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21 隣人の向居さんと最後の晩餐を…
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それは出会って、お互いに近くに住んでいると分かり話すようになってから…
ほんの少し…
経った頃だったと思う。
洗濯物の取り込み以降の食事から向居さんの家で、ご飯をご馳走になるのが、通常化した始めた頃と言っても、良いかもしれない。
本当に突然だった。
平日徹夜明けで、仮眠後に昼になる頃に目が覚め何気なく窓を開けてまどろんでいると…
開けた窓から腹の空く良い匂いが、部屋に充満してきた。
まるでそれに誘われるようにベランダへ出たら。
向居さんが、自宅の庭で肉を焼いていた。
『何やってんですか?』
まだその時は向居さんが、料理研究家なんって肩書があることを知らなかったし。
料理系のブロガーって、話しだけを聞かされていた。
だから…
真っ昼間に自宅の庭で…
炭火で焼肉って、何してる人だよ? って本気で思った。
『かなり良いお肉を頂いたから。特製漬けダレを作って今、焼いて食べてる所♪』
急激に腹の空く匂いである事は、変わりわない。
寝起き1発目にこの匂いは、スタミナ不足の身体に堪える…
物欲しそうな顔していたのか、空きっ腹を見抜かれたのか…
向居さんから『お肉も野菜も多めに用意したから。一緒にたべない?』と、誘われた。
新鮮な野菜に肉も見事なサシ入で柔らかいのに特製の甘辛ダレが、染み込んでいて…
『めちゃ旨い…』
『白米入る?』
焼き肉と白米。
断る選択肢があるか?
『そう。良かった!』
満足そうに微笑む向居さんは、楽しそうだ。
『後…ビールもいる?』
トリプルコンボきた…
『…入ります…』
向居さんは、近くに置いたクーラーボックスから缶ビールを取り出してくれた。
いつも食事の時は、お茶系と決まっている人が、ワザワザ…
缶ビールをクーラーボックスで冷やしてくれていたとか…
予め俺が、ここに来ることを、予想していたみたいで少し嬉しくなった。
『…で…その…どうしたら真っ昼間の…しかも平日に焼き肉なんですか?』
『コレね?』
指で、上等な肉を差す。
『これは、企業案件で試作したタレの中で、辛さが大人向けで子供向けじゃないって…無しになったタレでね…でも、ボツになったからって…捨てるのは、勿体無いでしょ?』
企業案件? 試作? ボツ?
『向居さんって、何してる人?』
『あれ? 言ってなかった?』
向居さんは、自分で焼いた肉を頬張りながらレシピを作ってブログに載せたり。
本の監修をしてるとか、フードライターだと大まかに自分の職業を話してくれた。
確かに向居さんは、俺と同じで日中家に居るみたいなのは、同じような在宅ワークで、俺がたまに部屋の換気のためと窓を開けたりしていると、ごく稀に向居さんの家の方からまたに美味しそうな匂いが、漂ってきていたから。
料理好きな人とは、思っていたけど…
企業案件で試作の焼肉のタレと聞いて、かなり驚いていた。
「色々と気になりますが、監修ってことですよね?」
「まぁ~そんな所?」
向居さんは、あっけらかんと…
いつもの向居ペースで話し出す。
「都市部を中心に展開してる◯◯店が、新店舗を出店するにあたって新ダレを開発したいから協力してほしいって…」
「へぇ~~」あの人気焼肉屋店の…
「お店で一番人気のタレをベースに、その良さを残しつつ…ってコンセプトで甘辛ダレと甘口ダレをお店の人達と試作作って試したんだ…」
そう言う事もありファミリー層向けだから最初の甘辛ダレは、無しになったらしい。
「…でもまぁ…機会があれば…とかなんとか…ってね…」
「俺は、好きですよ。こう言う甘辛ダレ…ご飯に染みて最高だと思います」
「…そりゃそうでしょう…」と、ニヤリ。
「あの?」
「ご飯によく合うでしょ?」
「はい!」
「良かった。気に入ってもらえて作った甲斐が…あっかも?」と、またニャニャ。
「えっ…それって…」
「ん。なに?」
ホッとしたように微笑む向居さんが、見せてくれた表情に心臓の音が一瞬、高鳴った。
おそらくって言うか、この辺りからだ向居さんを、素で気にするようになったのは…
「あぁ~そうそう。僕の仕事が、気になるって言ってたよね?」
「はい…」
「それ…」
向居さんは、上質な肉を焼きながらそばに置きてあった街の食べ歩きを題材にした雑誌を差し出した。
「これ…よくコンビニで見かけますよね…確か、会社での飲み会で、幹事することになって居酒屋探すのに…使った記憶ありますよ…」
略同期の若い連中だけだったら大衆向けの居酒屋で済むが…
上司も一緒とか…
いわゆる会社の飲み会的な事になると、店選びに間違いがあってはならないので…
「こう言うのを使うのがいいと先輩達から教わって…」
「その雑誌は、食と地域とか文化とか、コミュニティを中心に作られているからね」
「へぇ~…」
俺は、雑誌の付箋が貼られたページをめくる。
県内で数店舗チェーン展開している焼肉屋の新ダレの開発を任された部門のチーフらしき人と…
「向居さん?!」が、見開き2ページに渡って新ダレの開発と、その舞台裏を対談形式で掲載されていた。
「料理研究家…向居 レン…」
「周りは、そう呼ぶけど…ただの料理好きなだけだよ」
僕は少しだけ意味深に、また微笑んでみせた。
ほんの少し…
経った頃だったと思う。
洗濯物の取り込み以降の食事から向居さんの家で、ご飯をご馳走になるのが、通常化した始めた頃と言っても、良いかもしれない。
本当に突然だった。
平日徹夜明けで、仮眠後に昼になる頃に目が覚め何気なく窓を開けてまどろんでいると…
開けた窓から腹の空く良い匂いが、部屋に充満してきた。
まるでそれに誘われるようにベランダへ出たら。
向居さんが、自宅の庭で肉を焼いていた。
『何やってんですか?』
まだその時は向居さんが、料理研究家なんって肩書があることを知らなかったし。
料理系のブロガーって、話しだけを聞かされていた。
だから…
真っ昼間に自宅の庭で…
炭火で焼肉って、何してる人だよ? って本気で思った。
『かなり良いお肉を頂いたから。特製漬けダレを作って今、焼いて食べてる所♪』
急激に腹の空く匂いである事は、変わりわない。
寝起き1発目にこの匂いは、スタミナ不足の身体に堪える…
物欲しそうな顔していたのか、空きっ腹を見抜かれたのか…
向居さんから『お肉も野菜も多めに用意したから。一緒にたべない?』と、誘われた。
新鮮な野菜に肉も見事なサシ入で柔らかいのに特製の甘辛ダレが、染み込んでいて…
『めちゃ旨い…』
『白米入る?』
焼き肉と白米。
断る選択肢があるか?
