異世界でもしにたい ~平凡転移者の異世界暮らし~

Tom Oak

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第八話 湖の竜 ~チャプター2~

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屋敷に入ると、留守番していたシアリーゼ姫が出迎えてくれたが……

「みなさーん、お待ちしていましたよ~。待ち遠し過ぎてもう着替えてしまいました。」
「な!?」

黒いビキニタイプの水着を纏っていた。
今まで体のラインが出ない服を着ていて気にしたことはなかったけど、あらためて見るとグラドル顔負けのプロポーションをしていて、思わずこちらの方が照れてしまいそうだ。

「シ…シシ、シアリーゼ姫!?なんで下着で出歩いてるの!?」

メルが慌てふためいた様子で尋ねる。というか初めて会った時のキミの恰好も大概だったけど。

「ああ、これは水着といいまして、水辺で遊泳する時に着用する衣類なんです。なんでも樹脂繊維で織られていて水を吸いにくく、水中でも重くならないとか。」
「そ、そうなんだ…。」
「みんなの分も用意してあるわ。さっそく着替えに行きましょ。」

ノーラ姫がメルとリーナを連れて着替えに行く。

「ユウヤ様の分もございますので、こちらへどうぞ。」

俺も侍女さんに案内され着替えに行った。ちゃんと俺の分もあったんだ。

                   ***

「ユウヤさ~ん、こちらですよ~。」

着替え終わった後、敷地内の湖畔にあるプライベートビーチまで案内してもらった。
そこにはすでに着替えていたシアリーゼ姫が待っていた。

「うわ…、ホントに海みてーだな…。」
「この砂浜は南方の海岸から砂を運び埋め立てて造られました。王都からは海が遠く、少しでも近場で海岸の雰囲気を味わっていただくためということです。」

白いワンピースの水着に着替えてきたマリークレアさんが説明してくれた。金髪に透き通るような白い肌をした彼女によく似合っていて、思わず見入ってしまった。

「どうかなさいました?」
「い、いえ…。」
「アンタ、やっぱり年上が好みなんじゃないの?」

ノーラ姫たちも着替え終わったようだ。

「ユウヤお待たせ~。」

リーナが着てきたのはパステルグリーンのシンプルなビキニタイプの水着。
ノーラ姫も同じくビキニだがフリルのついた花柄のよりゴージャスなもの。
メルはトップスはノーラ姫と色違いのものだが、腰には少し長めのパレオを巻いていた。

「うーん…。」
「ど、どうしたのよ?」

着替えてきた女子たちを見た俺は、メルに対して長い間抱いていた疑問を投げかけずにいられなくなった。

「あのさ…、前から思ってたんだけど、その…メルの…、人間とヘビの境目のところってどーなってるのかな…って。」
「へ…ヘンタイ!!」

俺はメルから顔面に思いっきりビンタを喰らい、メルはノーラ姫に泣きついた。
これは日差しが暑かったせいだ、うん。

「アンタ、いくら仲間だからっていきなりコカン見せろは無いわ。」

そこまで言ったつもりはないけど、きっとラミアにとってはそれに等しいことなのだろう。

「これは満場一致で有罪ということで、コイツには刑罰を執行しないとね。」
「処刑よ!」「処刑♪ですね。」

そして俺は首から下を砂に埋められてしまった。砂浜でよくやる体を横にして埋めるような生易しいものではなく、そのまま縦にズボ…である。身動きが全く取れない。

「さて。罪人をさらし首にしたところで、みんなでゲームをやるわよ。」
「ゲーム?」
「そ、アタシ考案のね。マリ、あれ持ってきて。」

マリークレアさんが持ってきたのは手ぬぐいとスイカ、そして長剣だ。

「スイカ?食べるの?」
「うん、後でね。でも食べるには切り分けなきゃいけないでしょ?それをゲームにしたのよ。」

やり方はこうだ。スイカを離れた場所に置き、プレイヤーは目隠しをする。そして周りの人が声をかけてプレイヤーをスイカのもとまで誘導し、最後にプレイヤーがスイカがあると思う場所に剣を振り下ろす。

―――早い話がスイカ割りである。
ただ物騒なことに得物が棒ではなく剣であるところが異世界らしい。

「それじゃ、始めるわよー!」

そしてスイカは案の定、動けない俺の頭のすぐ横に置かれた。

「順番きめるわよー、いーしかーみけーん!」

異世界じゃんけんの結果、最初のプレイヤーはメルだ。

「よーっし、いくよー!」

目隠しし剣を構えたメルがスイカを目指し周囲の掛け声を頼りにそろりそろりと進んでいくが…

「右よ!みぎ!」「もうちょい左だよー!」「もっと前ですよ~!」

メルがだんだんと俺の眼前に迫ってくる。

「オイオイオイ!ちゃうちゃう!」
「いくわよ!」

剣が振り下ろされ、刃が俺の顔の真横を通り過ぎる。

「ざんね~ん、外れよ。」「惜しかったですわね。」

いやいやいや、惜しいとかじゃなくって!

「さて、次はわたくしですわね。」

今度のプレイヤーはシアリーゼ姫だ。

目隠ししたシアリーゼ姫は相変わらず俺の方まで誘導されていったが―――

「あら!?」

シアリーゼ姫は砂浜に足を取られ転倒し、俺の方に倒れこんでくる。

「あ~~れェ~~~」

こ、これは…横にスイカがひとつ、そして眼前に迫るスイカが二つ!?

―――直後、なんだかとても心地いい衝撃に襲われ、俺はそのまま気を失ってしまった。
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