35 / 70
向かうは世界の果て
優しさ
しおりを挟む
「さて?もう話してくれてもええんちゃう?」
「……」
「まぁだだんまりのつもり?」
「………」
「話さへんねんな?」
女はじっと瞳を閉じたまま動かなかった。
「ええやろ、じゃあ無理やりにでも口開かせたるわ」
そう言って与一は腰掛けていたベッドから立ち上がると、自分に一つつけていたものと同じ箱をもう一つ起動すると、そこに小さな機械を作った。
「じゃあ行くで……」
すると、女はゆっくりと目を開けて目の前にある機械を見ようとして……。
「えっ……?」
一方その頃娯楽車では、リーシャ達がテレビの前でコントローラーを手に持って騒いでいた。
「ちょっ!せこいわよ!アイテム取るなんて!」
「アイテムありきのゲームで何言うとんねん!」
「む、ビート、お主なかなかやるではないか」
「な、な、な……」
「みんな上手いなー」
「グゲグゲ」
「あーっ!落ちたー!」
と、某レースゲームで楽しそうに騒いでいた。
すると、列車を跨いで聞こえるほどの絶叫が聞こえた。
『…………ギャーーーーーーーー………』
「いや、ギャーて……」
俊明は呆れつつも、コントローラーを置いた。
「ちょっと見にいってくるわ」
『…………』
すると全員無言で立ち上がると、フォールは俊明にジェスチャーで、
『ゴーゴー』
と、合図を出した。
「はぁ……………」
俊明は深々とため息をつくと、あまり物音を立てないように娯楽車から出て寝台車の与一の部屋に向かった。
『………』
全員忍足でゆっくりと与一はの部屋の前までくると、透視の魔法がロキのお陰で効かない扉になっていたので、音を立てないようにゆっくりと扉を少し開けて中を覗き込んだ。
「いやっ………うぅっ……んっ………あっ……」
「さっきまであんな叫んでたのに流石に慣れたかなぁ?」
そこでは与一が女の足元で何かを行なっていた。
何をやっているかは与一の体でよく見えなかった。
「………!」
「…………」
「…………」
ジェスチャーだけでやり取りをしながら何かを話すビートとワールドだったが、服が擦れて少し音が出ていたが、与一は女の喘ぎ声もどきの……喘ぎ声によってあまり外の音は聞こえていないようだった。
「……じゃあちょっとグレードアップしよっか」
「……!!!!!!!うっ………ん!!!!」
艶やかに体を捩る女に女でさえも顔を赤らめる中、ついにワールドが辛抱たまらんと言ったように部屋の中に飛び込んだ。
「貴様!独り占めなど羨まけしから………何だそれは?」
と言ったところでワールドは女の足元にある装置を覗き込んだ。
「うぉっ!?ワールド!?なんやなんや!?なんかあった………あー」
与一は何かを察したように苦笑いしながら頭を掻くと、ポツリとつぶやいた。
「これなぁ、くすぐり機やねん」
「くすぐり………機?」
「そ、お前足出してみ?」
「こうか?」
与一は残った全部の箱を起動して椅子と機械をいくつか作ると、ワールドを椅子に座らせた。
「んだら、まずはレベル1な」
そう言って与一はワールドの足に機械を固定すると機械のつまみを少し回した。
「………何だ、何もないでは!?」
すると突然ワールドは最後まで言う事なく椅子から転げ落ちてもんどりを打った。
「う……おぉ…………何だこれは!?」
ワールドは装置から足を抜くと、サスサスと自分の足をさすった。
「お前らも、やりたいねやったら貸したるから、もうちょっと待っとき」
そう言って与一は幾つか機械をワールドに持たせて、部屋から出した。
「何あったん?ワールド?」
「いや、何であろうな……足を羽でくすぐられたかと思えば、舐められたかと思えば、指圧されたかと思ったのだ」
「どーゆー事?」
「やってみろ」
そうやってワールドは俊明に同じ様に機械をつけると、つまみを回した。
「………うひゃっほい!」
俊明も突然発作の様に体を跳ねて地面を転がり回った。
「なにそれ!やりたいやりたい!」
「ほれ、与一が幾つか作ってくれとる」
そう言ってワールドはユウラビ達に機械を渡した。
「あんまり回しすぎると偉いことになるぞ」
