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ハロー!異世界!
第1異世界人はっけん!
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山の中の元坑道を少女は手押し車を押しながら、ガラガラと調べ歩いていた。
じき始まる祭りのための材料を探しに彼女は、歩いていた。
煤けた作業服で皮厚の手袋をして、ピッケルを肩に担ぎながらほおなどを炭で少し黒くしている彼女は一人あるレアメタルを探していた。
かなり坑道の奥深くに入った時、彼女はそれを見つけた。
「……あっ」
少女は目当てのものが見つかると、それに駆け寄った。
「あった……やった~!!」
一人、声をあまり上げないように喜びに打ち震えた彼女は、いそいそとピッケルをそれに打ち付けた。
カァーン、カァーン
と、坑道内にリズムよく音が響き渡った。
「ふぅ、大量大量!」
満足した彼女は手押し車に、ここでしか取れないレアメタルを積むと、ガラガラとそれを押した。
「早くでないと……」
彼女は大変なのはここからだと、気持ちを引き締めた。
この坑道内ではモンスターが巡回しており、暗闇の中で異様に発達した聴覚を頼りに、音を立てると近寄ってくるものが多い。
一応、この手押し車は村の幼馴染の魔法を使える少年に音があまりしないような魔法をかけてもらっているが、とても音を立てていないようには思えなかった。
が、その心配とは他所に、彼女は入り口付近まで戻ってくることができた。
「はぁ……はぁ……アイツには感謝しないとね……」
少し息を乱しながら少女は少しはにかんで、最後の一息と回し車を押そうとすると、後ろから何か足跡のようなものが聞こえ振り返ると、そこには耳が大きく発達したゴブリンがいた。
「キャー!!!」
少女はピッケルで撃退しようとしたが、気がつくのが遅れて、ゴブリンが持っていた棍棒で気絶させられた。
少女は膝から崩れ落ち、薄れ行く意識の中、だれか助けを呼び呟いた。
「助けて………」
しかし、その声は届くはずがなかった。
街からは遠く離れ、たった一人でここまで来てしまったツケがここに来て回ってきてしまったのである。
そう、本来ならば。
しかし、先ほどの悲鳴に気づいた助けに来る救援者達は事態の緊急性にあまり気づいていなかった。
そして、そんな不幸な少女はズルズルとゴブリンに引きずられて洞窟の奥に連れ去られてしまった。
「あっれー?ここら辺じゃない?」
「そやな~、うーむ?」
「にーちゃん、気のせーやったんちゃうー?」
「やったらええねんけどなぁ……ん?これは?」
「良くないわ!無駄しただけやん!」
「もしかしておばけやったりしてな……ん?」
「な、なんよ?脅してるつもり?騙されへんからな?」
「ちゃうわボケ、あそこ……」
馬鹿なやり取りをしている、緊張感のカケラもない兄弟の兄は山に空いている穴に気がついた。
「あれ坑道じゃね?」
「なんなん?坑道て?」
「ほんまアホやなぁ、鉄とか銅とか金属類を山から掘り出す時に掘った穴のことだぞ」
「へぇ~、じゃあトロッコ走ってる?」
「かもなぁ」
「乗りたい!にーちゃん!作ってや!」
「何もないところから、なんか作れるわけないやろ!神様じゃあるまいし……」
そう言いながら兄弟は、その穴に歩いて近づいて行った。
「あっれれぇ?おかしいなぁ……」
「お前がやれば、体は子供、頭脳も子供だろ」
