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『幼い夢』<♂♀>
しおりを挟む~人参の花言葉~
オレの夢は、ばあちゃんのおムコさんになる事だ。
「ただいま!!」
「お帰りなさい」
「ばあちゃん、今日はなにして遊ぶ?」
「そうね…、今日は暖かいから、散歩にでも行きましょう」
「さんぽかあ…。ばあちゃんが行きたいならしかた無いか」
「ありがとう」
ばあちゃんはオレの母さんのお母さんだって、父さんから聞いた。
母さんはオレが小さい頃に天国へ行ってしまったので、幼稚園のころは父さんと二人で暮らしていた。
小学校に入学した日、ばあちゃんがやって来て、忙しい父さんの代わりにオレの面倒をみてくれる事になったんだ。
「ばあちゃん、今日のさんぽはどこに行くんだ?」
「う~ん…、少し行った先にある公園にでも行こうかしら」
「う゛っ…、あの公園か…」
「嫌?なら、違う所に…」
「い、嫌じゃない!!行こう、ばあちゃん」
ギュッ
「………そうね」
オレは、学校から帰るといつもこんな風にばあちゃんと一緒にいる事が多い。
理由は、ばあちゃんが大好きで、少しでも多く一緒に居たいと思っているから。
父さんはそんなオレを見て、母さんがいないから甘えてるんだろうと思っているみたいだ。
ばあちゃんにそう話している所を見た事もある。
ばあちゃんは何も答えなかったけど、きっと父さんと同じことを思っているんだと思う。
キョロキョロ
「何を探してるの?」
「…何でも無いよばあちゃん!!」
「そう?なら、いいけど…」
「おや!お孫さんとお散歩ですか?」
「げっ…」
「あら、こんにちは。ええ、この子に付き合って貰って…」
「坊主、良いな~!!こんな綺麗なお祖母ちゃんと散歩出来て!」
「嫌ですよ…」
「はい、とっても!!」
「まあ…」
「ははは!!好かれてますね~」
「ふふ、お陰さまで」
「今度は、わしと一緒に…」
グイッ
「ばあちゃん、ほら!公園に行くんだろ?」
「あら、まだ途中だったわね…。すみません、それじゃあまた」
「あ、ああ、それじゃまた…」
「そんなに引っ張らないで…」
ばあちゃんと外を歩くのはあまり好きじゃない。
理由は、こうしてばあちゃんと同じ年くらいのじいちゃん達が話し掛けて来るから。
初めて一緒に散歩した時、ばあちゃんはすれ違うじいちゃん達から次々に声を掛けられ、何度も笑顔で断り続けていた。
知ってる人かと聞くと、少し困ったように笑って皆知らない人だと言った。
その時は不思議に思っていた。
あとあとになってばあちゃんたちの話の内容を父さんに聞いたら、それはじいちゃんたちがばあちゃんと仲良しになりたいからだと教えてくれた。
何故かその事にオレはイライラして、ばあちゃんの部屋へと突撃した。
ばあちゃんは驚いていたけど、すぐに笑顔を浮かべると、優しく「どうしたの?」と聞いてきた。
オレは、ばあちゃんがじいちゃん達と話しているのが嫌なこととか、じいちゃん達が話し掛けて来るのはばあちゃんと仲良くなりたいからだとか、思ってることや事実を全て話した。
最後までオレの話を聞いたばあちゃんは小さく頷くと、優しく笑って、「教えてくれてありがとう」と答えただけだった。
あの日以来オレは、ばあちゃんがじいちゃん達と話していると割って入り、邪魔するようになったのだ。
「漸く公園に着いたわね」
「ばあちゃんはじいちゃん達の話を聞き過ぎなんだよ…」
「話し掛けられてるのに、無視するのは失礼でしょ?」
「…じいちゃん達は、ばあちゃんが好きだから話し掛けてくるんだ…」
「ふふ、そうだと嬉しいわね」
「も~…。…オレだって、ばあちゃんのこと…」
「ありがとう」
「っ~…、ばあちゃんはどうなんだよ…?」
「私も、お前が好きだよ」
「………孫だから?」
「ええ」
「は~…。オレは、じいちゃん達と同じ様に…っ!?」
チュッ
「分かってるわよ」
「ば、ばあちゃ…」
「ふふ、帰りましょうか」
この日のことは、ずっと忘れないだろうと思った。
オレの言葉を止めて、優しく笑いながらおでこにチュウをしてくれたばあちゃんの唇。
ドキドキしながら見返した時に見せた、ばあちゃんの嬉しそうな顔。
手を繋いで先を行く、何だかいつもと違うばあちゃんの横顔。
この大きな夢と一緒に…。
『オレ、絶対ばあちゃんのおムコさんになる!!』
終わり
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