「フッ、所詮ワールド貴様のことだ、突然のことでオーバーリアクションしただけでなのであろう?」
そう言ってリーシャに手伝ってもらいながら機械をつけたフォールは一気につまみを回した。
「………ほれみろ、何もない……あぁん!」
「はぁ、言ったではないか」
確実にアウトな声を出して激しく転がり回るフォールをワールドは呆れた表情で見ていた。
「はぁっ!あん!とっとと!ん!止めないか!」
「もー、しょーがないなー……」
そう言うとユウラビは自分より体の大きなフォールを押さえつけると、足の機械のつまみを元の位置に戻した。
「はぁ……はぁ………け、結局奴はむっつりなわけではないか!こんなもの作るとは!」
「どこのだろうね?ワールドの忠告無視していきなりフルパワーでやったのは?」
ユウラビの冷めた声でフォールは落ち着きを取り戻したのか、一度咳払いをした。
「と、ともかく、奴がやっているのは残虐な事ではないが、羞恥を伴うものだ、それなら普通に牢に入れてやった方がマシと言うものだ、話をつけて………」
と、フォールはそこで固まった。
「と思っていたが、わたしにはそんな事口にする権利は無かったな………」
と、溜息をついて踵を返した。
「みな、戻るとしよう、決着がまだついておらんからな?」
『………』
全員顔を見合わせると、やれやれと首を振ってフォールの後について行った。
「…………騒がしい奴らやなぁ……」
与一はそう言ってドアの向こうが静かになったのを聞き取ると、改めて女の方を見た。
「……とっさに隠してしもたけど、何これ?」
与一は機械を外してあらわになった女の痛々しい傷跡の残る足を見た。
「火傷後に切り傷まで……こんなところに普通つくもんじゃない、しかも文字の様に斬られてるし、焼かれてる……何でや?」
「…………」
「だんまりやったら分からへんねやって……なぁ、いくつか言わせてもらうで?」
そう言うと、与一は左手でバリバリと頭を掻いた。
「まず、黙っててもお前にも誰にも得はないで、んで、お前らの仲間に関してはあんまり聞かん、これは約束する、それに関しては答えんでもええし、聞いてないフリしてくれてもええ」
そう言って与一は椅子に縛っていた女の手と足を解いた。
「ただ、普通に心配なるからお前のから……体調に関してはちゃんと答えてくれ、さっきまで敵やったとしても助けた後に死なれたら後味悪すぎて気持ち悪いからなぁ」
そう言って与一はベッドの上に座った。
「………これは治るの?」
「……やっとかい……」
与一は少し嬉しそうにそう言って溜息をついた。
「治るの?」
「多分……」
「いやそこは男の子としてちゃんと治るって言ってあげようよ」
「「うわっ!!」」
与一と女は突然現れた白髪の美人もといシルヴィに驚飛び上がった。
「あ、ごめんよ、またやっちゃった……ついついいじらしくなっちゃって……」
テヘペロと舌を出してふざけるシルヴィに女は戸惑っていた。
「あー……この人はシルヴィさん、この列車の持ち主のロキの上の人」
「フツーに友達でよくない?」
「友達は大事なお話中に空気読まずに突っ込んでいきませんよ」
「ありゃ?ロキもきたの?」
シルヴィがふざけていると、部屋の扉が開いてロキがツカツカと入ってきた。
「ヨイチ、この邪魔女は私が連れて行っとくから、後は頼んだ」
「邪魔女って……君またずいぶんと遠慮がなくなったね……」
「つけ上がらせたら大変って言うのは、もう分かったんでね」
「ふ、ふーん………」
シルヴィは額から妙な汗を流しながらロキに手を引っ張られて部屋から出て行った。
「……なんかごめんな?」
「い、いや、別に良いよ」
女と与一は妙な空気になってしまって少し気まずそうにしていた。
「お、俺の名前はフジワラ ヨイチだ、お、おまえ、は?」
「わ、私はアスター、アスター・リナ……」
「………」
「………」
どうやらこの二人コミュ障らしい。
「あ、そ、そうや、傷……」
「あっ……」
そう言うと、ヨイチはアスターの前に跪き足の傷を見た。
「………もしかして……」
「ダメ……それ以上はやめて」
ヨイチははっきりとした拒絶に頷くと、それ以上は何も言わなかった。
「とりあえず足の傷が治るかやな……」
