あそこにいる公爵令嬢は、実は脱走してきたゴブリンです

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2章アストレア家

2章5話出ていけ!

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「うちの娘が怪我や誘拐でもされたら、君はどう責任を取るんだ!?」

「すいません」

「出ていけ! 今すぐお前は出ていけ! 血の繋がりのないお前などいらん!」

「パパ……ミアをそんなに怒らないであげて、私が悪いのよ」

「レイカ……お前は……なんて優しい子なんだ。父さんを泣かせないでくれ」

 涙を滲ませるローデンはレイカを再度抱き締める。
 レイカは可愛いらしい顔で、娘を演じる。

「パパ痛いよ」
 
「あっごめんよ」

 ゴブミを庇うのはレイカだけではなかった。
 スルガが遅れながらも、勇気を出したような顔で割って入る。

「叔父様。僕からもお願いします。ミアをお許しください。我々のアストレア家の大事な家族なのですから」

「うーん……しかし……」

「お願いします」

「まあ……次期当主にそこまで言われたら、従うしかあるまい」

「ありがとうこざいます」

 私はこの時ばかりはスルガをカッコ良い、魅力的だと思ったが、こいつに化け物と言われた屈辱的な過去がその思いを一瞬で消してくれる。
 こいつには絶対地獄を見せてやる。
 そして、スルガが空気を変えるために、両手を叩き、

「さあ、さあ、さあ、食事にしましょうか」

 すると、レイカは鼻歌混じりに席へ付き、私に冷たい目線で、凄んだ声で呼ぶ。

「ミア! ここよ!」

 座れということか。
 ようやく、私はレイカの私に対する態度に疑問を持った。
 なんなのさっきからこの子……。
 私を下に扱っているような……。
 そんな違和感を隠しながら笑顔で、私はその椅子に座った。

「はい」

 すると、ローデンがやや興奮は下がったものの、私が椅子に座って食事することには難色を示す。
 おそらく、普段からスルガの母親がミアを嫌い、一緒に食事を摂らさせないようにしていたのだろう。

「ミア……やはり、下がってなさい。不愉快だ」

 その間に、レイカが軽快にスルガの方を走り、何やらこそこそと話す。
 その後、スルガは顔を真っ青にし、慌てた様子で、

「まあまあ……みんなで楽しい食事をしましょう」

「……しかし」

「レイカもミアを気にってることですしね」

 既に座席に戻っていたレイカが純真無垢な子供の笑顔で、私に抱きついた。

「お姉ちゃん大好き!」

 ローデンもその仲むつまじい姿にようやく納得したのか、

「まあ……レイカがそこまで言うなら良いか」
 
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