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しおりを挟むみんな大好きポテトチップス。
王道の塩味に始まり、不動の人気を誇るコンソメ味、いやいやのり塩を忘れてもらっちゃあ困る。チーズたっぷりのピザ風味も捨てがたい。火を吹くほどの辛さがクセになるピリ辛味だって。サワークリーム味だっていい線いってるぜ。独特の酸味がどうにもあとを引いてやめられない止まらない。チョコレートでコーティングとかもう反則だろうに。
季節限定の商品だけでなく、メーカーの垣根を越えたコラボ商品。
あるいは素材にこだわりぬいた品。
味だけではなく形状にもひと工夫。
ギザギザにしたり、肉厚にスライスしたり、あえて極限まで薄くしてサクサク感を追求したり。
雨後のタケノコのごとく登場しては、消えてゆくポテトチップスたち。
これらの商品開発にかけられる情熱、その熱量たるやすさまじいものがある。
それだけニーズがあるということは、消費者側にも同等かそれ以上のポテトチップス愛があるということ。
どうして人々はこれほどまでにポテトチップスを愛してやまないのか?
どうして人々はこれほどまでにポテトチップスを求めてやまないのか?
どうして人々はこれほどまでにポテトチップスに傾倒するのか?
いまのところ、その問いに対する明確なる答えはない。
いつの日にか、誰かが解明するときが来るのかもしれない。
が、それはとりあえずいったん脇へと置いておいて……。
「袋と筒、はたしてどちらが正解なんだろう」
真剣な面持ちにてスーパーのお菓子売り場でそうつぶやいたのはミヨちゃん。
現在、仲良しのヒニクちゃんとお小遣いを手にオヤツを買いにきているところ。
今日の気分はポテトチップス。さいわい懐にも余裕がある。
だから選び放題。かといって買い放題ではない。
調子にのっていくつも買ったのがお母さんにあとでバレたら、とんでもないペナルティを課されて幼女は血の涙を流して慟哭することになる。ガクブル。
「味はやっぱりコンソメかなぁ。お兄ちゃんなんかは塩が好きだっていうんだけど、わたしにはちょっとシンプルすぎるんだよねえ。ほら、同じ値段で水とジュースだったらジュースを買った方が得した気分になるでしょう? あれみたいなもんかなぁ」
同じ容量ならば塩味よりも他の味のようが、なにやら手が込んでいるような気がする。
もちろんそんなことはないのだが、そこはそれ幼女ならではの偏見というやつで。
で、コンソメ味のポテトチップスを購入することまではすんなり決まったのだが、次に立ちふさがったのが「袋と筒」問題。
袋は中身が粉々になりやすいという欠点があるものの、そのボロボロのやつ込みで楽しめるという利点がある。くしゃっと空の袋を畳んでしまえば、ゴミも小さくてすむ。
一方で筒なのだが、平均的に一枚一枚の厚みがしっかりしているモノが多く、サクサクっというよりかはガッツリ食べて腹に溜まるような印象。あと何げに筒の処理に困る。親切なメーカーだと簡単に解体できるような工夫が施されてあるけれども、海外の輸入品とかだとそういった配慮は一切ない。かさ張るからそのままゴミに出すとお母さんが顔をしかめる。だからとて潰すにしろ解体するにしろ、たいへんなのだ。
ミヨちゃんが「うんうん」悩んでいるのを尻目に、ヒニクちゃんがぼそり。
「筒は保存に便利」
ひと袋をいっきに食べちゃうのもいいけれど。
それだと結構なカロリーになっちゃう。その点、
筒のはやつは、ちびちび食べ進められるのが便利。
……なんぞと、コヒニクミコは考えている。
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