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第一章:焔に刻まれた予言
第一話:焔の予言と、囚われの姫
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第一王女セリナ・レオナールは、目を覚ますと石の床の上に横たわっていた。
冷たく、湿っている。空気は澱んでおり、土と血のにおいが混じっていた。
「……ここは……?」
身を起こそうとして、手首に重い感触を覚える。
鉄製の枷がはめられ、鎖で壁に繋がれていた。
魔法封じの刻印が浮かび、治癒術も転移術も使えない。
(夢じゃ、ない……。誘拐されたのだ、私が……王都の、ど真ん中で……!)
記憶が断片的に蘇る。
侍女たちの悲鳴、剣戟の音、焦げた空気。
そして――仮面を被った襲撃者が放った、燃える魔術。
「“予言の姫は、焔に沈む”。その通りだな、王女セリナ」
声がした。
闇の奥から現れたのは、一人の男だった。
仮面はない。だが、もっと見慣れた顔――記憶の底に刻まれた、憎むべき顔。
「レオン……?」
「久しぶりだな、姫。生きていてくれて何よりだ」
レオン・ゼファル。かつて王国騎士団の精鋭であり、セリナの護衛騎士でもあった男。
三年前、反逆罪の濡れ衣を着せられ、処刑されたはずの男。
「どうして……生きて……!? あなたは処刑されたはず……!」
「ああ、俺は確かに殺された。“王に忠誠を誓った代償”としてな」
彼の目は、静かに怒りを宿していた。
冷たい地下遺跡の空気が、彼の纏う黒い外套に流れ込む。
「お前を助けに来た。だが、俺はもう騎士ではない。
お前に選択肢はない。生き延びたいなら、俺を信じろ」
セリナは目を見開いた。
憎しみと驚きが交錯し、感情が言葉にならない。
「信じろ? 私が、あなたを? 裏切り者を……!」
「……裏切ったのは、俺か? 王か? それとも、“契約”そのものか?」
その言葉に、セリナの胸の魔石が淡く光を放った。
その瞬間、頭の奥に“何か”が流れ込む。
焔の海。血の雨。
黒き仮面の男が、無数の死者を従えて王都に迫る光景。
(これは……未来……? いいえ、違う。これは“定められた終わり”――)
足音が響いた。
地下の入り口から、複数の兵士が降りてくる気配。
「時間切れだ。あいつらは王国の兵じゃない。お前を“処理”しに来た」
「……処理、だと……?」
「お前が“契約の鍵”だと、奴らは知っている。お前を利用する者も、葬る者も、同じ敵だ」
レオンは腰から短剣を引き抜いた。
魔封の鎖を一閃。火花と共に鎖が砕け、セリナの手が自由になる。
「立て、セリナ。逃げるぞ。
これはお前の物語であり――世界を終わらせないための、戦いだ」
セリナは息を呑んだ。
この再会が、王族としての運命を狂わせる始まりだと、直感していた。
だがその刹那、心の奥で何かが叫ぶ。
(“私は、まだ……終わっていない”)
セリナは立ち上がった。
再会した亡霊と共に、血と焔の予言に抗うために。
冷たく、湿っている。空気は澱んでおり、土と血のにおいが混じっていた。
「……ここは……?」
身を起こそうとして、手首に重い感触を覚える。
鉄製の枷がはめられ、鎖で壁に繋がれていた。
魔法封じの刻印が浮かび、治癒術も転移術も使えない。
(夢じゃ、ない……。誘拐されたのだ、私が……王都の、ど真ん中で……!)
記憶が断片的に蘇る。
侍女たちの悲鳴、剣戟の音、焦げた空気。
そして――仮面を被った襲撃者が放った、燃える魔術。
「“予言の姫は、焔に沈む”。その通りだな、王女セリナ」
声がした。
闇の奥から現れたのは、一人の男だった。
仮面はない。だが、もっと見慣れた顔――記憶の底に刻まれた、憎むべき顔。
「レオン……?」
「久しぶりだな、姫。生きていてくれて何よりだ」
レオン・ゼファル。かつて王国騎士団の精鋭であり、セリナの護衛騎士でもあった男。
三年前、反逆罪の濡れ衣を着せられ、処刑されたはずの男。
「どうして……生きて……!? あなたは処刑されたはず……!」
「ああ、俺は確かに殺された。“王に忠誠を誓った代償”としてな」
彼の目は、静かに怒りを宿していた。
冷たい地下遺跡の空気が、彼の纏う黒い外套に流れ込む。
「お前を助けに来た。だが、俺はもう騎士ではない。
お前に選択肢はない。生き延びたいなら、俺を信じろ」
セリナは目を見開いた。
憎しみと驚きが交錯し、感情が言葉にならない。
「信じろ? 私が、あなたを? 裏切り者を……!」
「……裏切ったのは、俺か? 王か? それとも、“契約”そのものか?」
その言葉に、セリナの胸の魔石が淡く光を放った。
その瞬間、頭の奥に“何か”が流れ込む。
焔の海。血の雨。
黒き仮面の男が、無数の死者を従えて王都に迫る光景。
(これは……未来……? いいえ、違う。これは“定められた終わり”――)
足音が響いた。
地下の入り口から、複数の兵士が降りてくる気配。
「時間切れだ。あいつらは王国の兵じゃない。お前を“処理”しに来た」
「……処理、だと……?」
「お前が“契約の鍵”だと、奴らは知っている。お前を利用する者も、葬る者も、同じ敵だ」
レオンは腰から短剣を引き抜いた。
魔封の鎖を一閃。火花と共に鎖が砕け、セリナの手が自由になる。
「立て、セリナ。逃げるぞ。
これはお前の物語であり――世界を終わらせないための、戦いだ」
セリナは息を呑んだ。
この再会が、王族としての運命を狂わせる始まりだと、直感していた。
だがその刹那、心の奥で何かが叫ぶ。
(“私は、まだ……終わっていない”)
セリナは立ち上がった。
再会した亡霊と共に、血と焔の予言に抗うために。
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