23 / 1,003
23 女友達
しおりを挟む仲良く手をつないで下校しているのは、二人の女の子。
赤いランドセルを背負っているのがミヨちゃん。性格の良さが災いして、なにかと級友たちからは雑事を押しつけられ、クラスでもお人好しで通っているけど、笑顔のステキな女の子。
そんな彼女の隣にいるのはヒニクちゃん。クラスでも無愛想で通っているのだが、ここぞという時に、あまりにも辛辣な毒を吐くので、級友たちのみならず、先生たちからも密かに恐れられている。でも空気は読めるので、しっかり時と場所をわきまえて発言をしている子。
「そういえば、このまえねえ……」
ミヨちゃんが語ったのは、少し前にあった親戚での集まりの席でのこと。
ヤマダ家では親族のつながりが深い。法事なんかがあれば、ほとんど全員が参加するほど。そのおかげで毎回とっても賑やか。
その席上にてOLをしているお姉さんのところに、やたらと電話やメールがかかってくる。それこそ五分、十分おきぐらいに反応があるものだから、これには幼女もびっくり。
「キャリアウーマンすごい」働く女性イコールそうだと思い込んでいるミヨちゃんが、感心していると、お姉さんが「違うのよ」と苦笑い。
事情を聞いたら、近頃、やたらと女友達やら同僚から誘いを受けるんだとか。以前はそうでもなかったのに、どうしてかしらと自分でも困惑気味。
「おかげでちっとも痩せられない」
ちょっぴりぽっちゃりさんなお姉さんは、そうボヤいて小腹をぷるんと震わせていたという。ちなみにそのお姉さんは、目鼻立ちは整っており、やせたらきっと美人になると言われ続けて久しい。雑誌やテレビで見かけたダイエット法は、とりあえず試しては三日坊主を繰り返している、いまどきのOLさんである。
「こういうのもモテきっていうのかな?」
モテ期。
それはやたらと異性から人気者になれるという時期のこと。誰の人生に必ずあると云われているが……。
なんでかなあと小首をかしげるミヨちゃん。愛らしい仕草にて彼女のキャラメル色のくせっ毛の先がピコンとはねて揺れた。
するとおもむろにヒニクちゃんが口を開く。
「ダイエットの敵……。それは自分自身と女友達」
痩せる宣言をしたとたんに、にじり寄って来る誘惑たち。
女友達の「応援」と書いて「足枷」と読む。
あとモテ期は都市伝説だと思うの。
……なんぞと、コヒニクミコは考えている。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる