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1章魔戦操縦士学院
36話決闘
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それは同感だ。
だがそれはあまり思い出したくない過去なのだ。
続けるアーサー。
「まあ良い。こんな面白い勝負なかなかないぞ。フハハハハハハ。もっと楽しませてくれよ!!」
アーサーは炎に包まれたマシンガンで上へ目掛けて発射する。
どこに打ってるのだと疑問に思ったが。
いくつかの炎塊が俺へ降り注いでいく。
「ボンッ!! ボンッ! ボンッ!」
炎の矢が無尽蔵に襲ってくる。
『炎流星群』
炎の雨と呼ばれる。
上空に打ち上げ、落下することで威力が増した。
何とか凌いでいくが、この数では回避していくことができない。
纏った雷が左足から消え、膝を付いてしまう。
「はっーーーー」
頭上には炎塊が迫ってくる。これは躱わせない。
土流壁の術はこの場で使用できず、雷の術は魔力を取り戻すまで時間がかかる。
仕方ない制限を少しだけ解くとしようか。
一瞬、この世界の時が止まる。
それは白黒の世界。
俺以外動くことは許されない。
俺は即座にアーサーの背後に、そして後頭部に光線銃に切り替え、構え、時が動き始めたと同時に発射させる。
破壊の光線が一本線に流れた。雷が鳴る。
アーサーは纏った炎は次第に消えていき、前へ倒れて行く、爆煙を伴いながら。
金の機体は前へ倒れ、動作は停止した。
「勝者はトーマス・アル様でこざいます!」とAI音が鳴る。
まさかこの術を使うことになるとはな。
驚愕するアイリスとカバーニ。
「一体今何があったんですか?」
「ワイに分からんな。シルバディウスが炎に確実に呑まれたんと思っとたんが、実際にシルバディウスはアルファロメオの後頭部に銃を構えていた。そして勝っとるんや」
「シルバディウスのスピード速すぎます」
「まさか……」
両者には少なからず距離はある。
しかも、アルは態勢を崩していた。
炎の流星群は確実にアルに当たる寸前だった。
逃げ切り時間は0.01秒間くらい。
その間に身体能力の高さだけで逃げ切り、逆に敵に銃を向けた。
驚愕の速度だった。
いや、それは、このカバーニとアイリスの限られた知識の中での、結論であって、実際の真実は違う。
もやもやとした気持ちが渦巻き、明確な論理と結論が交錯する。
*
バトルフィールドが消滅する。
俺は周りを見渡すと先程の天井が空いた広間へと戻っていた。
俯せのままアーサーはいまだに起き上がらない。
まさか死んでいるのではなかろうか?
と思いつつ。
するとアイリスが駆け寄って来る。
桃髪の少女は額に汗を垂らしながら、両手を胸に置き、瞳をうるうるさせながら顔を向けてくる。
そのいつもの変わらぬ少女の様子にふと安堵する俺。
「アル君大丈夫で……ですか?」
「ああ……それよりカバーニは?」
「先程保健室に行くと言って、後にしましたよ」
「一人で行けるんなら大丈夫そうだな」
「ほとんど魔力を使い果たした。久し振りだから、まだ戦闘に慣れないな」
「そうですか。アル君。確かもうすぐ次戦ありましたよね」
「たぶんこのままやってもきっと倒れちゃうから棄権しとく」
「その方がいいです」
「恐らくマシュなら優勝するに違いない。アーサー以外に勝ち残っている奴で強そうな奴はいないしな」
「体を休めないと。休憩室に行きましょう」
「ああ」
あっという間に魔戦実技大会の最終日になり、団体戦も個人戦も消化し、結果も受け取った。
気になるFクラスは下から二番目を辛うじて勝ち取る事ができた。
最下位はEクラス。
どんな奴らが在籍しているかは知らないが、ほとんどの生徒は退学になり、救済措置として一部の優秀な生徒はFクラスかDクラスに在籍させるそうだ。
たかだか大会如きで退学させるのもおかしいと思うが、この国、学校では能力の無い者は落ちていくという普遍的なルールなのだ。
俺は少なからずこの国や学校には納得していない。
能力の無い者に追い払うのではなく手を差し伸べてやるべきなのである。
この国全体の意識を変えなければ、優秀な人は育たないと思う。
閉会式も終わり、外にはいつもと変わらぬオレンジ色の郵便物が映えている。綺麗な光景だ。
右隣には久し振りというか大会期間ではほとんど会話をしていなかった金髪少女がいた。まあ、審判の仕事を全うしていたのだから仕方ないのだが。
でもどこか以前と雰囲気が違う。
後ろ髪を一つに結わせ、ポニーテールの髪型だ。
可愛い。とても可愛いではないか。
美少女は何にでも似合うな。
俺なんて髪型変えただけ、「なんか変だね」って言われちゃうのさ。
リオラは目をぱっちり開け、視線を俺に向ける。
「なんか大変だったみたいねっ」
「まあそうだ。カバーニはあんな有り様になっちゃったしな」
「アル君ばっかりに大変な思いさせちゃってごめんねっ」
「そんなことはないよ。マシュが個人戦で優勝してなかったら、Fクラスは退学だった。マシュが一番頑張った」
後ろで歩くマシュは腕を組む。
「そんなことはないわ……」
「優勝はすげぇぞ」
「そうですよ!」
「本当だねっ」
だがそれはあまり思い出したくない過去なのだ。
続けるアーサー。
「まあ良い。こんな面白い勝負なかなかないぞ。フハハハハハハ。もっと楽しませてくれよ!!」
アーサーは炎に包まれたマシンガンで上へ目掛けて発射する。
どこに打ってるのだと疑問に思ったが。
いくつかの炎塊が俺へ降り注いでいく。
「ボンッ!! ボンッ! ボンッ!」
炎の矢が無尽蔵に襲ってくる。
『炎流星群』
炎の雨と呼ばれる。
上空に打ち上げ、落下することで威力が増した。
何とか凌いでいくが、この数では回避していくことができない。
纏った雷が左足から消え、膝を付いてしまう。
「はっーーーー」
頭上には炎塊が迫ってくる。これは躱わせない。
土流壁の術はこの場で使用できず、雷の術は魔力を取り戻すまで時間がかかる。
仕方ない制限を少しだけ解くとしようか。
一瞬、この世界の時が止まる。
それは白黒の世界。
俺以外動くことは許されない。
俺は即座にアーサーの背後に、そして後頭部に光線銃に切り替え、構え、時が動き始めたと同時に発射させる。
破壊の光線が一本線に流れた。雷が鳴る。
アーサーは纏った炎は次第に消えていき、前へ倒れて行く、爆煙を伴いながら。
金の機体は前へ倒れ、動作は停止した。
「勝者はトーマス・アル様でこざいます!」とAI音が鳴る。
まさかこの術を使うことになるとはな。
驚愕するアイリスとカバーニ。
「一体今何があったんですか?」
「ワイに分からんな。シルバディウスが炎に確実に呑まれたんと思っとたんが、実際にシルバディウスはアルファロメオの後頭部に銃を構えていた。そして勝っとるんや」
「シルバディウスのスピード速すぎます」
「まさか……」
両者には少なからず距離はある。
しかも、アルは態勢を崩していた。
炎の流星群は確実にアルに当たる寸前だった。
逃げ切り時間は0.01秒間くらい。
その間に身体能力の高さだけで逃げ切り、逆に敵に銃を向けた。
驚愕の速度だった。
いや、それは、このカバーニとアイリスの限られた知識の中での、結論であって、実際の真実は違う。
もやもやとした気持ちが渦巻き、明確な論理と結論が交錯する。
*
バトルフィールドが消滅する。
俺は周りを見渡すと先程の天井が空いた広間へと戻っていた。
俯せのままアーサーはいまだに起き上がらない。
まさか死んでいるのではなかろうか?
と思いつつ。
するとアイリスが駆け寄って来る。
桃髪の少女は額に汗を垂らしながら、両手を胸に置き、瞳をうるうるさせながら顔を向けてくる。
そのいつもの変わらぬ少女の様子にふと安堵する俺。
「アル君大丈夫で……ですか?」
「ああ……それよりカバーニは?」
「先程保健室に行くと言って、後にしましたよ」
「一人で行けるんなら大丈夫そうだな」
「ほとんど魔力を使い果たした。久し振りだから、まだ戦闘に慣れないな」
「そうですか。アル君。確かもうすぐ次戦ありましたよね」
「たぶんこのままやってもきっと倒れちゃうから棄権しとく」
「その方がいいです」
「恐らくマシュなら優勝するに違いない。アーサー以外に勝ち残っている奴で強そうな奴はいないしな」
「体を休めないと。休憩室に行きましょう」
「ああ」
あっという間に魔戦実技大会の最終日になり、団体戦も個人戦も消化し、結果も受け取った。
気になるFクラスは下から二番目を辛うじて勝ち取る事ができた。
最下位はEクラス。
どんな奴らが在籍しているかは知らないが、ほとんどの生徒は退学になり、救済措置として一部の優秀な生徒はFクラスかDクラスに在籍させるそうだ。
たかだか大会如きで退学させるのもおかしいと思うが、この国、学校では能力の無い者は落ちていくという普遍的なルールなのだ。
俺は少なからずこの国や学校には納得していない。
能力の無い者に追い払うのではなく手を差し伸べてやるべきなのである。
この国全体の意識を変えなければ、優秀な人は育たないと思う。
閉会式も終わり、外にはいつもと変わらぬオレンジ色の郵便物が映えている。綺麗な光景だ。
右隣には久し振りというか大会期間ではほとんど会話をしていなかった金髪少女がいた。まあ、審判の仕事を全うしていたのだから仕方ないのだが。
でもどこか以前と雰囲気が違う。
後ろ髪を一つに結わせ、ポニーテールの髪型だ。
可愛い。とても可愛いではないか。
美少女は何にでも似合うな。
俺なんて髪型変えただけ、「なんか変だね」って言われちゃうのさ。
リオラは目をぱっちり開け、視線を俺に向ける。
「なんか大変だったみたいねっ」
「まあそうだ。カバーニはあんな有り様になっちゃったしな」
「アル君ばっかりに大変な思いさせちゃってごめんねっ」
「そんなことはないよ。マシュが個人戦で優勝してなかったら、Fクラスは退学だった。マシュが一番頑張った」
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「そうですよ!」
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