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2章英雄と龍魔王

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 早速、武器を取りに、よろず武器屋まで足を運んだ。
 レイナは相変わらず気性の荒い態度を全面に出し、カウンターを叩く。

「あんた……今度はイリスちゃんに手を出す訳!?」

「いや、そもそも、前に手を出した覚えは無いのですが」

 アタマカラは背中を丸めながら、抑えるように宥めようとする。
 レイナは勢い余って結われた紫の髪がほどけ、徹夜通しと思われる充血の眼と苛立ちを爆発させる。

「もし、イリスちゃんに手出したら、本当に殺すかんねぇ!」

 アタマカラはレイナの過ぎた妄想に嫌気がさして、イリスに助けを求める。
 が、イリスはジト目でだんまりを決め込んでいた。

「何とか言ってくれ」

 そして、レイナの爆発も収まり、ようやくカウンターに武器が置かれた。
 それは、珍しい白い重厚な刃の剣。
 取っ手にはもくもくとした雲の絵が刻まれていた。
 レイナは手に腰を当て、水を一杯飲んで、プワッとした後、

「本来なら、武器を作成するには1ヶ月はかかるわ」

「そんなに?」

「当たり前じゃない! これから、冒険者のために一緒共にするのよ! 一年かかる武器だってあるくらいなの」

「はい」

「そして、この剣は一年かかる代物よ」

 アタマカラは感心深げに、白い剣を眺める。
 至って何が凄いかを感じることは出来ない。

「でも、待ってくれよ。注文したの昨日だぞ?」

 当たり前の疑問に呆れるレイナは、語調を強め、

「はぁ……いい? あらかじめ作成された剣よ。婆さんがその剣をあんたにって。ダンジョン雲に相応しい武器だってさ」

 ダンジョン雲?
 その名をどこかで聞いた覚えがある。
 けれど、思い出せない。

「そして、その剣を私が徹夜で、調整したのよ。感謝しなさい」

「そうだったのか。ありがとう」

「ふんっ……大事にしなさいよ」

「で? この剣の名は?」

 疑問に答えたのはレイナではなく、唐突に口を開いたイリス。
 操られたような表情で、語句を並べる。

「白雲の牙《はくうんのきば》。昔、ダンジョン雲が自ら抜いた牙で作った剣。ダンジョン雲にとって最高の剣」
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