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『いじめないで』<♂♀>
しおりを挟む~牛蒡の花言葉~
クチュ
「お願い…、もう、やめて…」
コイツは全然分かっていない…。
何故オレが、こんな事をするのか。
分かっていないから、止める訳にはいかない…。
グチュ
「これでもう…、アイツに会う気になれないだろ…?」
「うぅっ…、どうして…?」
「………お前が、気付かないからだよ…」
「え…?」
オレは小さい頃からずっとコイツの側にいて、コイツの笑う顔だけが見たくて、嫌がるだろうことも悲しむだろうこともしないようにして来た。
だけど、年頃になったコイツは好きな奴ができて、そいつと付き合い始めた。
ショックはでかかった。
同じくらいに、コイツには幸せにもなって欲しかった。
だから、オレは身を引いて遠くから見守ることにしたんだ。
なのに…。
「もう、だいぶ濡れてるし問題は無いだろ…」
「いやっ…、止めて、お願い…」
「…いくら泣いても、止めねえよ…」
クチュ
「あっ…、いや…」
「泣いたって…、止める訳にはいかねえよ…くっ…」
ズッ
「やあぁぁぁ…」
付き合い始めて1ヵ月も経たない内に、コイツが選んだ男は他に女を作った。
しかも、一人だけじゃなく…。
それでも始めは、気に入らないながらも最終的にコイツを選べば良いかと様子を伺っていた。
コイツが選んだ相手だから。
しかし、段々とコイツをぞんざいに扱い始めた辺りからオレはそいつに怒りを覚え始めた。
コイツの悲しむことはしないと決めていたが、流石にこの男は止めた方が良いと何度か告げたこともあった。
けどコイツは、この男じゃなければ駄目だと真剣な表情でオレを見つめた。
そんな時だった。
その男がコイツに飽きたと言い始めたのは…。
「なん、でぇ…、あっ、い、やぁ…」
ズッ
グチュ
「…お前の、為だよ…」
クチュ
「あぁ…、や、駄目ぇ…」
ズッズッ
「大丈夫だ…、すぐ、終わる…うっ…」
「いやぁぁ…」
オレには、これしか出来ない。
コイツがオレとの関係を悲観して、あの男に別れを告げさせることしか…。
あの男から飽きたと言われ、傷付くコイツを見るくらいなら、オレを嫌い、恨み、呪い、全てをオレのせいにしてくれた方が数千倍マシだ。
だから、オレは…。
「スー…、スー…」
「…嫌な思いさせて、悪かったな…」
サラッ
「スー……、いじめ、ないで…」
「え?」
「…スー…、スー…」
「寝言か…」
(…いじめ、か…)
終わり
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