転生したらダンジョン雲になった訳

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1章魔獣になりましょう

20話爽やか村2

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 そこから問題が頻繁し、対立はより一層酷くなり、ついに取引関係も中止となる。
 それだけで終われば良かったのだが、事態は深刻な展開へと向かっていく。 
 河魚族の大人や子供が相次いで亡くなってしまう不可解な出来事が起きる。
 したがって死亡の原因を探るべく調査することになった。
 そして、死亡者に類似して見られるある共通点が浮かび上がった。
 それは河周辺に住む者ばかりで、死亡前夜に小肴を食べて、翌朝泡を吹いて息を引き取っているということだった。
 その肴から毒物が発見された。爽やか村では大混乱におちいる。
 原因は分かったもののどうすれば良いか解決策は見つからない。
 では誰がこんなことをしたのかと犯人探しへと進んでいく。
 犯人探しに難航が予想されると思っていたが、河魚族は闘牛族が起こしたことで全員一致した。
 やはり、先の件もあり、報復としてこのような仕打ちを仕掛けてきたのだと。
 河魚族達は村戦争へと決意を固め立ち上がる。
 一方、この闘牛族達の間でも不可解な出来事が頻繁していた。
 ある闘牛一団が牛谷の裏山の渓谷の底で昼寝をしていた時に、突然何者かに斬られ、殺される事件が起きる。
 それは一度や二度だけではなかった。
 やはり、これほど悪運が重なっては闘牛族達も疑問を持たざる負えない。
 そこで、原因究明に乗り出す、結果ある共通点が判明した。
 全ての亡骸が頭、身体、脚と綺麗に部位破壊されていたということだった。
 恐らく、相当の剣に腕のある冒険者だと予想されたが、あえなく却下される。
 そもそもかつてこの牛谷山に冒険者が来たことはないのだ。
 冒険者の間では闘牛は住処において、縄張り意識が強く、異常な攻撃力を発揮し、加えて集団になれば、上級者冒険者でも太刀打ち出来ないことは有名な話だった。
 それは話題に上る当の闘牛族も周知の事実であり、自慢するほど分かりきっていたことだ。
 では、誰がやったのだと疑問が残る。
 真っ先に思い浮かぶのが河魚族。
 だが、河魚に相当な剣使いはいないはず、仮に闘牛に立ち向かったとしても、圧倒的な力の差で一捻りされて終焉を迎える。
 けれども、知能の低い大半の闘牛族達はそこまで、考えが及ばず、怒りという感情を優先し、怪しい者は皆敵だという結論へ終着を迎え、村戦争へと発展していく。
 もちろん、両者において、村戦争に対して慎重派を唱える者もいたが、強硬派がその反対を押し切り、開戦に至る。
 そして、当然の如く闘牛族が質素な根城を破壊しや資源を奪い、河魚族の女や子まで皆殺し、全滅を成し遂げた。
 しかし、その全滅は文字通りの意味となるとは思わなかった。
 闘牛族は多数の屍を踏みながら爽やか村で、大勝利の夜の宴をしていた。
 突然、その席で酒や肴を喰らっていた闘牛達が苦しみ出す、ここで記憶は無くなり、翌日の朝、闘牛族の全てが顔や身体や足を綺麗に斬られた亡骸がその場を埋め尽くした。
 この戦争は魔獣界では有名な【悲劇の勝利】と称される。
 魔獣界における大半はこの闘牛の悲惨な末路に大変に喜び、河族達に同情が向けられ称賛された。
 なぜなら、河魚族は全滅という非情な結末を迎え、闘牛族が勝利し歓喜した瞬間を狙い、卑怯ながらも一矢報いる為にほぼ全滅を成し遂げたということになっているからだ。
 もちろん、この勝利後の敵を狙うことは卑怯ではあるが、しかし魔獣界で厄介者とされる憎き闘牛を倒したということとはまた別の話だ。
 英雄と呼ばれるに値する行為に近いものだった。
 しかしながら、闘牛族が勝利を勝ち取り、唐突に何者かに斬られたという真実の話は解明するものもおらず、いつのまにか風のように化した。
 ところで、河魚族は全滅したとされているが、一人生き残った。
 それが玄奘だった。
 彼は知っていたこの村戦争が誰かの策略ということに。
 村戦争当日の朝、闘牛族の一団は爽やか村に極秘に降りてきて、予想外なことに和解を申し込んだ。
 やはり、資源が枯渇することは深刻な問題なので、闘牛族達が折れた形のようだ。
 何とか河魚族達を説得し、和解を承諾させた。
 そして、闘牛族の一団は山へ帰り、村戦争は終焉を迎えると思っていたが、河魚族達が大群集の獣達に全て殺された。
 その大集団の獣達は全てが上位種、無力な河魚族が勝てるはずがなかった。
 それから、敵に立ち向かった父が殺され、母が子供を守るも、母、妹弟と共に背中を何度も刺され倒れた。
 幼き玄奘が駆けつけた頃には血の惨状だった。
 父は意識朦朧として、血を吐き出して伝える。
 共食いだと。
 この策略を企てた犯人は【殺獸鬼《ジョーカー》】と。
 すると、母が必死で玄奘に何かを訴えようとする、逃げてと声を振り絞る。
 残党狩りの獣達が後ろに迫っていることを示す合図。
 首を振りながら、涙を流し、玄奘は否定する。
 父の怒りのような、哀しげな声が鼓膜を破り、気づいた時は精一杯に走り、逃げた。
 どこまでも逃げた。
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