ヨイチはしばらく頭を捻っていたが、唐突に後ろから声をかけられた。
「そうそう、ボクがここに来たのも……」
「うぉっ!?」
「ひゃっ!?」
「……ボクって影が薄いのかな?今回はちゃんとドアから入ったよ?」
「ちょっと!シルヴィさん!全く、何してんすか」
「ロキちょっとまっててね」
「あちょっ!」
シルヴィはロキの静止を振り切って、アスターの前にやってきた。
「……おや……これは……うん、任せて」
そう言ってシルヴィはアスターに手をかざすと、手から波紋の様なものを出した。
「………あれ?」
しかし、シルヴィのその行為はアスターに何も起こさなかった。
「……強力な呪いか……それかもしくは……」
と、シルヴィは頭を抱えていたが、その間にヨイチはある機械を作っていた。
「アスター、これにちょっと足入れてみて」
「………大丈夫、なんかあったらこれで俺のこと滅多斬りにしてもええ」
そう言って与一はアスターに彼女が持っていた短剣を投げ渡した。
「えっ?えっ?」
「ええから」
アスターは訳がわからないと言う顔をしていたが、結局与一の言う通りに機械の中に腰ぐらいまで突っ込んだ。
「………ん………」
機械の上で座る様にを足につけたアスターは、少しピクンとしながら目を瞑って待った。
しばらくすると、機会が停止した音が鳴って、アスターは恐る恐る機械から足を引き抜いた。
「……あっ」
アスターの足はまるで生まれたばかりの様に白く綺麗な足になっていた。
「………」
アスターは驚愕に目を見開いたまま着ていたスカートを目の前に与一がいるにも関わらず一気にまくり上げた。その瞬間与一は他所の方を向いてポケットからスマホを取り出して時間を見たり色々とし始めた。
そしてアスターはその場に座り込んで下着が見えるのも関わらずに太ももをみて指でなぞりそして、愛おしそうに手で撫でて自分の足を抱き込む様に座り込んだ。
「あぁ……」
「……ボク達はもうこれ以上は邪魔みたいだね……」
そう言ってシルヴィは与一にこっそりと耳打ちしてウインクするとルンルンと部屋から音を立てずに出て行った。
「……はぁ」
そして、その後をロキが追う様に溜息をついて出て行った。
出ていく間際にロキは与一に一瞬目を向けた。
その目はまるで、
「(シルヴィさんができなかったことをどうやったかは知らんが)よくやった」
と、言わんばかりだった。
「……」
与一は無言で頭を掻いて息を吐いて、暫く待つことにした。
………しばらくすると、与一の背後から布が擦れる音がした。
「あの……有難う」
と、与一に声を掛けた。
「ん、どーいたしまして」
「……もうこっちを向いていただいて大丈夫ですよ」
「ん」
与一は振り向いて自分より身長の低いアスターを少し見下ろす形で、
「大丈夫か?」
と、言った。
「うん、大丈夫だよ」
「そっか……で、これからどうすんのお前」
「どう……か」
アスターは胸に手を当てて考えると与一の方を見た。
「どうかお願い、あの二人を……あの二人を助けて」
と、与一に一歩詰め寄ってそう言った。
「助けてって何から?」
「……私達三人は元々同じ村に住んでたんだ、この髪が特徴の村なんだけどね、私達の村の人の多くは美人になることが多かったんだ、だから……」
「奴隷商人に襲われた……ん?」
「うん……私達三人は何とか逃げ切れたんだけど二人は心に深い傷を負ってしまって、それの捌け口として私に暴力を振るう様になっの」
「んで、あの足なぁ」
「そう、足だけじゃないよ、ほら」
そう言ってアスターは服を少しまくって背中とお腹の方を見せた。
「……辛かった……でも、二人が私を傷つける時の目に涙を浮かべていたときはもっと辛かったよ」
「逃げたら良かったんやないんか?いや、デリカシーなかっな……」
「ううん、いいよ……一回ね、あんまりにも辛くて逃げたんだけど……1日二人から離れてね、ちょっと様子が気になって怖かったのは確かなんだけど、見に行ったんだ……そしたら……二人は………」
「…………」
「二人は私が逃げたことを知って泣いて、二人でその責任のなすりつけ合いをして、殺し合っていたんんだ……」
「オゥ……」
