転生したらダンジョン雲になった訳

1章魔獣になりましょう

怯える悪魔鬼a

　悪魔鬼は悪寒を感じながら、振り返った。
　目の前には神々しい白い鎧を装備した、巨神がいた。
　背には青いマントを翻し、立ち姿は豪傑な巨人と言える。
　莫大な光の魔力に理解できず、誰と判断出来ず、目見張ったまま硬直する。
　呆気に取られたように驚愕する悪魔鬼の顔は素を暴露されたようなものだ。
　悪魔鬼の周囲にその影響が及ぶ、闇の魔力は光の魔力を伴う霧に侵食され、跡形もなく消えていく。
　両足は震え、無数の骨剣が怯えるように縮こまる。
　恐怖を掻き消すかのように、無我夢中で叫ぶ。
　それは、狂ったように、いたぶられる寸前の弱い者の叫び。

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ！　なんなんだぁぁぁぁぁぁ！　や、やまろぉぉぉぉ！」

　アタマカラは神のように、優しく微笑んだ。
　清々しく、浄化されたような微笑み。

「やっと雲になれたような気がする」

「く、くるなぁぁぁぁぁぁ！！」

　アタマカラは一歩一歩地を踏みしめ、その度に周波数のように円状の光を纏う霧が発生する。
　その瞬間、悪魔鬼は狼狽えた顔を消し、侮蔑混じりの形相で、口から闇の光線を放つ。
　渦巻く闇の一直線はアタマカラに直撃しようとする。
　ところが、右手を差し出し、光の線で応戦し、闇を一瞬で消し飛ばし、悪魔鬼の心臓を貫いた。
　悪魔鬼は吐血し、顔を歪め、崩れ落ちようとする、気合いで持ち直し、無我夢中で口から闇の光線を幾度も放つ。
　
「きえろ！　きえろ！　きえろ！」