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『満足』<♂♀>
しおりを挟む~栗の花言葉~
「ほら、これも似合うな!!」
「そうなの?」
「そうなの!」
休日の昼間、青年は少女を連れて洋服屋へやって来た。
少女は特に何かに興味を示す訳でも無く、青年に手を引かれて服屋の中を歩き回るのみだったが、青年はそんな少女に気分を害する訳でも無く、楽しそうに様々に取り揃えられた服を見て歩く。
「君にはこれも似合うよ。」
「良く分からないわ…。」
「ま、そんな事気にしなくても、俺が君に合う服を選んであげるからさ!」
「………。」
青年の言葉に少女は黙り込み、俯いた。
そんな少女の態度に青年は満面の笑みを浮かべ、優しく頭を撫でた。
再び、青年は少女の手を取ると店内を歩き回り、少女に合いそうな服を探していく。
気に入った服は少女に持たせ、気になる服は頭の中で少女に着せてコーディネートし、気に入らなければもう一度服を選び直した。
そんな事を繰り返しながら店内をひとまわりし、ある程度の服を選び終えた青年は、少女を試着室に連れて行くと、選んだ服を一旦全て受け取り、頭の中で組み合わせた衣装を着てみる様にと促した。
言われた通りに組み合わされた服は、少女の可愛らしさを引き立てており、尚も表情を変える事の無い少女に代わって、青年は本当に嬉しそうに笑みを深める。
「きつい所とか無いかい?」
「大丈夫。」
「なら、これは決まりだな。次はこれだ。」
「分かった。」
次々と試着しては青年に見せていく少女。
全ての試着を終え、予想と違った服は元あった所へ戻し、新しく何着か選んで持って来くると、もう一度試着をさせ始める。
「うん。こっちの色の方が似合うな!」
「…私の服ばかり選んでいるけど、あなたの服は選ばないの?」
「今日は君の服を選びに来たんだ。」
「何故?」
「俺が選んだ服を着てる君が、見たかったんだよ。」
「………。」
「顔、赤いぞ!」
服屋へ買い物に連れて来られた時からずっと感じていた疑問をぶつけた少女は、少し照れ臭そうに答えた青年に頬を染めて俯いた。
少女の態度に更に照れ臭くなった青年は、目を逸らしながらも少し乱暴に頭を撫でる。
そんな手の温もりに、少女は更に恥ずかしく感じていたが、ふと目を向けた先にあった物に目を見開いて、顔を上げた。
「どうした?」
「あれ…。」
「ん?」
「あなたに似合いそう…。」
店を出た二人はどこか幸せそうで、紙袋を持つ方とは反対の青年の腕には、少女とお揃いでシルバーのブレスレットが輝いていた。
「私は、よかったのに…。」
「良いんだよ、それともお揃いは嫌だった?」
「ううん…。お揃い…。」
「ふふっ。」
終わり
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