「……私が間に入って止めたんだけど、そのとき二人は泣いて私の事抱きしめてくれたんだけど、またすぐに………」
「………」
「だからお願い、何をやってもいいから私を好きにしていいから!お願い……あの二人を助けて……友達なの……」
目の前ですがりつく様に崩れるアスターをみて、与一はどうしていいのかわからなかったが、与一もアスターと同じ目線になる様にしゃがみ込むとアスターに告げた。
「卑怯なこと言うけど、絶対は約束できんで?」
「……うん……うん!」
「じゃあ、まずはロキに許可を取って、そこからや」
「うん……そうだよね……ごほっ!ごほっ!」
すると、突然アスターは咳き込んで膝をついた。
「お、おい!大丈夫……やなさそうやな」
与一はアスターを自分のベッドに寝かせると、水と薬をとりに貯蔵車に向かった。
「あ、ロキ」
「なんだ?」
「アスターがちょっとやばそうやから……」
「アスター……ああ、あの女か、あの女がどうした?」
「アスターが今日に咳き込み始めてしんどそうやから今水と薬取りに行ってんなやけど一応みてくれん?」
「……おまえ、もしかしてまた面倒ごとに首突っ込む気か?」
「あ、いや、それはー、アレやな……」
「はぁ……もう好きにしろ、どうせ止めたって行っちまうんだろ?」
「まぁ……」
「説教は後にしてやる、私は先に様子を見てくるから薬と水を持ってこい、あとできれば湯を沸かしてこい」
「ウィ」
「全く……」
ロキはしょうがなさそうに首を振るも、どこか誇らしそうに笑った。
「ロキ?」
「はよ行けバカ」
シッシと手を動かすと、ロキはヨイチの部屋のベッドで咳き込むアスターを見つめた。
「……演技か?」
「ゴホッゴホッ………」
「……よくもまぁ、ぬけぬけと人を騙せたもんだ」
「ゴホッ……」
「アイツが優しいのを良いことに、お前はあの二人を止めることを頼んだんだ」
「ゴホッ………ゴホッゴホッ……」
「アイツなら必ず自分を心配して助けてくれると思ったんだ……だからぬけぬけと『私をどうしても良い』なんて言葉が出るんだ、アイツは優しいから絶対にお前に手を出さないからな」
「お前はそれを見抜いてなお、その傲慢な態度で会ったばかりのアイツにそんな事が言えたんだ……お前は……」
「分かってます……ゴホッ!」
「………」
「分かってるよ……私がどれだけ人として最低なことをしているのか……ゴホッゴホッ」
「………」
「あの人は、私の足を治すときに『信じろ』と私にこれを渡したの………ゲホッ……」
アスターの手にはいつの間にか与一が返した短剣が握り締められていた。
「ゴホッゴホッ………そして彼はその言葉通り、私の足を治してくれたの……私は彼と会ってほんの少しの時間しか一緒に過ごしてないし、まだどんな人なのか私もよくわからないの……ゴホッ!」
「……………………」
「でもそれは彼も同じ……見ず知らずの私の身を案じ、助けようと行動してくれている……なら私はそれに応えたいの……!だからお願い……神様!」
「!!」
「私の願いをどうか叶えて………ゲッホゴッホ!!」
そう言うとアスターはさらに激しく咳き込み出した。
「………お前のことはまだ信じられない、騙していると公言しているのなら尚更な……だけど、私もあのアホに当てられたみたいだな……根拠はないがその言葉信じよう……ただし、それを破ったときは死ぬよりも恐ろしいことが起こると思え……」
「有難う……ございます……神様……ゴホッ!!!」
「わかった、今はゆっくり寝ろ」
そう言ってロキはまさしく女神の如き微笑みを浮かべると、魔法でアスターのことを眠らせ、眠ったアスターに毛布をかぶせ布団をかけ、そして、アスターの寝顔を見ながらその頭をよしよしと撫でた。
「ロキ、お待たせ」
「やっぱり早かったか」
「あ?」
「なんでもねぇよ、早くそいつらを渡せ」
「???」
訳知らぬ与一は頭に?マークを浮かべて首を捻った。
「……お前はそうやって痩せていれば、顔もそこそこに性格もいいからモテるんだがなぁ……」
「なんて?」
「何にもねぇよ、お前には関係のない話だ」
「あっそぉ……」
ロキはどこかおかしそうな顔で与一に笑いかけるのだった。
