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第七話 里を守れ!メルの決意 ~チャプター7~
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「チッ!相手が悪すぎる…!」
少数の王国軍相手に数で優位に立っていたはずが、ノーラ王女にシアリーゼ王女が加わったことで形勢逆転してしまった闇ハンター集団。
「アンタ達もこれでおしまいよ。観念してお縄につきなさい!」
「クソッ!仕方ない、ヤツを投入しろ!」
ハンターにはまだ何か秘策があるようだ。
「まだ何かしようっての?」
「もうどうなったって構わねぇ!全員ブッ潰してやらぁ!」
すると奥の方から地響きがするほどの足音が迫ってくる。
「な、何なの!?」
「へへへ…こいつは捕えたはいいものの、誰も完全に操れなかった正真正銘のバケモノだ。」
まさに追い詰められた表情でそう言い放ったハンターの背後に現れた、鎖に縛られた身の丈7、8mの巨人。
「まさか…、バーサオーガ!?」
「これはマズイですね。」
「よし、解放しろ!コイツが暴れているスキにずらかるぞ!」
ハンターが鎖を解くと、バーサオーガは雄叫びをあげながら見境なく暴れだす。
「チッ、厄介ね。ストームブラスト!」
「あ!ダメです、ノーラさん!」
ノーラがストームブラストを撃つが、バーサオーガは腕を一振りすると魔術がかき消されてしまう。
「ウソでしょ!?」
「バーサオーガには、魔術の類が通用しないんです!」
今までボスモンスターと相対したときは大抵この二人の魔術で退けてきたが、今回の相手にはそれが通用しない。
「殿下!シアリーゼ殿!お二人は下がっていてください!」
「ここは我々が食い止め…ぐはッ!」
兵士たちが次々と盾になっていくが、バーサオーガの腕力の前に成す術もなく弾き飛ばされてしまう。
そして、バーサオーガがノーラ達のもとへ迫り、彼女らを攻撃しようと腕を振り上げたその時―――
彼女らの背後から何かが投げ込まれ、振り上げられていたバーサオーガの腕を弾く。
(だ、誰!?)
バーサオーガの腕を弾き地面に突き刺さったのは、巨大な両刃の斧。
「殿下、ご無事ですか!?」
「姫様ー!助けに来たよ!」
「みんな!それにギルド長まで!?」
メルやユウヤたち、それとギルド長が応援に駆け付けた。
「そっちはもう大丈夫なの?」
「うん!ほとんどギルド長とミヤムラさんがやっつけちゃった。」
「そうでしたか。無事で何よりですが、約一名だけ何やら虫の息ですね…。」
駆け付けたものの、病み上がりなユウヤだけがもうヘトヘトになっていた。
「まったく。ホントに何しに来たのよ。」
互いの無事を喜ぶのもつかの間―――
「グオオオオォォォォ!」
「うおっ、なんだあのデカブツ!?」
「バーサオーガ、だね。オーガの中でも特に凶暴で、魔術が効きにくいモンスターだよ。」
(魔術が効かないって…、そりゃ姫様たちも苦戦するわけだ。)
「闇ハンターめ、こんなモノまで捕えていたとはな。」
ガゼルが突き刺さった斧を引き抜き、構えなおす。
「だがこの程度、魔王討伐までに何度も相手してきた。何のことはないさ。」
そして、バーサオーガへと向かっていった―――
「…魔王討伐?」
「おや、ご存じではなかったのですか?ギルド長は聖騎士パーティの一員でいらっしゃったのですよ。」
「ミヤムラさん!?もうこっちに!?」
「ええ、メルさんのお友達は無事避難所へ送り届けてまいりましたよ。」
「それで、ギルド長が元聖騎士パーティだったって…?」
「それはですねぇ―――」
当時は名うての冒険者であったガゼルは、聖騎士パーティの前衛担当として多くの魔族やモンスターと戦ってきた。単純な物理戦闘力に関しては聖騎士エドリックに比肩するほどであったという。
そして魔王、ひいてはそれに取り憑いていた悪霊・暗黒思念体との決戦にて、エドリックによってかろうじてそれを封印し勝利したものの、ガゼルは大怪我を負いしばらく冒険者として活動できなくなってしまった。
戦争は終わったが、未だモンスターや盗賊などの被害が絶えないこの世界において、ガゼルは自分が冒険者を続けるよりも次の世代に託すことを考え、ギルドで裏方に回ることを決意し、のちにギルド長となった。
「―――ルクスのギルドにはギルド長に憧れて冒険者になった方も多いのですよ。ユウヤさんもそうではなかったのですか?」
「あ、いえ…えーっと、たまたま近所にあったギルドだった…し、ギルド長の事も知らなくって…」
「ガゼルの名を知らないとか、どんな田舎に住んでたのよ。」
「ほっといてくれよ…」
無知なユウヤにノーラが辛辣な言葉を浴びせた。
(田舎どころか、異世界だからな…。)