「つまんな、で、これなんやと思う?にーちゃん?」
弟は穴の出口の手前で転がっている手押し車と石ころを指差していた。
「うーん……見た感じ、だれか使ってそうにない坑道だけど……見た目の割には使い込んでる形跡があるし……む」
兄は周りをグルグルと回りながら、手押し車の周りを調べていると、なにかを引きずった跡があった。
そして、
「……お前、へでもこいたか?」
「あっ、バレたー?……ってそんなわけないやろ、にーちゃんがこいてんやろ?」
「くっそ、バレたかーってんなわけないわ、獣くさない?」
周りにただよう、何日か体を洗っていない人間の匂いというか……。
そんな匂いが周りにただよっていた。
「とりあえず、この引きずった跡に続いて奥に行こか」
「ドラゴンでも出てきたら俺は逃げるからな?にーちゃん」
「………」
兄は無言ですでに歩き出していた。
「ちょっ!にーちゃん!無視すんなや!」
「じゃかましぃわ!」
少女は気がつくと、裸で腕を鎖で繋がれていた。
恥辱で顔を赤らめ、貞操の無事を確認した。
そして、周りの状況に気がつくと、顔を真っ青にさせた。
周りは同じように鎖に繋がれ、裸で虚ろな目をして腹を膨らませているさまざまな種族の女がいた。
すると、入り口からゴブリンの群れが入ってきて、その中から一際大きく、年季の入った顔をしたゴブリンが自分に近づいてきて、顔を掴んだ。
「~~~~~~~~~~!」
何を言っているのか分からなかったが、少女は恐らく自分も周りと同じようになるのだと確信した。
そして、理解してしまったが故に、恐怖した。
これから自分はどれくらいの間、こうなるのだろうと。
自分は壊れてしまうのだろうかと。
誰からも忘れられてしまうのだろうかと。
自分の生きた意味は……ただ、魔物の苗床になる為だったのだろうかと。
そして、自分の顔を掴んでいたゴブリンは、少女の顔を舐めて犯そうとした時、声がした。
「残念ながらこれは、そー言う話じゃない……と思う!」
ピタリとゴブリン達の動きが止まり、入り口の方を振り返った。
そこには誰もいなかった、が、声が聞こえた。
「なぁ馬鹿なん!?アホなん!?なぁ!」
「いや、ごめん、流石にノリで行こうと思ったけどあかんか」
「………あれ渡して」
「へい」
向こうでカチャリと音がした。
「にーちゃんガノッてな、おれスネクるから」
「オッケー……じゃあマイティーエックスのアレ分かる?」
「ノーコン?」
「そうそう、声合わせてな」
「オッケー、じゃあ…」
「「ノーコンテニューでクリアしてやるぜ!」」
と、もはや一人の声しか聞こえないレベルで一人が叫びこちらに向かって突撃してきた。
「にーちゃん声デカすぎ!」
「まずは俺から!」
兄は拳を振り回し、ゴブリンどもの頭をカチ割った。
血飛沫が上がり、兄の顔を軽く血で染めた。
「クリティカルクルセド!」
弟は一瞬遅れて飛び出してきて、少し大きめのゴブリン達の腹に鋭い回し蹴りをかました。
それを食らったゴブリン達は上下が離れ、地面に転がった。
それを見た年季の入ったゴブリンが、ナイフを少女の首元に突きつけた。
「~~~~!」
パァン!
と、何かが爆発したような音が聞こえ、ゴブリンが持っていたナイフが宙にまった。
先から煙が出る銃を弟はフッと一息ふいた。
「ゴー、にーちゃん」
「それじゃあ!チャーオー!」
兄は年季の入ったゴブリンの下まで走り込み、回し蹴りをゴブリンに放った。
ゴキュゴキュッ!