「……」
「まぁだだんまりのつもり?」
「………」
「話さへんねんな?」
女はじっと瞳を閉じたまま動かなかった。
「ええやろ、じゃあ無理やりにでも口開かせたるわ」
そう言って与一は腰掛けていたベッドから立ち上がると、自分に一つつけていたものと同じ箱をもう一つ起動すると、そこに小さな機械を作った。
「じゃあ行くで……」
すると、女はゆっくりと目を開けて目の前にある機械を見ようとして……。
「えっ……?」
一方その頃娯楽車では、リーシャ達がテレビの前でコントローラーを手に持って騒いでいた。
「ちょっ!せこいわよ!アイテム取るなんて!」
「アイテムありきのゲームで何言うとんねん!」
「む、ビート、お主なかなかやるではないか」
「な、な、な……」
「みんな上手いなー」
「グゲグゲ」
「あーっ!落ちたー!」
と、某レースゲームで楽しそうに騒いでいた。
すると、列車を跨いで聞こえるほどの絶叫が聞こえた。
『…………ギャーーーーーーーー………』
「いや、ギャーて……」
俊明は呆れつつも、コントローラーを置いた。
「ちょっと見にいってくるわ」
『…………』
すると全員無言で立ち上がると、フォールは俊明にジェスチャーで、
『ゴーゴー』
と、合図を出した。
「はぁ……………」
俊明は深々とため息をつくと、あまり物音を立てないように娯楽車から出て寝台車の与一の部屋に向かった。
『………』
全員忍足でゆっくりと与一はの部屋の前までくると、透視の魔法がロキのお陰で効かない扉になっていたので、音を立てないようにゆっくりと扉を少し開けて中を覗き込んだ。
「いやっ………うぅっ……んっ………あっ……」
「さっきまであんな叫んでたのに流石に慣れたかなぁ?」
そこでは与一が女の足元で何かを行なっていた。
何をやっているかは与一の体でよく見えなかった。
「………!」
「…………」
「…………」
ジェスチャーだけでやり取りをしながら何かを話すビートとワールドだったが、服が擦れて少し音が出ていたが、与一は女の喘ぎ声もどきの……喘ぎ声によってあまり外の音は聞こえていないようだった。
「……じゃあちょっとグレードアップしよっか」
「……!!!!!!!うっ………ん!!!!」
艶やかに体を捩る女に女でさえも顔を赤らめる中、ついにワールドが辛抱たまらんと言ったように部屋の中に飛び込んだ。
「貴様!独り占めなど羨まけしから………何だそれは?」
と言ったところでワールドは女の足元にある装置を覗き込んだ。
「うぉっ!?ワールド!?なんやなんや!?なんかあった………あー」
与一は何かを察したように苦笑いしながら頭を掻くと、ポツリとつぶやいた。
「これなぁ、くすぐり機やねん」
「くすぐり………機?」
「そ、お前足出してみ?」
「こうか?」
与一は残った全部の箱を起動して椅子と機械をいくつか作ると、ワールドを椅子に座らせた。
「んだら、まずはレベル1な」
そう言って与一はワールドの足に機械を固定すると機械のつまみを少し回した。
「………何だ、何もないでは!?」
すると突然ワールドは最後まで言う事なく椅子から転げ落ちてもんどりを打った。
「う……おぉ…………何だこれは!?」
ワールドは装置から足を抜くと、サスサスと自分の足をさすった。
「お前らも、やりたいねやったら貸したるから、もうちょっと待っとき」
そう言って与一は幾つか機械をワールドに持たせて、部屋から出した。
「何あったん?ワールド?」
「いや、何であろうな……足を羽でくすぐられたかと思えば、舐められたかと思えば、指圧されたかと思ったのだ」
「どーゆー事?」
「やってみろ」
そうやってワールドは俊明に同じ様に機械をつけると、つまみを回した。
「………うひゃっほい!」
俊明も突然発作の様に体を跳ねて地面を転がり回った。
「なにそれ!やりたいやりたい!」
「ほれ、与一が幾つか作ってくれとる」
そう言ってワールドはユウラビ達に機械を渡した。
「あんまり回しすぎると偉いことになるぞ」
「フッ、所詮ワールド貴様のことだ、突然のことでオーバーリアクションしただけでなのであろう?」
そう言ってリーシャに手伝ってもらいながら機械をつけたフォールは一気につまみを回した。