ガゼルとバーサオーガの戦いに入り込めない一行は、ただその行く末を見守るばかりであった。
少数の王国軍相手に数で優位に立っていたはずが、ノーラ王女にシアリーゼ王女が加わったことで形勢逆転してしまった闇ハンター集団。
「アンタ達もこれでおしまいよ。観念してお縄につきなさい!」
「クソッ!仕方ない、ヤツを投入しろ!」
ハンターにはまだ何か秘策があるようだ。
「まだ何かしようっての?」
「もうどうなったって構わねぇ!全員ブッ潰してやらぁ!」
すると奥の方から地響きがするほどの足音が迫ってくる。
「な、何なの!?」
「へへへ…こいつは捕えたはいいものの、誰も完全に操れなかった正真正銘のバケモノだ。」
まさに追い詰められた表情でそう言い放ったハンターの背後に現れた、鎖に縛られた身の丈7、8mの巨人。
「まさか…、バーサオーガ!?」
「これはマズイですね。」
「よし、解放しろ!コイツが暴れているスキにずらかるぞ!」
ハンターが鎖を解くと、バーサオーガは雄叫びをあげながら見境なく暴れだす。
「チッ、厄介ね。ストームブラスト!」
「あ!ダメです、ノーラさん!」
ノーラがストームブラストを撃つが、バーサオーガは腕を一振りすると魔術がかき消されてしまう。
「ウソでしょ!?」
「バーサオーガには、魔術の類が通用しないんです!」
今までボスモンスターと相対したときは大抵この二人の魔術で退けてきたが、今回の相手にはそれが通用しない。
「殿下!シアリーゼ殿!お二人は下がっていてください!」
「ここは我々が食い止め…ぐはッ!」
兵士たちが次々と盾になっていくが、バーサオーガの腕力の前に成す術もなく弾き飛ばされてしまう。
そして、バーサオーガがノーラ達のもとへ迫り、彼女らを攻撃しようと腕を振り上げたその時―――
彼女らの背後から何かが投げ込まれ、振り上げられていたバーサオーガの腕を弾く。
(だ、誰!?)
バーサオーガの腕を弾き地面に突き刺さったのは、巨大な両刃の斧。
「殿下、ご無事ですか!?」
「姫様ー!助けに来たよ!」
「みんな!それにギルド長まで!?」
メルやユウヤたち、それとギルド長が応援に駆け付けた。
「そっちはもう大丈夫なの?」
「うん!ほとんどギルド長とミヤムラさんがやっつけちゃった。」
「そうでしたか。無事で何よりですが、約一名だけ何やら虫の息ですね…。」
駆け付けたものの、病み上がりなユウヤだけがもうヘトヘトになっていた。
「まったく。ホントに何しに来たのよ。」
互いの無事を喜ぶのもつかの間―――
「グオオオオォォォォ!」
「うおっ、なんだあのデカブツ!?」
「バーサオーガ、だね。オーガの中でも特に凶暴で、魔術が効きにくいモンスターだよ。」
(魔術が効かないって…、そりゃ姫様たちも苦戦するわけだ。)
「闇ハンターめ、こんなモノまで捕えていたとはな。」
ガゼルが突き刺さった斧を引き抜き、構えなおす。
「だがこの程度、魔王討伐までに何度も相手してきた。何のことはないさ。」
そして、バーサオーガへと向かっていった―――
「…魔王討伐?」
「おや、ご存じではなかったのですか?ギルド長は聖騎士パーティの一員でいらっしゃったのですよ。」
「ミヤムラさん!?もうこっちに!?」
「ええ、メルさんのお友達は無事避難所へ送り届けてまいりましたよ。」
「それで、ギルド長が元聖騎士パーティだったって…?」
「それはですねぇ―――」
当時は名うての冒険者であったガゼルは、聖騎士パーティの前衛担当として多くの魔族やモンスターと戦ってきた。単純な物理戦闘力に関しては聖騎士エドリックに比肩するほどであったという。
そして魔王、ひいてはそれに取り憑いていた悪霊・暗黒思念体との決戦にて、エドリックによってかろうじてそれを封印し勝利したものの、ガゼルは大怪我を負いしばらく冒険者として活動できなくなってしまった。
戦争は終わったが、未だモンスターや盗賊などの被害が絶えないこの世界において、ガゼルは自分が冒険者を続けるよりも次の世代に託すことを考え、ギルドで裏方に回ることを決意し、のちにギルド長となった。
「―――ルクスのギルドにはギルド長に憧れて冒険者になった方も多いのですよ。ユウヤさんもそうではなかったのですか?」
「あ、いえ…えーっと、たまたま近所にあったギルドだった…し、ギルド長の事も知らなくって…」
「ガゼルの名を知らないとか、どんな田舎に住んでたのよ。」
「ほっといてくれよ…」
無知なユウヤにノーラが辛辣な言葉を浴びせた。
(田舎どころか、異世界だからな…。)
ガゼルとバーサオーガの戦いに入り込めない一行は、ただその行く末を見守るばかりであった。
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