と、凄まじい音がしてゴブリンは壁に肉片となって叩きつけられた。
「アディオスアミーゴ」
「永遠に……アデュー」
二人は決まったと、腕を交わした。
そして、周りの様子に気がついて少し飛び跳ねた。
「うっわ!何これ!?ひっど!」
「さやなぁ……って!とっちー!少しは気を使いなはれ!」
「でも、にーちゃん……もう、多分この人たち俺たちの声聞こえてへんで?」
「………はぁ……何でこんな世界に来たかなぁ……」
そう言って兄は頭をバリバリとかいた。
「まぁ、こー言う世界ですってわかっただけでもしゅーかくちゃう?」
「そー思うことにしよか……で、この人達どーする?」
自分の目の前で行われているやり取りを、少女は呆然としながら見ていた。
兄はその目線に気がついたのか、少し赤面して少女の方を見た。
「あの……どうしましょうか?死にたいですか?」
「えっ?いやっ!違います!」
「無理しないでください……僕達がもっと早く来ていたら……そのお腹にアイツらの……取り出すことも可能ですが……」
「えっ?何か入ってるの!?」
「えっ?」
「えっ?」
「「「えっ?」」」
じき始まる祭りのための材料を探しに彼女は、歩いていた。
煤けた作業服で皮厚の手袋をして、ピッケルを肩に担ぎながらほおなどを炭で少し黒くしている彼女は一人あるレアメタルを探していた。
かなり坑道の奥深くに入った時、彼女はそれを見つけた。
「……あっ」
少女は目当てのものが見つかると、それに駆け寄った。
「あった……やった~!!」
一人、声をあまり上げないように喜びに打ち震えた彼女は、いそいそとピッケルをそれに打ち付けた。
カァーン、カァーン
と、坑道内にリズムよく音が響き渡った。
「ふぅ、大量大量!」
満足した彼女は手押し車に、ここでしか取れないレアメタルを積むと、ガラガラとそれを押した。
「早くでないと……」
彼女は大変なのはここからだと、気持ちを引き締めた。
この坑道内ではモンスターが巡回しており、暗闇の中で異様に発達した聴覚を頼りに、音を立てると近寄ってくるものが多い。
一応、この手押し車は村の幼馴染の魔法を使える少年に音があまりしないような魔法をかけてもらっているが、とても音を立てていないようには思えなかった。
が、その心配とは他所に、彼女は入り口付近まで戻ってくることができた。
「はぁ……はぁ……アイツには感謝しないとね……」
少し息を乱しながら少女は少しはにかんで、最後の一息と回し車を押そうとすると、後ろから何か足跡のようなものが聞こえ振り返ると、そこには耳が大きく発達したゴブリンがいた。
「キャー!!!」
少女はピッケルで撃退しようとしたが、気がつくのが遅れて、ゴブリンが持っていた棍棒で気絶させられた。
少女は膝から崩れ落ち、薄れ行く意識の中、だれか助けを呼び呟いた。
「助けて………」
しかし、その声は届くはずがなかった。
街からは遠く離れ、たった一人でここまで来てしまったツケがここに来て回ってきてしまったのである。
そう、本来ならば。
しかし、先ほどの悲鳴に気づいた助けに来る救援者達は事態の緊急性にあまり気づいていなかった。
そして、そんな不幸な少女はズルズルとゴブリンに引きずられて洞窟の奥に連れ去られてしまった。
「あっれー?ここら辺じゃない?」
「そやな~、うーむ?」
「にーちゃん、気のせーやったんちゃうー?」
「やったらええねんけどなぁ……ん?これは?」
「良くないわ!無駄しただけやん!」
「もしかしておばけやったりしてな……ん?」
「な、なんよ?脅してるつもり?騙されへんからな?」
「ちゃうわボケ、あそこ……」
馬鹿なやり取りをしている、緊張感のカケラもない兄弟の兄は山に空いている穴に気がついた。
「あれ坑道じゃね?」
「なんなん?坑道て?」
「ほんまアホやなぁ、鉄とか銅とか金属類を山から掘り出す時に掘った穴のことだぞ」
「へぇ~、じゃあトロッコ走ってる?」
「かもなぁ」
「乗りたい!にーちゃん!作ってや!」
「何もないところから、なんか作れるわけないやろ!神様じゃあるまいし……」
そう言いながら兄弟は、その穴に歩いて近づいて行った。
「あっれれぇ?おかしいなぁ……」
「お前がやれば、体は子供、頭脳も子供だろ」
「つまんな、で、これなんやと思う?にーちゃん?」
弟は穴の出口の手前で転がっている手押し車と石ころを指差していた。
「うーん……見た感じ、だれか使ってそうにない坑道だけど……見た目の割には使い込んでる形跡があるし……む」