「………ほれみろ、何もない……あぁん!」
「はぁ、言ったではないか」
確実にアウトな声を出して激しく転がり回るフォールをワールドは呆れた表情で見ていた。
「はぁっ!あん!とっとと!ん!止めないか!」
「もー、しょーがないなー……」
そう言うとユウラビは自分より体の大きなフォールを押さえつけると、足の機械のつまみを元の位置に戻した。
「はぁ……はぁ………け、結局奴はむっつりなわけではないか!こんなもの作るとは!」
「どこのだろうね?ワールドの忠告無視していきなりフルパワーでやったのは?」
ユウラビの冷めた声でフォールは落ち着きを取り戻したのか、一度咳払いをした。
「と、ともかく、奴がやっているのは残虐な事ではないが、羞恥を伴うものだ、それなら普通に牢に入れてやった方がマシと言うものだ、話をつけて………」
と、フォールはそこで固まった。
「と思っていたが、わたしにはそんな事口にする権利は無かったな………」
と、溜息をついて踵を返した。
「みな、戻るとしよう、決着がまだついておらんからな?」
『………』
全員顔を見合わせると、やれやれと首を振ってフォールの後について行った。
「…………騒がしい奴らやなぁ……」
与一はそう言ってドアの向こうが静かになったのを聞き取ると、改めて女の方を見た。
「……とっさに隠してしもたけど、何これ?」
与一は機械を外してあらわになった女の痛々しい傷跡の残る足を見た。
「火傷後に切り傷まで……こんなところに普通つくもんじゃない、しかも文字の様に斬られてるし、焼かれてる……何でや?」
「…………」
「だんまりやったら分からへんねやって……なぁ、いくつか言わせてもらうで?」
そう言うと、与一は左手でバリバリと頭を掻いた。
「まず、黙っててもお前にも誰にも得はないで、んで、お前らの仲間に関してはあんまり聞かん、これは約束する、それに関しては答えんでもええし、聞いてないフリしてくれてもええ」
そう言って与一は椅子に縛っていた女の手と足を解いた。
「ただ、普通に心配なるからお前のから……体調に関してはちゃんと答えてくれ、さっきまで敵やったとしても助けた後に死なれたら後味悪すぎて気持ち悪いからなぁ」
そう言って与一はベッドの上に座った。
「………これは治るの?」
「……やっとかい……」
与一は少し嬉しそうにそう言って溜息をついた。
「治るの?」
「多分……」
「いやそこは男の子としてちゃんと治るって言ってあげようよ」
「「うわっ!!」」
与一と女は突然現れた白髪の美人もといシルヴィに驚飛び上がった。
「あ、ごめんよ、またやっちゃった……ついついいじらしくなっちゃって……」
テヘペロと舌を出してふざけるシルヴィに女は戸惑っていた。
「あー……この人はシルヴィさん、この列車の持ち主のロキの上の人」
「フツーに友達でよくない?」
「友達は大事なお話中に空気読まずに突っ込んでいきませんよ」
「ありゃ?ロキもきたの?」
シルヴィがふざけていると、部屋の扉が開いてロキがツカツカと入ってきた。
「ヨイチ、この邪魔女は私が連れて行っとくから、後は頼んだ」
「邪魔女って……君またずいぶんと遠慮がなくなったね……」
「つけ上がらせたら大変って言うのは、もう分かったんでね」
「ふ、ふーん………」
シルヴィは額から妙な汗を流しながらロキに手を引っ張られて部屋から出て行った。
「……なんかごめんな?」
「い、いや、別に良いよ」
女と与一は妙な空気になってしまって少し気まずそうにしていた。
「お、俺の名前はフジワラ ヨイチだ、お、おまえ、は?」
「わ、私はアスター、アスター・リナ……」
「………」
「………」
どうやらこの二人コミュ障らしい。
「あ、そ、そうや、傷……」
「あっ……」
そう言うと、ヨイチはアスターの前に跪き足の傷を見た。
「………もしかして……」
「ダメ……それ以上はやめて」
ヨイチははっきりとした拒絶に頷くと、それ以上は何も言わなかった。
「とりあえず足の傷が治るかやな……」
ヨイチはしばらく頭を捻っていたが、唐突に後ろから声をかけられた。
「そうそう、ボクがここに来たのも……」
