頭の、切れ長のエメラルドの眼をし、鼻の下に大きなほくろを付けた男スルガが目の前に突如、出て来たのだった。
 私は発狂しそうなくらいびっくりしたが、何とか押し殺し顔を隠す。
 だが、スルガは目も暮れず一目散に、レイカに怒りの顔で、声を荒げる。

「レイカ! どこへ行っていたんだ。叔父さんも心配していたんだぞ」

「ごめんなさい。だって、こいつを……探していたんだもん」

 レイカは青い両眼に涙を溜まらせ、俯いて一筋の涙を流し、私に向かって指を指す。

「ええ……」

 何この子……いきなり。
 スルガは視線を移すと頬を紅潮させ惚けた表情をし、

「この美しい姫君は誰なんだ……」

「あの……ミアよ」

 レイカは今までの泣き顔が嘘のように大人びた顔で、しかも間一髪入れずそう言い放つ。
 スルガは額に手を当て、

「ん?…………こんなに美しかったとは……信じられない」

「スルガお兄ちゃん、何を言ってるの? ミアはここに来た時からずっと美しかったわ」
 
「そ……そうか。さあ、ミアも中へ入りなさい」

 私は愛想笑いをし、軽く会釈した。

「はい」

 中へ入ると、その広間は豪華な部屋だった。
 絢爛豪華な長テーブルには高級料理が並べられている。
 また、人がいた。
 白金の貴族の装いをし、ちょび髭、七三分けの銀髪、レイカにそっくりな青色が両眼の男が窓前で、あちらこちら歩き回り、心をここにあらずと云った表情。
 親戚もあってか、どことなくスルガと似ている。
 この男が娘レイカの父親ハンデンベルク・ローデン。
 ローデンはレイカを見ると、血相を変えて、近寄る。
 
「レイカ!」

「パパ!」

 抱きつく親子。

「どこへ行っていたんだ」

「あのね……ミアを探していたの」

「ミア? ああ……あの養女の子かい?」

「うん。馬小屋のミア……それでね……」

 私はレイカが何か言いたげな表情をしていたので、無理矢理に会話に入った。

「あの……すいません。私が悪いんです」

 ローデンはレイカを再度抱き締め、鋭い視線で私を睨み、声を荒げる。  

「貧乏な養女風情が……うちの娘を殺す気か!? 身分をわきまえろ」

「いえ……私はそんな」

 私はあまりの大声で、顔を俯かせ怯える。
 ちらっとレイカを見ると、ニヤリと憎たらしく笑っていた。
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