時空魔術操縦士の冒険記

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1章魔戦操縦士学院

26話危機

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 俺はすぐさまシルバディウスを纏う。
 魔力を纏う左手を地面につけ、横に直線を引く。
 『土流壁《どりゅうへき》』
 地面から土の壁が出現する。
 この場合、下はマグマなので、マグマの壁なった。

「ドドドドドドド!!!!!」「ギャャャャャャャ!!!」

 衝突する水の龍とマグマの壁。相殺される。
 水が高温のマグマの熱によって蒸発させられ、爆煙が辺りに撒かれる。
 どうやら俺達は無事のようだ。
 カバーニは煙を振り払う。
「何て奴や、アル」と言う。
「あなた……Aクラスに行ったほうがいいんじゃないの」とマシュは冷たい目で言う。

 俺は、「たまたま運が良かっただけだ」と言った。


            *

 一方、魔戦闘技場の観客席。
 生徒達が大画面のモニターでその試合の様子を見ていた。
 土流壁と水龍が衝突した光景に。

「おおおぉ!!! すげぇぇななな!!!」

「水龍神はかなりの威力だぞ!」

「土流壁……すげえな」

 感嘆と驚愕の嵐に包まれた。

 Cクラス観客席。
 緑髪の眼鏡を掛けたヨメス。
 表情を崩さず、ずっとモニターを見つめたままだ。

「Fクラス……厄介だな……潰すべきかな」

 隣で見ていた数人の生徒達がにやりと笑いながら、立ち上がる。
          *

 火山ステージ。
 ヘスティアは目を細める。
 水龍を止められてしまったことに、それもFクラスの生徒に。
 自分達の方が強いという驕りがあったのか、いや無かったはず。

「水龍神を止めただけでは私達には勝てない。あなたたちが不利ということは変わらない。デュフフフフ」

 その通りだ。
 火山の熱で俺達三人のライフが少しずつ削られていた。

 相手らはライフゲージが削られていない、答えは相手らは水龍に常に守られていては火山ダメージは一切受けていない。
 対して俺とカバーニは水の魔力を浴び何とかライフ減少が軽減されているが。
 特に浴びていないマシュはライフの消耗が激しい。
 確かにこちらは不利なようだ。
 はっきり言って持久戦になればなるほど俺達の勝利は無くなっていく。
 
 
 ユイは魔戦を巨大サイズに具現化させる、紫の機体。
 【紫苑豪奢《シオンゴウシャ》】
 強烈な黒のV字サングラス。
 紫と黒を基調とした鮮やか色彩を放つフォルム。
 体長12メートル。重量10トン。旧型フランクフルト製。専用型。

 攻撃方法は鎖付き曲刀を自由自在に使用し、敵を翻弄し、鎖は蛇のようにくねらせ、攻撃方法が読めない。
 
 すると、ユイが右手に鎖付き曲刃を手にし、マシュへ投げる。
 マシュも魔戦を巨大サイズに具現化、右剣で受け止める。

【蒼幻影《アオゲンエイ》】
 深海のように濃い青をしたフォルム。
 尖った魚のように鋭い頭部。
 右手には巨大な茶色杖。
 攻撃方法は杖から魔力を放出したり、剣技として使用できる。
 体長10メートル。重量8トン。新型エルグランド製。特殊専用型。
 高価な機体。魔術の特化の魔戦。重量が低いので自由自在に動き回れる、よって移動も容易。
 ただやや防御力に不安がある。機体も軽く、衝撃も吸収しやすい。

 同時に動き出す両機体。
 ユイは鎖の刃を自由自在にくねらせる攻撃をしていく。

「雷電《サンダーブラスト》!!!!」

 マシュは杖から電撃を放射して、雷は自由自在な動きで、刃を蹴散らす。

「無数鎖刃《チェーンクロニカル》!!」

 紫苑豪奢の機体から無数鎖の刃が出現し、無数の鎖の刃は迫る雷電と衝突する。
 鎖の刃と魔術の応酬が始まる。

「ガンッ!! 勝てんと思ってるでやんすか!」

「ビリビリ!! 驕りをする者は愚か者なのよ!」

「ガンッ! ビリビリ! ガンッ! ビリビリ!」

「そうでやんすね!」

 無数の鎖の刃が上空に上がり、急降下し、思いもよらないスピードと方向、鎖の数が襲来してくる。
 焦りを見せるマシュ。
 だが、即座に攻撃属性を変更する。
 レバーに魔力を出力。

「溶岩《エクスプローション》!!!!」

 
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