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1章魔獣になりましょう
54話シエラ
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そこで、突如、先程の腰の曲がった老婆が入り、羊男を宥める。
ここで、羊族同士で揉めて、カエラを孤立させるのは良くないと考えたらしい。
けれども、おそらく老婆はアタマカラを信用はしていないだろう。
ただ、カエラを信用したのだろう。
そして、アタマカラはカエラの身を案じ、立ち上がる。
本来助けられたのはこちらだ。
ゆえに熊族に立ち向かったのは恩返しということ。
気持ち晴れやかにここから去れる。
「では俺はもう帰ります。長居をしてはいけないんです。家族がお腹を空かせて待ってますから」
そして、羊族の住民達はアタマカラを睨みつけたまま、婆さんと共に家から出て行った。
すると、ミエが悲しそうな顔をして、首を傾げる。
「雲さん行っちゃうの?」
「ごめんね」
「アタマカラさん……私はお礼を」
「お礼は充分受け取りましたから」
アタマカラは抱きつくミエからそっと離れ、出ていこうとする。
それと、同時にまた誰かが入ってきた。
それはカエラと瓜二つの顔をしたクリーム色の髪をした少女。
無垢な顔と年頃の高い声をする。
「ただいま!」
「あら? お帰りシエラ」
ここで、羊族同士で揉めて、カエラを孤立させるのは良くないと考えたらしい。
けれども、おそらく老婆はアタマカラを信用はしていないだろう。
ただ、カエラを信用したのだろう。
そして、アタマカラはカエラの身を案じ、立ち上がる。
本来助けられたのはこちらだ。
ゆえに熊族に立ち向かったのは恩返しということ。
気持ち晴れやかにここから去れる。
「では俺はもう帰ります。長居をしてはいけないんです。家族がお腹を空かせて待ってますから」
そして、羊族の住民達はアタマカラを睨みつけたまま、婆さんと共に家から出て行った。
すると、ミエが悲しそうな顔をして、首を傾げる。
「雲さん行っちゃうの?」
「ごめんね」
「アタマカラさん……私はお礼を」
「お礼は充分受け取りましたから」
アタマカラは抱きつくミエからそっと離れ、出ていこうとする。
それと、同時にまた誰かが入ってきた。
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「ただいま!」
「あら? お帰りシエラ」
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