時空魔術操縦士の冒険記

一色

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2章ダンジョンへ向かおう

死を呼ぶ覇鬼2

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「で……貴様ら小僧が余に手を貸すのかァ?」

「はい」

 俺は不満そうな顔で頷く。
 ずいぶん人に対してこの貴族失礼だぞ。

「キャキャキャキャキャ……見るからに出来損ないの連中だ」

 歯を剥き出しにして笑うエドワード伯爵。
 兵士らは黙ってその様子を見ている。
 何だこの人。

「早く行け!! 奴隷風情が!! 牢屋にぶち込むぞ!!」

 突然怒鳴るエドワード伯爵。
 俺は拳を握り締める。頭にきたぜこいつ。
 兵士が俺を制止するように呼び止める。

「あっ……では……行きましょう」


              *


 突然、暗い雲が漂い、さっきまで明るかった空が真っ暗だ。
 ごろごろと雷鳴が鳴り響く。ぽつぽつと雨が降り始めた。
 リオラが「怖いっ!!」と言って俺に抱きつく。
 胸を俺に寄せるな、興奮するだろうが。
 マシュが目を細め、声を荒げる。
 
「この殺気は何?」

 アイリスが身体を震わせながら、「幻神鳳凰《ホウオウ》で……ですか?」

「いや、違う……幻神鳳凰《ホウオウ》は光属性……今感じるのは邪悪な闇の属性」

 すると、何人かの兵士らが泡を出して、倒れ、失神する。
 エドワード伯爵は激昂《げきこう》。

「何をしているか!!!!」

 その怒鳴り声は怪物の咆哮で遮られた。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
 
 地獄の声。
 低く、耳障りな、気味の悪い声。
 一人の兵士がその場で崩れ落ちる。
 目を剥き出しにし、歯をガタガタと震わせ、怪物に指を差す。

「あ……あ……あ……あれは……覇鬼《バーサーカー》」

 他の兵士にも恐怖は伝染し、鞘にあった剣を取り出し、腹に自ら突き差した。
 恐怖でその場で死ぬ者。
 皆は固唾を呑んで、立ち止まった。
 逃げようとして、足が震えて、動けない。
 マシュが「覇鬼《バーサーカー》がなんで50階層にいる訳?」
 俺は「普通なら600階層以上にいる異世界神《イセカイジン》……俺らじゃ到底太刀打ちできない……」
 俺が本気を出したとしても勝てない。いや、逃げ出すことすらできない。
 アイリスは唇を震わせ、「レベルは確か600……今までと明らかにレベルが違う……」
 リオラも「上位層の人でも討伐なんて無理……いやマスタークラスの魔戦操縦士《ゴットハンター》でも無理」
 怪物は一歩一歩、こちらに歩み寄ってくる。
 そして、姿を現す。


【覇鬼《バーサーカー》】
 長髪の白髪、頭には2つの曲がった角。
 両眼は充血、ヒューマンのような顔。
 死人のような土色。
 顔の下から半分は歯と顎が剥き出しで、奇怪である。
 体長は20メートルは巨大生物。魔戦を遥かに上回る大きさ。
 筋肉質のある身体。肩や胸の回りは盛り上がり、巨大な白の廻《まわ》しを股間に纏い、右手には巨大なギザギザの棍棒《こんぼう》。


 すると、覇鬼《バーサーカー》は目の前にいた怯えた兵士に笑みを浮かべて、右足で踏み潰した。
 一瞬だった。
 全員が再び止まった。
 恐怖で。
 踏みつける恐ろしい音。大規模な振動が鳴る。
 するとエドワード伯爵は怯えながら叫ぶ。

「一斉に攻撃しろ!!」

 すると兵士らが、杖を取り出して、赤い光線やら青い光線やらを放射する、覇鬼《バーサーカー》に命中。
 しかし、覇鬼《バーサーカー》は何事もなかったかのように進んでいく。
 魔術は一切効いていなかった。
 そして、兵士らは魔戦を巨大サイズに具現化する。
 量産型の灰色の魔戦。灰色の装甲は右手に直剣、左手に銃装備。
 灰色の装甲らは高速スピードで剣を突き出し、襲う。
 しかし。
 魔戦は10メートルの体長、怪物から見れば小さな敵だった。
 覇鬼《バーサーカー》は棍棒《こんぼう》の水平の一振りで、灰色の装甲を吹き飛ばした。
 刹那。
 頭蓋骨、背骨、全骨が砕かれる音が鳴り響き、灰色の魔戦はあらぬ方向へ飛ばされた。
 威力は予想だにしなく、かなり遠い山の方へ衝突し、爆煙が舞い上がる。
 他の灰色の魔戦が後退る。 
 近寄る怪物。
 兵士は「ああああああああ!!!!……やめろぉぉぇ」と悲痛な叫び声を上げる。
 一瞬で装甲は地面に潰された。
 次はどいつだと笑みを浮かべる覇鬼《バーサーカー》。
 赤い眼球は嗤《わら》った。
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