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1章魔獣になりましょう

白雲巨神

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 青白色の鎧一式。睨みのある白い両眼。
 雲と青空が織りなす色彩。
 もくもくとした雲をイメージした、豪傑、筋肉隆々の体部分。
 背後に青色を強調したマント。
 孤高の青白の巨神。5メートルぐらいだろうか。

【隠密】存在が薄くなり、魔獣、冒険者に気づかれにくい。
    暗殺、潜入には最適スキル。

【逃走】 敏捷力が上昇し、戦闘離脱が成功しやすい。

【災害】 高難易度の自然力スキルを取得しやすい。

【擬態】 形態を変化しやすく、回避が成功しやすい。

【純粋】 人、魔獣の気配を感知しやすい。また、善悪を区別できる。
 
 いったい何のようだ?
 巨神はダイヤモンドの白い両眼と、柔和な白い仮面はどこか微笑んでいるように思えた。
 巨神は何も返事はしてくれなかったが、思いがアタマカラに伝わる。

『雲は消えることはあるだろう。そんな、曖昧な、気ままな、不確かな存在。だから、雲を嫌う奴もいるだろう。何を目的に雲は流れているのかは、誰も、雲自身にも分からない。けれど、雲はまた青空に現れる。雲は立ち止まっているかのように見えて、絶えず流れている。お前は雲になろうと決めたのではないか? ならば、もう一度あの雲のようにまた流れてみないか?』

「また、自身を見失う所だった……」

 アタマカラは立ち上がった、瞬間、その巨神が凄まじい速度で向かって来た。
 思わず、目を瞑り、再度開くと、自身にその巨神と同様の防具が備わっていた。
 青白い美しい防具。まるで、それは白い巨神の出で立ち。
 だが、あいつのような巨大さはない。
 まだ、若い。
 防具から溢れ出る煙が興奮醒めならない様子で、蠢いて、漂い、周囲の暗黒の炎の残り火を一瞬で消し去る。
 その何千度あろう大寒波は悪魔鬼を歩みを停止させた。
 悪魔鬼は全身の器官が停止するぐらいの寒さに、途轍もない恐怖を覚え、目を見張った。
 何だ……と。
 寒さだけではない。
 なんだこれは……
 この天と地があるような魔力の圧迫の正体はなんだ。
 後ろを振り向くことすら躊躇われる。
 この場から一刻も早く逃げ出したい。
 

 
 
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