時空魔術操縦士の冒険記

一色

文字の大きさ
167 / 175
2章ダンジョンへ向かおう

開幕

しおりを挟む
「……」

 俺はずっと下を向いていた。
 そうだ。
 俺は怯えている。
 確かにこいつらを仲間だと思った事はないかもしれない。
 アイリスを助けた時だって、何故助けたのか分からない。
 仲間なんていらない。
 邪魔なだけだ。
 すると、マシュは涙を浮かばせながら、告げる。

「アル!! あなたはこのパーティーから抜けなさい!! 仲間を見捨てる人は許さない!!!!」

 桃髪の少女の水色の瞳に涙が溜まり、泣きながら、マシュを制止する。
 カバーニは険しい表情で立ち尽くす。
 普段ならここで声を荒げているが、あまりの険悪さに無言。

「マシュさん!! 待ってください!! アル君だって何か隠しておきたいことや事情があるんですよ!!」 

「許せないわ!!!!」
 
 俺は立ち上がり、嘘の笑顔を向ける。
 虚ろな目で、みんなの顔が見れなかった。
 
「ああ。抜けるわ。長い間ありがとうな」
 
 はぁ。
 なぜだろう。
 ほっとする。
 本来は俺は孤独なんだ。

「アル君!!!!」

「アル待てや!!!!」

「はははは……仲間割れかな?」

 笑うシャルマン。
 それを見て睨むアイリス。
 桃髪の少女の恨み。

「あなたなんて大嫌い!!!! 死んでください!!!!」

「……」

 目を逸らすシャルマン。
 そして、俺はナスカ会館を後にした。

          *


 ナスカ王城の客間。
 元気になったカナブンバッタは部屋の中を飛び回っている。
 デイトナ王国襲撃事件で相当な疲れを負い、ポケットから出ようとしなかったから、元気になって良かった。
 当の俺は高級感溢れる白のソファーでミユミユと遊び、茶色の毛並みの狐を俺は撫でたり、高い高いをしたりしていた。

「しかし……遅いなシャルマン」

「一時間近く待たせておるのだ!! 茶の一つも出さないとはここはどうなっているのだ!!!! 無礼だ!! 失礼だ!!」

「まあそうだな。メイドさんはいるようだけど」

 そして、扉からノックする音がする。
 扉が開かれ、憎たらしい胡散臭《うさんくさ》い笑顔の王冠を被った男が現れた。

「やぁ? 待たせたね?」

「遅い」

 俺は苛立ちを見せた。
 ミユミユも頬を膨らまして怒りの表情。
 可愛い。

「もう一度確認しよう。君は僕を王にするために協力する。もちろんそれなりの報酬を支払う」

「ああ。だが、俺はリオラのためにお前を王にするだけだ」

「それで良い。しかし君……本当にアイリスらのパーティーから抜けるのかい?」

「いや、もう抜けた。もうあいつらと会う事はない」

「じゃ? 僕のギルドへ入れば良いじゃないか?」

「前に断っただろ? それは変わらない」

「そうか……では玉座の間に行こう」


          
             *


 玉座の間の後方では騎士団が整列していた。
 騎士団は無表情に前にある赤い旗を見据え、赤い旗の真ん中には黄色の星が描かれている。
 赤い旗の下には黄金の玉座の椅子が鎮座し、下の段差の両側にも豪奢な椅子が置かれ、その椅子にはそれぞれ要人が座る。
 対し黄金の椅子三席には。

 銀髪の丸眼鏡を掛けた若々しさのある老人。
 目尻に皺《しわ》伸びる。
 ハンニバル王国のハンニバル王。
【十魔王族のナンバー5】。
 
 その隣が赤髪の四角い野獣のような顔の男。
 筋肉隆々で巨大な体躯。
 年齢は五十代。
 巨人王国のバゼル王。
【十魔王族のナンバー6】。

 仮面を被った暗い男。
 細身の身体。
 セニョン王国のセニョン王。
【十魔王族のナンバー7】。
 
 中層の王達が重々しい雰囲気で話している。
 赤い絨毯《じゅうたん》の真ん中では各候補者が並ぶ。
 右から茶色の口髭と四角い顔のエドワード伯爵。
 だらしない太った見た目は老いぼれた犬のようである。
 エドワード伯爵は後ろの従者に口を尖らせ叱責《しっせき》をしている。

次が翼の生えた鳥とライオンが混じった男。
 グリフォンズ団長グリフォンズ。
 腕組み黒い瞳と金色の嘴《くちばし》で見つめ、いかにもリーダー感が溢れる顔。
 後ろには黒や白の若いグリフォンが槍を持ち構えている。

 その隣が黒の華麗なるドレスを纏い、口元を扇子で隠した青髪の女。
 キツネ目で。眉は細く、幼い顔立ちの少女。
 お姫様のような髪型。アマゾネス団長ワロタ・イザベラ。
 後ろには三人の黒服執事が無表情で待機。

 隣は高貴な白ドレスを纏った金髪の少女。
 二つの双丘が盛り上がる。スカーレット王の娘。
 スカーレット・リオラ。金髪の少女は暗く俯いている。
 後ろには騎士らしい佇《たたず》まいの冷徹な赤髪の男と紫髪のショートカット美少女。
 更に背後には黒い装束の集団。
 重々しい雰囲気が漂う。


 すると、扉が開かれる。
 シャルマンと俺は一斉に注目を浴び、睨まれる。
 この敵意の視線はシャルマンだろう。
 ふとリオラと目が合う。彼女はすぐさま逸らした。
 怒ったような表情。いや、どこか悲しげでもあった。

 銀髪の老人は俺ら全員を見渡し、頷いた後、低い声を発する。

「揃ったようだな? お前達は王になる資格を満たした。だが王になれるのは一人だ。だからその一人を決めるために闘ってもらおう。闘技場《コロシアム》にて後日を開催する。いいな?」

 皆頷く。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

転生してもオタクはなおりません。

しゃもん
恋愛
 活字中毒者である山田花子は不幸なことに前世とは違いあまり裕福ではない母子家庭の子供に生まれた。お陰で前世とは違い本は彼女の家庭では贅沢品でありとてもホイホイと買えるようなものではなかった。とは言え、読みたいものは読みたいのだ。なんとか前世の知識を魔法に使って少ないお金を浮かしては本を買っていたがそれでも限界があった。溢れるほどの本に囲まれたい。そんな願望を抱いている時に、信じられないことに彼女の母が死んだと知らせが入り、いきなり自分の前に大金持ちの異母兄と実父が現れた。これ幸いに彼等に本が溢れていそうな学校に入れてもらうことになったのだがそこからが大変だった。モブな花子が自分の願望を叶えて、無事幸せを握り締めるまでの物語です。

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  電子書籍は、2026/3/9に発売です!  書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。  イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...