『そう。良かった!』
満足そうに微笑む向居さんは、楽しそうだ。
『後…ビールもいる?』
トリプルコンボきた…
『…入ります…』
向居さんは、近くに置いたクーラーボックスから缶ビールを取り出してくれた。
いつも食事の時は、お茶系と決まっている人が、ワザワザ…
缶ビールをクーラーボックスで冷やしてくれていたとか…
予め俺が、ここに来ることを、予想していたみたいで少し嬉しくなった。
『…で…その…どうしたら真っ昼間の…しかも平日に焼き肉なんですか?』
『コレね?』
指で、上等な肉を差す。
『これは、企業案件で試作したタレの中で、辛さが大人向けで子供向けじゃないって…無しになったタレでね…でも、ボツになったからって…捨てるのは、勿体無いでしょ?』
企業案件? 試作? ボツ?
『向居さんって、何してる人?』
『あれ? 言ってなかった?』
向居さんは、自分で焼いた肉を頬張りながらレシピを作ってブログに載せたり。
本の監修をしてるとか、フードライターだと大まかに自分の職業を話してくれた。
確かに向居さんは、俺と同じで日中家に居るみたいなのは、同じような在宅ワークで、俺がたまに部屋の換気のためと窓を開けたりしていると、ごく稀に向居さんの家の方からまたに美味しそうな匂いが、漂ってきていたから。
料理好きな人とは、思っていたけど…
企業案件で試作の焼肉のタレと聞いて、かなり驚いていた。
「色々と気になりますが、監修ってことですよね?」
「まぁ~そんな所?」
向居さんは、あっけらかんと…
いつもの向居ペースで話し出す。
「都市部を中心に展開してる◯◯店が、新店舗を出店するにあたって新ダレを開発したいから協力してほしいって…」
「へぇ~~」あの人気焼肉屋店の…
「お店で一番人気のタレをベースに、その良さを残しつつ…ってコンセプトで甘辛ダレと甘口ダレをお店の人達と試作作って試したんだ…」
そう言う事もありファミリー層向けだから最初の甘辛ダレは、無しになったらしい。
「…でもまぁ…機会があれば…とかなんとか…ってね…」
「俺は、好きですよ。こう言う甘辛ダレ…ご飯に染みて最高だと思います」
「…そりゃそうでしょう…」と、ニヤリ。
「あの?」
「ご飯によく合うでしょ?」
「はい!」
「良かった。気に入ってもらえて作った甲斐が…あっかも?」と、またニャニャ。
「えっ…それって…」
「ん。なに?」
ホッとしたように微笑む向居さんが、見せてくれた表情に心臓の音が一瞬、高鳴った。
おそらくって言うか、この辺りからだ向居さんを、素で気にするようになったのは…
「あぁ~そうそう。僕の仕事が、気になるって言ってたよね?」
「はい…」
「それ…」
向居さんは、上質な肉を焼きながらそばに置きてあった街の食べ歩きを題材にした雑誌を差し出した。
「これ…よくコンビニで見かけますよね…確か、会社での飲み会で、幹事することになって居酒屋探すのに…使った記憶ありますよ…」
略同期の若い連中だけだったら大衆向けの居酒屋で済むが…
上司も一緒とか…
いわゆる会社の飲み会的な事になると、店選びに間違いがあってはならないので…
「こう言うのを使うのがいいと先輩達から教わって…」
「その雑誌は、食と地域とか文化とか、コミュニティを中心に作られているからね」
「へぇ~…」
俺は、雑誌の付箋が貼られたページをめくる。
県内で数店舗チェーン展開している焼肉屋の新ダレの開発を任された部門のチーフらしき人と…
「向居さん?!」が、見開き2ページに渡って新ダレの開発と、その舞台裏を対談形式で掲載されていた。
「料理研究家…向居 レン…」
「周りは、そう呼ぶけど…ただの料理好きなだけだよ」
僕は少しだけ意味深に、また微笑んでみせた。
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