時空魔術操縦士の冒険記

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2章ダンジョンへ向かおう

再会

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「困りましたね……はっきり言って十魔王族が関わるとなると我々は何も出来なくなりますからね」

「そのトーマス・アルとかいう奴を引き渡せば良かろう」

「いや、取引がありまして……それに彼にそんな事をしたら……関わった奴ら全員消されますよ」

「どういうことだ」

「さて次の話を進めましょうか」


              *


 デイトナ王国は十魔王族の一人であるデイトナ王が統治する国。
 文化や歴史が多く、また商業も盛んな街。
 一番街には高い建物や巨大な建造物が多くあり、体長20メートルはある仏像や寺や神社が多数顕在。ニ番街には商業ビルや高い建造物が並び、宿泊施設、娯楽施設や風俗店が設置。
 三番街には武器専門店やモンスターショップ。
 四番街には民家や住居。
 中央には巨大な城。そして一番奥にはデイトナ会館。
 国の周りは巨大密林地帯。
 国に足を踏み入れると、観光客や武人や商人、民が街の通りを埋め尽くす。
 そして、当の俺は買い物やら遊びやらと別の目的があるので、別行動を取る事になった。
 当の俺は三番街に来ていた。
 目的はカナブンバッタを採集物取引所で売却をする事だ。
 まあ【MC】で連絡を取り即時売却できるが、お店で売却する方が高く売れる。
 そうこうしてる内に、採集物取引所に到着。
 質素な建物。緑と白の小さなお店。
 窓ガラスから見えるのは眼鏡を掛けた白髪のお爺さんが椅子に座って、うたた寝をしている。
 俺は店内に入ろうとするが立ち止まる。
 ミユミユがポケットでごそごそと動いているのを感じるが気にせずに中へ入ろう。
 そして、中で白髪のお爺さんに問い掛ける。
 寝ぼけ目のお爺さん。

「すいません? カナブンバッタ売却したいんですが?」

「一匹10円だ」

「え? もっと高くなりませんか?」

「じゃ11円」

「え?」

「なに? だから11円」

「ふざけないでくださいよ……あまりにも安過ぎるでしょ」

「納得いかないなら帰れば良い! これ以上値段はあげられん」

「じゃいいわ」

「ああ帰った帰った!」

「二度と来るかよ! こんなオンボロ店」

「やかましいわ!!」

 俺は店を出た。

「はぁ……カナブンバッタは価値なしかよ」

 すると、ミユミユが顔を出す。

「カナブンバッタは育てれば進化して高く売れるぞ」

「本当か?」

「まずエサを買いに行くのだ……ほら使い魔ショップあるぞ」

「行くぞ」

 そして、俺は使い魔ショップでエサを購入。
 しかし、不満だ。

「このミミズが100万ゴールドもしたんだぞ」

「当たり前だ! カナブンバッタはそれしか食わないぞ!」

「はぁ……。痛い出費だ」

「まずは500匹ぐらいカナブンバッタを出すのだ! そして、ミミズをばらまけば良い!」

「良く喋る狐だな」

 よし、ほら出ろカナブンバッタ。
 うぁ。
 あ!
 これ、逃げてないか?
 おい。
 戻って来るんだよな?

「グッドのジョブだ!!」

 何がよくやっただ!
 結局、全部逃げたじゃーねか。 
 俺はその場に膝を落とす。
 ミユミユが細い目で小さく笑った。

「ケケケケ!! アル! ちゃんと捕まえないと駄目だぞ!」

「はぁ……ふざけんな」

「おいアル! お主の膝にカナブンバッタが一匹止まっているぞ!」

「うぉ!! 本当だ!! よしミミズを与えよう」

 カナブンバッタは小さなとげのような口でミミズをつつき、そして、呑み込んだ。
 金色の甲羅が八の字を描く。
 おいしいぞという表現かな。

「毎日エサやりは必須だぞ! それとボクの魚も忘れるなよ!」

「分かってるよ」

 そんな風に俺とミユミユで戯れていると、向こうから紺色髪をし、金の衣装を纏った、如何に俺が嫌いな男がやってきた。
 前髪をふわりと浮かせ、堂々した顔で俺を見る。

「おや? 奇遇だね?」

 シャルマンはわざとらしく、さも偶然出会したかのように振る舞う。
 
 
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