ミヨちゃんとヒニクちゃんの、手持ち無沙汰。

905 ちがた

　
『わたしＢ型の末っ子だら、負けず嫌いなんです』

　テレビのとあるバラエティ番組にて、チャレンジ企画があって、そこに参加していた女性タレントが発した言葉。
　自己アピールをしてなんぼの業界なので、とりたてて珍しいことでもない。
　だからそのときは視聴していたミヨちゃんもとくに気にしなかった。
　でも、お風呂に入ってから自分の部屋へと行って、お布団にもぐり込んだところで、ふと思った。

「あれ、血液型とか、関係なくない？」

　血液型占い。
　いまさら細々と説明することもないほどに、メジャーな存在。
　星座占いと双璧を成すというか、たいていセットになって雑誌なんぞで掲載されてある。
　当たる当たらないの是非については語るまい。
　なおこれをやたらとありがたがっているのは我が国だけの文化らしい。

　翌日の下校時。
　いつものごとく仲良しのヒニクちゃんとの帰り道。
　ミヨちゃんが話題にしたのは血液型のこと。

「Ａ型だから几帳面とか、あれってちっともアテにならないよね？　ＢだろうがＯだろうがちゃんとしている人はしているし、ダメな人はダメダメだし」

　血液型占いに関しては、数多ある占いの中でも特に信憑性に欠ける。
　というのは、すでに多くの国民に周知されている。
　にもかかわらず、あいもかわらず大人気。
　そもそも論として、血液型で判別するのがあまりにも大雑把すぎる。
　星座でも、十二か十三とざっくりでむりくりなのに、それをさらに絞るとか、もう……。
　アレは統計学の一環で、との説もあるが「うーん」
　まぁ、それでも雑誌に掲載されてあれば目を通すし、テレビで今日の占いとか放送されたらやっぱり見る。
　あてにならない、信用性に乏しいとわかっていても、それはそれで楽しめるからふしぎ。

「っていうか、血液型占いになぞらえて自己紹介をしている時点で、相当にあざといよね。異性はどうかわからないけど、同性からした『何言ってんの、コイツ』ってならない？」

　愛想がいいのではない。
　露骨に媚びを売っている。
　その態度が妙に鼻に突く。
　というか、末っ子だから○○とか、Ｏ型だから○○とか、どこそこ出身だから○○とかいう画一的なモノの見方や判別の仕方が、当たり前のように身の回りにあふれている現状が、ちょっとどうかしている！

「いっしょにしてくれるな。わたしはわたしだよ。勝手に決めつけんな」

　とミヨちゃんは主張する。
　それを受けておもむろにヒニクちゃんが口を開いた。

「占いは当たらないぐらいがちょうどいい」

　もしも百発百中の占いが存在したら。
　それはたぶんとっても怖いこと。なにせ何でも
　言う通りになるんだも。もはや完全に呪い。ホラーの領域。
　……なんぞと、コヒニクミコは考えている。