兄は周りをグルグルと回りながら、手押し車の周りを調べていると、なにかを引きずった跡があった。
そして、
「……お前、へでもこいたか?」
「あっ、バレたー?……ってそんなわけないやろ、にーちゃんがこいてんやろ?」
「くっそ、バレたかーってんなわけないわ、獣くさない?」
周りにただよう、何日か体を洗っていない人間の匂いというか……。
そんな匂いが周りにただよっていた。
「とりあえず、この引きずった跡に続いて奥に行こか」
「ドラゴンでも出てきたら俺は逃げるからな?にーちゃん」
「………」
兄は無言ですでに歩き出していた。
「ちょっ!にーちゃん!無視すんなや!」
「じゃかましぃわ!」
少女は気がつくと、裸で腕を鎖で繋がれていた。
恥辱で顔を赤らめ、貞操の無事を確認した。
そして、周りの状況に気がつくと、顔を真っ青にさせた。
周りは同じように鎖に繋がれ、裸で虚ろな目をして腹を膨らませているさまざまな種族の女がいた。
すると、入り口からゴブリンの群れが入ってきて、その中から一際大きく、年季の入った顔をしたゴブリンが自分に近づいてきて、顔を掴んだ。
「~~~~~~~~~~!」
何を言っているのか分からなかったが、少女は恐らく自分も周りと同じようになるのだと確信した。
そして、理解してしまったが故に、恐怖した。
これから自分はどれくらいの間、こうなるのだろうと。
自分は壊れてしまうのだろうかと。
誰からも忘れられてしまうのだろうかと。
自分の生きた意味は……ただ、魔物の苗床になる為だったのだろうかと。
そして、自分の顔を掴んでいたゴブリンは、少女の顔を舐めて犯そうとした時、声がした。
「残念ながらこれは、そー言う話じゃない……と思う!」
ピタリとゴブリン達の動きが止まり、入り口の方を振り返った。
そこには誰もいなかった、が、声が聞こえた。
「なぁ馬鹿なん!?アホなん!?なぁ!」
「いや、ごめん、流石にノリで行こうと思ったけどあかんか」
「………あれ渡して」
「へい」
向こうでカチャリと音がした。
「にーちゃんガノッてな、おれスネクるから」
「オッケー……じゃあマイティーエックスのアレ分かる?」
「ノーコン?」
「そうそう、声合わせてな」
「オッケー、じゃあ…」
「「ノーコンテニューでクリアしてやるぜ!」」
と、もはや一人の声しか聞こえないレベルで一人が叫びこちらに向かって突撃してきた。
「にーちゃん声デカすぎ!」
「まずは俺から!」
兄は拳を振り回し、ゴブリンどもの頭をカチ割った。
血飛沫が上がり、兄の顔を軽く血で染めた。
「クリティカルクルセド!」
弟は一瞬遅れて飛び出してきて、少し大きめのゴブリン達の腹に鋭い回し蹴りをかました。
それを食らったゴブリン達は上下が離れ、地面に転がった。
それを見た年季の入ったゴブリンが、ナイフを少女の首元に突きつけた。
「~~~~!」
パァン!
と、何かが爆発したような音が聞こえ、ゴブリンが持っていたナイフが宙にまった。
先から煙が出る銃を弟はフッと一息ふいた。
「ゴー、にーちゃん」
「それじゃあ!チャーオー!」
兄は年季の入ったゴブリンの下まで走り込み、回し蹴りをゴブリンに放った。
ゴキュゴキュッ!
と、凄まじい音がしてゴブリンは壁に肉片となって叩きつけられた。
「アディオスアミーゴ」
「永遠に……アデュー」
二人は決まったと、腕を交わした。
そして、周りの様子に気がついて少し飛び跳ねた。
「うっわ!何これ!?ひっど!」
「さやなぁ……って!とっちー!少しは気を使いなはれ!」
「でも、にーちゃん……もう、多分この人たち俺たちの声聞こえてへんで?」
「………はぁ……何でこんな世界に来たかなぁ……」
そう言って兄は頭をバリバリとかいた。
「まぁ、こー言う世界ですってわかっただけでもしゅーかくちゃう?」
「そー思うことにしよか……で、この人達どーする?」
自分の目の前で行われているやり取りを、少女は呆然としながら見ていた。
兄はその目線に気がついたのか、少し赤面して少女の方を見た。
「あの……どうしましょうか?死にたいですか?」
「えっ?いやっ!違います!」
「無理しないでください……僕達がもっと早く来ていたら……そのお腹にアイツらの……取り出すことも可能ですが……」
「えっ?何か入ってるの!?」
「えっ?」
「えっ?」
「「「えっ?」」」
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