「うぉっ!?」
「ひゃっ!?」
「……ボクって影が薄いのかな?今回はちゃんとドアから入ったよ?」
「ちょっと!シルヴィさん!全く、何してんすか」
「ロキちょっとまっててね」
「あちょっ!」
シルヴィはロキの静止を振り切って、アスターの前にやってきた。
「……おや……これは……うん、任せて」
そう言ってシルヴィはアスターに手をかざすと、手から波紋の様なものを出した。
「………あれ?」
しかし、シルヴィのその行為はアスターに何も起こさなかった。
「……強力な呪いか……それかもしくは……」
と、シルヴィは頭を抱えていたが、その間にヨイチはある機械を作っていた。
「アスター、これにちょっと足入れてみて」
「………大丈夫、なんかあったらこれで俺のこと滅多斬りにしてもええ」
そう言って与一はアスターに彼女が持っていた短剣を投げ渡した。
「えっ?えっ?」
「ええから」
アスターは訳がわからないと言う顔をしていたが、結局与一の言う通りに機械の中に腰ぐらいまで突っ込んだ。
「………ん………」
機械の上で座る様にを足につけたアスターは、少しピクンとしながら目を瞑って待った。
しばらくすると、機会が停止した音が鳴って、アスターは恐る恐る機械から足を引き抜いた。
「……あっ」
アスターの足はまるで生まれたばかりの様に白く綺麗な足になっていた。
「………」
アスターは驚愕に目を見開いたまま着ていたスカートを目の前に与一がいるにも関わらず一気にまくり上げた。その瞬間与一は他所の方を向いてポケットからスマホを取り出して時間を見たり色々とし始めた。
そしてアスターはその場に座り込んで下着が見えるのも関わらずに太ももをみて指でなぞりそして、愛おしそうに手で撫でて自分の足を抱き込む様に座り込んだ。
「あぁ……」
「……ボク達はもうこれ以上は邪魔みたいだね……」
そう言ってシルヴィは与一にこっそりと耳打ちしてウインクするとルンルンと部屋から音を立てずに出て行った。
「……はぁ」
そして、その後をロキが追う様に溜息をついて出て行った。
出ていく間際にロキは与一に一瞬目を向けた。
その目はまるで、
「(シルヴィさんができなかったことをどうやったかは知らんが)よくやった」
と、言わんばかりだった。
「……」
与一は無言で頭を掻いて息を吐いて、暫く待つことにした。
………しばらくすると、与一の背後から布が擦れる音がした。
「あの……有難う」
と、与一に声を掛けた。
「ん、どーいたしまして」
「……もうこっちを向いていただいて大丈夫ですよ」
「ん」
与一は振り向いて自分より身長の低いアスターを少し見下ろす形で、
「大丈夫か?」
と、言った。
「うん、大丈夫だよ」
「そっか……で、これからどうすんのお前」
「どう……か」
アスターは胸に手を当てて考えると与一の方を見た。
「どうかお願い、あの二人を……あの二人を助けて」
と、与一に一歩詰め寄ってそう言った。
「助けてって何から?」
「……私達三人は元々同じ村に住んでたんだ、この髪が特徴の村なんだけどね、私達の村の人の多くは美人になることが多かったんだ、だから……」
「奴隷商人に襲われた……ん?」
「うん……私達三人は何とか逃げ切れたんだけど二人は心に深い傷を負ってしまって、それの捌け口として私に暴力を振るう様になっの」
「んで、あの足なぁ」
「そう、足だけじゃないよ、ほら」
そう言ってアスターは服を少しまくって背中とお腹の方を見せた。
「……辛かった……でも、二人が私を傷つける時の目に涙を浮かべていたときはもっと辛かったよ」
「逃げたら良かったんやないんか?いや、デリカシーなかっな……」
「ううん、いいよ……一回ね、あんまりにも辛くて逃げたんだけど……1日二人から離れてね、ちょっと様子が気になって怖かったのは確かなんだけど、見に行ったんだ……そしたら……二人は………」
「…………」
「二人は私が逃げたことを知って泣いて、二人でその責任のなすりつけ合いをして、殺し合っていたんんだ……」
「オゥ……」
「……私が間に入って止めたんだけど、そのとき二人は泣いて私の事抱きしめてくれたんだけど、またすぐに………」
