時空魔術操縦士の冒険記

一色

文字の大きさ
上 下
53 / 175
2章ダンジョンへ向かおう

4話洞窟2

しおりを挟む
【治癒救世主《ハーレーメザイア》】
 シールドや回復力を専門にする装甲。
 美しい。
 リオラはカバーニを回復魔法を掛けようとするが、何故だか噛番犬《ガブ》の方向へ緑の魔力が掛けられる。
 急激に噛み付きの威力が倍増する噛番犬《ガブ》。


「あれ?」

 皆唖然とする。

 俺は「リオラ!!」

「てへ」

 リオラは可愛い笑顔を振り撒く。
 俺は最後の直剣を振りかざし、残り一体を斬り終わる。
 安堵する皆。

 「みんな落ちたアイテム【MC】で回収しとけ」

「そうね」

「はい」

「OK~!」

 噛番犬《ガブ》が落としたアイテムを【MC】にかざすと自動的に【MC】内蔵のアイテムボックスへと送られる。
 【MC】から取り出し自由。ただし、上限があるので、外部ボックスへ転送することも必要。
 皆魔戦は身体だけ具現化させ、顔は出してる状態。
 いつでも異世界神《イセカイジン》やモンスターが襲ってきても準備万全と云った様子。
 すると、先へ進むとどこまでも前へと続く長いレールが見えてきた。

「しかしカバーニはどこだ? おーいカバーニ!!」

「全く反応がないわ」

「ですね」

「……カバーニ君……もしかして白亜河馬《ヒッポポタムス》に食べられちゃたりして」

「いい気味だわ」

「カバーニ君可哀想ですよ!」

「そうだぞ! アイリスの言う通りだ!」

「アルも散々毎日カバーニに文句言ってたじゃない」

「それはそうだけど……ダンジョンに関しては命の危険もあるんだ……仲間割れをしている場合じゃないだろ」

「何よ……急にリーダーらしくなっちゃって……ちょっとダンジョン経験があるからって調子に乗らないでよね」

「どこが調子に乗ってんだよ!!」

 マシュの嘲笑うような表情に俺は無性に腹立つ。

「アルがもっとしっかりしてればカバーニの暴走を止められたかもね」

「俺のせいかよ全部!!」

「そんな事言ってないわ!! もっとアルにはしっかりして欲しいのよ」

「何なんだお前のその態度は!」

「もう止めましょう……喧嘩は良くないですよ」

「あれ? なんか見えてきたよっ」


 リオラが指を指し、小さな暗い闇の空洞が見つかる。
 そこには木材でできた六人乗りのトロッコがあり、俺はトロッコが壊れていないか確認したりしていたら、突然足を崩した。
 いや、地面が崩れた。

「うぁぁぁ!!!!」

 俺は地面に何とか右手一本で掴み、手が震えてくる。
 それは恐怖だ。
 視線を下に向けると、そこ暗黒の世界だった。
 顔に冷たい風がぶつかり、石ころや岩が闇へと飲み込まれていく。
 俺も吸い込まれそうだ。

「いけない! いけない!」

「アル君捕まって早くっ!」

「ありがとうリオラ……」

「うわぁ毛虫だ!!」

 リオラが細い手を差し伸べようとするが、急に俺の手は振り払れる。
しおりを挟む

処理中です...