竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~

月芝

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148 イカVSツチノコ 中編

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 無数の細かい気泡が集まり、渦となり、線となっては長い尾となる。
 それを引き連れ水中を疾駆するのは、ふたつの影。
 先を行くのはダイオウイカもどきだ。
 少し距離を置いて続くのは、私が操縦桿を握るタケノツチノコである。
 ただいま鬼ごっこの真っ最中、回復したソナーの反応を辿っては追跡中にて――

 にしても、速い!
 なかなか差は縮まらず。
 直線ではいささか向こうに分があるようだ。
 けど……

「しめた!」

 ダイオウイカもどきが頭部を動かし、体を左へと傾けている。
 このままでは埒が明かないと、しびれを切らして左へ舵を切る模様。
 おおかた回り込んで、こちらの側面なり背後なりを突くつもりなのだろうけど、そうはさせない。

「イスケ! 10時方向に特殊竹魚雷を発射、時間設定は十五秒。続けて正面、12時方向に追尾型竹魚雷を発射してちょうだい!」

 特殊竹魚雷とは、小さな竹機雷がいっぱい詰まった魚雷にて、飛ばしたあとはタイマーにより中身をぶちまけることができる。
 これにより任意の場所に機雷源を展開できるという優れもの。
 それから追尾型竹魚雷は、そのままである。ロックオンしたターゲットを延々と追いかけ回す。

 バシュッ!
  バシュッ!
   バシュッ!

 タケノツチノコの胸元にある発射口がパカンと開き、次々と魚雷が水中へと放たれた。その数、三。
 内訳は、初弾が特殊竹魚雷、次弾以降が追尾型竹魚雷だ。

 左へと旋回しようとしていたダイオウイカもどき、やや減速したところで背後から迫る魚雷の存在に気がついた。
 だから四つの触腕にて姿勢を制御しつつ、八本の足を伸び縮みさせては、グンッ! 水を蹴るような動きにて、再加速を果たす。
 これにより魚雷からは逃れらるかとおもわれたが、次の瞬間のことであった。

 どっかぁあぁぁーん!

 すぐ近くで爆発が生じたもので、ダイオウイカもどきはその三つの大きな目を見開く。
 背後の魚雷にばかり気をとられていたせいで、前方への注意がおろそかになったのだ。そのせいで私がイスケに命じて展開させた機雷源という死地に、みずから飛び込んでしまったのである。

 最初の爆発で、その身がぐらり。
 態勢が崩れたダイオウイカもどきは、すぐに建て直そうとするも、なまじスピードを出していたことが仇となり、うまくいかない。
 そうしている間にも、他の機雷に触れてしまい、ドカン! ドカン!

 爆発が爆発を誘発し、より大きな爆発となる。
 渦中に囚われたダイオウイカもどき、ついにその足が止まった。
 だがまだ終わりじゃない。そこへ背後からのトドメが追いつく。
 これにて追い込み猟の完成にて。

 ちゅどぉおぉぉおぉぉぉぉーん!

 水中で空間が爆ぜた。破壊エネルギーの収縮と膨張、めくるめく閃光が生じ、湖底に疑似的な太陽が降誕する。
 が、それもほんの一瞬のこと。
 太陽はすぐにかき消え、あとからやってきたのは激流だ。
 何匹もの大蛇が絡み合うかのようにして、幾筋もの水流が無軌道に暴れては、押し合いへし合い、互いを喰らい合う。

 自分たちでやっておいてなんだか、思った以上に波が荒れ狂っている。
 このままではマズイ、こちらも巻き込まれかねない。
 だから私はあわててタケノツチノコを操縦し、この場から離脱しようとするも「ん?」

 機首がうまく回らず。
 蛇体が妙にモタモタしている。
 えっ、ここにきたマシントラブル!?
 メカニック担当の竹工作兵からの報告によれば、機体側面部の何カ所かに、異物がへばりついているらしく、それが当艇の動きを阻害しているとのこと。

 では、その正体が何かといえば、それはイカ墨だった。
 ただし、ダイオウイカもどきが最初に散布したのとは、性質が異なっており、へばりついているのは粘度が高くて、ねちゃねちゃしているせいだ。

「くそっ、やられた!」

 ヤツはたんに逃げていたわけじゃない。
 逃げながらこっそり、こんなモノを進路上にバラ撒いていたのだ。
 どうやら考えることは同じだったらしい。
 こちらが罠を仕掛けていたように、向こうもこちらを罠にハメる気まんまんだったということ。

 そしてこのタイミングで、こちらへと迫る反応がソナーにピコンピコン。
 機雷によってダメージを負ったダイオウイカもどき、ボロボロになりながらも特攻を敢行! 死兵と化して突っ込んできた!

 ――この衝突は避けられない。

 迎撃すべく、タケノツチノコは四本のマシンアームをにょきっと出現させては武器を手にし、対接近戦へと備える。


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