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第2章:私たちのやりたいことリストと約束
3.ユキのやりたい事リストと告白
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授業、先生が話しながら黒板にチョークを走らせる、コンコンという音と先生の声が響く。
周りをみれば、今は板書をとるところでは無いのは一目瞭然だが、私は一人シャープペンシルを走らせていた。
社会科用のノートの一番最後のページに、やりたいことを具体的に書いてみる。
一、 ミユと旅行に行く
二、 ミユと真面目な話をしてみる
三、 好きな子に思いを伝えたい
四、 有志発表で歌を歌う
五、 テストで一位をとりたい
六、 文化祭とか行事にちゃんと参加する
七、 好きな子と思い出つくりたい
書いてみると、やりたいことがありありと浮かんでくる。このリストをミユに見せるかは別として、これがあればミユにやりたいことを話せるなと思った。
「ユキさん?今は話を聞く時間ですけど」
さっきまで鳴っていたチョークの音がいつの間にか止まっていて、先生の目線は私に釘付けだった。
「あ、ごめんなさい」
急いで隠すようにノートのページを変える。ちらっと隣をみると、隣の席のユウカちゃんが小さく笑っていたので、私も同じように笑い返した。
「チーズケーキとアイスティー二つずつお願いします」
今日は私がミユの分まで注文をする。お気に入りの席で手を差し出すミユ。
「なに?その手」
なんとなく意味は分かっていたけど、見せるのは違うかなと思って聞いてみる。
「やりたいことリスト、書いたんじゃないの?」
「書いたけど、口で言うんじゃだめなわけ?」
好き勝手書いてしまったから恥ずかしくて拒む。だけどミユが無言で手を出し続けるので、根負けしてノートを差し出した。
まじまじと読んで最初の言葉は
「これだけ?」
だった。
「いや、これから増えてくと思うけど、それはその都度追加でって感じで」
ふぅんともう一度リストに目をやる。
「てかなに?好きな人いるの?だれ?」
やはりそこに触れる。この話題に触れられないために見せたくなかったのだが、ミユは一度きになったら解決するまで追求するタイプだから、答えざるを得なかった。
「なんとなく、言いにくくて…」
言いたくなくてごにょごにょしている私をミユが厳しい目線で見つめる。ふぅと息を吐く。
「実は、隣の席のユウカちゃんが好きなんだ。」
恐る恐るミユの顔を覗く。そんな私の顔を見てミユは言葉を返してきた。
「ユキ女の子がすきなの?」
あまりにもダイレクトな言葉が胸に刺さる。
ユウカちゃんへの気持ちを自覚してから自分も戸惑った。まさか自分が同性を好きになるだなんて思わなくて、世の中の風当たりが強いことも分かっているから、誰にも相談できなかった。もちろんミユにも。
この事を言ってしまってミユに引かれたら、私の残り一年は悲惨なものになる気がして、怖くて。
だけど、そんな自分じゃきっと後悔するから。
他力本願で、でも人を信じられなくて、自分を信じられなくて、そんなんじゃダメだと思って、思い切って言ってみた。
「いや、そういうわけじゃないけど…今好きなのがたまたまユウカちゃんってだけだよ」
ミユの反応が怖くて、今にも逃げ出したくなる。拳を強く握った。
「へぇ。で、なに?今女の子を好きなことを、私が変に思うんじゃないかと思ったってこと?」
多少気まずさを覚えながらも、正直に頷く。
「心外だわ。ユキにとって私ってそんなやつだったわけ?いやだなぁ」
ミユは不貞腐れた表情で私を真っ直ぐ見つめた。そんな彼女の瞳をみたら、なんでこんなに心配してたんだろうって、心にあった太い芯みたいなものが溶けていくような気がした。
「で、どこがすきなの?」
私の気持ちを察したのか、ミユは満足気に表情を変えた。にんまり笑って恋バナが始まった。
私がユウカちゃんの好きなところを話す。
綺麗なお顔、笑う時手で口を抑えるところ、話し方がおっとりしている所…。自分に持ってないものを全部もってて好きなんだと話した。
ミユは私の話を聞いて一人できゃあきゃあ言っていた。それから私は思い切って、ユウカちゃんについて気になる事をミユに相談してみた。
ミユはああだこうだ文句を言って、私がそれに反論して、話が進まないよって、手を叩いて笑った。
「よし、追加します」
ミユがおもむろに自身のやりたいことリストを出す。そこに、
五、 言いたいことを言い合う
と付け加えた。
「うちらがあんなに笑いながら話したのって意外と無くない?なんか楽しかったから、もう隠さず全部言うこと。恥ずかしいことも、楽しいことも。もちろん、辛いこともね」
最後だけ、少し声のトーンが落ちたけど、ミユはすごく優しい顔をしていた。
「うん、ちゃんと言うよ。だからミユもちゃんと言ってね」
そう返すと、ミユは照れたのか私の肩を拳でグリグリしながら、当たり前でしょーって怒っていた。怒った表情から見え隠れする嬉しそうな表情が、なんだか沁みた。
周りをみれば、今は板書をとるところでは無いのは一目瞭然だが、私は一人シャープペンシルを走らせていた。
社会科用のノートの一番最後のページに、やりたいことを具体的に書いてみる。
一、 ミユと旅行に行く
二、 ミユと真面目な話をしてみる
三、 好きな子に思いを伝えたい
四、 有志発表で歌を歌う
五、 テストで一位をとりたい
六、 文化祭とか行事にちゃんと参加する
七、 好きな子と思い出つくりたい
書いてみると、やりたいことがありありと浮かんでくる。このリストをミユに見せるかは別として、これがあればミユにやりたいことを話せるなと思った。
「ユキさん?今は話を聞く時間ですけど」
さっきまで鳴っていたチョークの音がいつの間にか止まっていて、先生の目線は私に釘付けだった。
「あ、ごめんなさい」
急いで隠すようにノートのページを変える。ちらっと隣をみると、隣の席のユウカちゃんが小さく笑っていたので、私も同じように笑い返した。
「チーズケーキとアイスティー二つずつお願いします」
今日は私がミユの分まで注文をする。お気に入りの席で手を差し出すミユ。
「なに?その手」
なんとなく意味は分かっていたけど、見せるのは違うかなと思って聞いてみる。
「やりたいことリスト、書いたんじゃないの?」
「書いたけど、口で言うんじゃだめなわけ?」
好き勝手書いてしまったから恥ずかしくて拒む。だけどミユが無言で手を出し続けるので、根負けしてノートを差し出した。
まじまじと読んで最初の言葉は
「これだけ?」
だった。
「いや、これから増えてくと思うけど、それはその都度追加でって感じで」
ふぅんともう一度リストに目をやる。
「てかなに?好きな人いるの?だれ?」
やはりそこに触れる。この話題に触れられないために見せたくなかったのだが、ミユは一度きになったら解決するまで追求するタイプだから、答えざるを得なかった。
「なんとなく、言いにくくて…」
言いたくなくてごにょごにょしている私をミユが厳しい目線で見つめる。ふぅと息を吐く。
「実は、隣の席のユウカちゃんが好きなんだ。」
恐る恐るミユの顔を覗く。そんな私の顔を見てミユは言葉を返してきた。
「ユキ女の子がすきなの?」
あまりにもダイレクトな言葉が胸に刺さる。
ユウカちゃんへの気持ちを自覚してから自分も戸惑った。まさか自分が同性を好きになるだなんて思わなくて、世の中の風当たりが強いことも分かっているから、誰にも相談できなかった。もちろんミユにも。
この事を言ってしまってミユに引かれたら、私の残り一年は悲惨なものになる気がして、怖くて。
だけど、そんな自分じゃきっと後悔するから。
他力本願で、でも人を信じられなくて、自分を信じられなくて、そんなんじゃダメだと思って、思い切って言ってみた。
「いや、そういうわけじゃないけど…今好きなのがたまたまユウカちゃんってだけだよ」
ミユの反応が怖くて、今にも逃げ出したくなる。拳を強く握った。
「へぇ。で、なに?今女の子を好きなことを、私が変に思うんじゃないかと思ったってこと?」
多少気まずさを覚えながらも、正直に頷く。
「心外だわ。ユキにとって私ってそんなやつだったわけ?いやだなぁ」
ミユは不貞腐れた表情で私を真っ直ぐ見つめた。そんな彼女の瞳をみたら、なんでこんなに心配してたんだろうって、心にあった太い芯みたいなものが溶けていくような気がした。
「で、どこがすきなの?」
私の気持ちを察したのか、ミユは満足気に表情を変えた。にんまり笑って恋バナが始まった。
私がユウカちゃんの好きなところを話す。
綺麗なお顔、笑う時手で口を抑えるところ、話し方がおっとりしている所…。自分に持ってないものを全部もってて好きなんだと話した。
ミユは私の話を聞いて一人できゃあきゃあ言っていた。それから私は思い切って、ユウカちゃんについて気になる事をミユに相談してみた。
ミユはああだこうだ文句を言って、私がそれに反論して、話が進まないよって、手を叩いて笑った。
「よし、追加します」
ミユがおもむろに自身のやりたいことリストを出す。そこに、
五、 言いたいことを言い合う
と付け加えた。
「うちらがあんなに笑いながら話したのって意外と無くない?なんか楽しかったから、もう隠さず全部言うこと。恥ずかしいことも、楽しいことも。もちろん、辛いこともね」
最後だけ、少し声のトーンが落ちたけど、ミユはすごく優しい顔をしていた。
「うん、ちゃんと言うよ。だからミユもちゃんと言ってね」
そう返すと、ミユは照れたのか私の肩を拳でグリグリしながら、当たり前でしょーって怒っていた。怒った表情から見え隠れする嬉しそうな表情が、なんだか沁みた。
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