「………」
「だからお願い、何をやってもいいから私を好きにしていいから!お願い……あの二人を助けて……友達なの……」
目の前ですがりつく様に崩れるアスターをみて、与一はどうしていいのかわからなかったが、与一もアスターと同じ目線になる様にしゃがみ込むとアスターに告げた。
「卑怯なこと言うけど、絶対は約束できんで?」
「……うん……うん!」
「じゃあ、まずはロキに許可を取って、そこからや」
「うん……そうだよね……ごほっ!ごほっ!」
すると、突然アスターは咳き込んで膝をついた。
「お、おい!大丈夫……やなさそうやな」
与一はアスターを自分のベッドに寝かせると、水と薬をとりに貯蔵車に向かった。
「あ、ロキ」
「なんだ?」
「アスターがちょっとやばそうやから……」
「アスター……ああ、あの女か、あの女がどうした?」
「アスターが今日に咳き込み始めてしんどそうやから今水と薬取りに行ってんなやけど一応みてくれん?」
「……おまえ、もしかしてまた面倒ごとに首突っ込む気か?」
「あ、いや、それはー、アレやな……」
「はぁ……もう好きにしろ、どうせ止めたって行っちまうんだろ?」
「まぁ……」
「説教は後にしてやる、私は先に様子を見てくるから薬と水を持ってこい、あとできれば湯を沸かしてこい」
「ウィ」
「全く……」
ロキはしょうがなさそうに首を振るも、どこか誇らしそうに笑った。
「ロキ?」
「はよ行けバカ」
シッシと手を動かすと、ロキはヨイチの部屋のベッドで咳き込むアスターを見つめた。
「……演技か?」
「ゴホッゴホッ………」
「……よくもまぁ、ぬけぬけと人を騙せたもんだ」
「ゴホッ……」
「アイツが優しいのを良いことに、お前はあの二人を止めることを頼んだんだ」
「ゴホッ………ゴホッゴホッ……」
「アイツなら必ず自分を心配して助けてくれると思ったんだ……だからぬけぬけと『私をどうしても良い』なんて言葉が出るんだ、アイツは優しいから絶対にお前に手を出さないからな」
「お前はそれを見抜いてなお、その傲慢な態度で会ったばかりのアイツにそんな事が言えたんだ……お前は……」
「分かってます……ゴホッ!」
「………」
「分かってるよ……私がどれだけ人として最低なことをしているのか……ゴホッゴホッ」
「………」
「あの人は、私の足を治すときに『信じろ』と私にこれを渡したの………ゲホッ……」
アスターの手にはいつの間にか与一が返した短剣が握り締められていた。
「ゴホッゴホッ………そして彼はその言葉通り、私の足を治してくれたの……私は彼と会ってほんの少しの時間しか一緒に過ごしてないし、まだどんな人なのか私もよくわからないの……ゴホッ!」
「……………………」
「でもそれは彼も同じ……見ず知らずの私の身を案じ、助けようと行動してくれている……なら私はそれに応えたいの……!だからお願い……神様!」
「!!」
「私の願いをどうか叶えて………ゲッホゴッホ!!」
そう言うとアスターはさらに激しく咳き込み出した。
「………お前のことはまだ信じられない、騙していると公言しているのなら尚更な……だけど、私もあのアホに当てられたみたいだな……根拠はないがその言葉信じよう……ただし、それを破ったときは死ぬよりも恐ろしいことが起こると思え……」
「有難う……ございます……神様……ゴホッ!!!」
「わかった、今はゆっくり寝ろ」
そう言ってロキはまさしく女神の如き微笑みを浮かべると、魔法でアスターのことを眠らせ、眠ったアスターに毛布をかぶせ布団をかけ、そして、アスターの寝顔を見ながらその頭をよしよしと撫でた。
「ロキ、お待たせ」
「やっぱり早かったか」
「あ?」
「なんでもねぇよ、早くそいつらを渡せ」
「???」
訳知らぬ与一は頭に?マークを浮かべて首を捻った。
「……お前はそうやって痩せていれば、顔もそこそこに性格もいいからモテるんだがなぁ……」
「なんて?」
「何にもねぇよ、お前には関係のない話だ」
「あっそぉ……」
ロキはどこかおかしそうな顔で与一に笑いかけるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる