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追跡は慎重に!
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曲がり角の陰に隠れて花屋を覗くと、若いイケメン風の男と巫女が話しているのが見える。巫女はもちろんミイコだった。
「これはニュースやで!」
「いや、別に話しているだけじゃないのか?」
俺がそういうと、彦助が不思議そうに呟く。
「でも、花屋になんの用事があるんすかね?」
確かに、花を置いている所なんか見たことはない。という事は花屋のイケメンはただのミイコの知り合いという事になるのではないだろうか?
「ミイコも年ごろやからなぁ……」
「いやいや、まさか……」
「でも、相手が人間っちゅうのはあかんな……」
「なんでなんですか?」
「そらミイコは猫やで? この先上手くいったとしてどうせいっちゅうんや?」
サブローがそういうと少し切ない表情を浮かべる。サブローも昔そういうことがあったのだろうか。
「ちょっと見てみい……」
彼はそういって、顎を花屋の方に向ける。するとイケメンとミイコが楽しそうに話しているのが見えた。
「ほらなぁ、あれは恋する乙女の目っちゅうやつやろ……」
「そうかなぁ、でも確かにあんなに楽しそうに話しているのは見たことないかもしれない」
「彦助はどう思うんや?」
「はい! あれは、恋してるっすね!」
何となく腑に落ちない部分はあるものの、全く気にならないわけではない。巫女の姿で人間と話しているのを見たことが無いわけではないのだけど、相手がイケメンなのが気になった。
「それで……どうするんや?」
「どうするって言われても……」
「ミイコが人間と恋しとるかもしれへんのやで?」
「それは、それで……」
「ちょっとまて、ミイコと花屋の兄ちゃんおらんやんけ?」
そういって、よく見るとさっきまでい二人の姿が無く、おじさんが店頭に立っているのが見える。いったい何処に行ったのだろうか?
「彦助、反対側でミイコ見たやつおらんか聞いてみてくれ!」
「は、はい! 行ってくるっす!」
サブローは彦助に指示を出すと、花屋の通りを彼とは別方向に歩き出した。
「ちょっとちょっと、何処に行くんだよ?」
「とりあえず、行ってみなわからんやろ……もしかしたらすぐ近くに居るかもしれへん」
花屋のある道は、そのまま進むと商店街に差し掛かっている。その中で二人が歩いているのならすぐに見つかるだろうと思い、サブローについていく事にした。
「これはあかん!」
サブローがそういうと、店の中から殺気を感じる。よく見るとそこは魚屋で、どう見ても魚を取りそうな猫と歩いていることに気が付く。
「あかんって、魚屋さんですよね?」
「何言うてんねん、猫と魚屋は昔から敵同士なのは知ってるやろ?」
確かに、某国民的アニメでもそんなシーンは描かれている。
「魚をくわえた日には、町中に追っかけられるで……」
「まぁ、そうでしょうね……」
俺たちはそのまま商店街を進み、出口まで付いてしまう。どうやらミイコは商店街の方には来ていなかった様だ。
「こっちにはおらへんなぁ」
「彦にゃんの方に行ったんですかね?」
「いや、あっちに行ってたら伝令が来てもいい頃なんやけどなぁ」
俺たちは来た道を戻り、他に行きそうな場所を探す。サブローが言うには公園に行っているかもしれないとの事で、近くの公園に向かった。
「まぁ、猫が集まるならここや」
「でもサブローさん、ミイコは集会に参加してないって……」
「有名な集会には出てるの見たことないけど、女子会とかやってたらわしにもわからん」
「なるほど、でもイケメン連れていきますかね?」
「まぁ、そこやねんなぁ……ほんまに一緒に消えたんか?」
「それサブローさんが言ったんですけど?」
結局、いくつか公園を回ってみたものの、ミイコの姿を見つけることが出来なかった。俺たちはあきらめて神社に帰ろうしていると、曲がり角でばったりと会う。
「あれ、神様にサブローさん何しているんですか?」
「え、あ……ミイコこそ、こんなところで何やっているんだよ?」
「それは、いつも通り買い出しですけど?」
「あ、ああ。買い出しね! いつもお疲れ様!」
「ミイコ、お前もしかして恋してんちゃうか?」
サブローは、前振りもなく直球のストレートを投げる。遠回りに聞くタイプではないと思っていたけど、それにしても唐突すぎる。
「え? 恋って急に何言っているんですか?」
「恋してますって顔に書いてあるで?」
サブローは聞き出すのがへたくそだった。そんな感じで誰が『そうです!』と答えるのだろうか?
「そんなことないですよ?」
「そうだよ、サブローさんなにいっているんですか?」
サブローは俺が味方になると思っていたのか少し不貞腐れている様にも見える。俺は話を変え誤魔化していると、間の悪いことに彦助が現れた。
「兄貴~、ミイコ姐さんの場所が分ったっすよ~」
「あれ? 彦助さん私を探していたのですか?」
「そうなんすよ、なんかイケメンと消えたって騒いでて……って姐さん!」
サブローはすぐに立ち去ろうとしていると、ミイコはサブローを掴んだ。
「ちょっと、サブローさん? 話を伺っても宜しいですか?」
「なんやの……彦助、おぼえとけや?」
すると彦助は、もうそこには居なかった。俺もどさくさに紛れて帰ろうと試みるも、あっさりとミイコに止められてしまう。
「神様も、何していたのか教えてくださいね?」
「は……はい……」
彦助のせいで尾行がばれた俺たちは、ミイコに捕まってしまったのだった。
「これはニュースやで!」
「いや、別に話しているだけじゃないのか?」
俺がそういうと、彦助が不思議そうに呟く。
「でも、花屋になんの用事があるんすかね?」
確かに、花を置いている所なんか見たことはない。という事は花屋のイケメンはただのミイコの知り合いという事になるのではないだろうか?
「ミイコも年ごろやからなぁ……」
「いやいや、まさか……」
「でも、相手が人間っちゅうのはあかんな……」
「なんでなんですか?」
「そらミイコは猫やで? この先上手くいったとしてどうせいっちゅうんや?」
サブローがそういうと少し切ない表情を浮かべる。サブローも昔そういうことがあったのだろうか。
「ちょっと見てみい……」
彼はそういって、顎を花屋の方に向ける。するとイケメンとミイコが楽しそうに話しているのが見えた。
「ほらなぁ、あれは恋する乙女の目っちゅうやつやろ……」
「そうかなぁ、でも確かにあんなに楽しそうに話しているのは見たことないかもしれない」
「彦助はどう思うんや?」
「はい! あれは、恋してるっすね!」
何となく腑に落ちない部分はあるものの、全く気にならないわけではない。巫女の姿で人間と話しているのを見たことが無いわけではないのだけど、相手がイケメンなのが気になった。
「それで……どうするんや?」
「どうするって言われても……」
「ミイコが人間と恋しとるかもしれへんのやで?」
「それは、それで……」
「ちょっとまて、ミイコと花屋の兄ちゃんおらんやんけ?」
そういって、よく見るとさっきまでい二人の姿が無く、おじさんが店頭に立っているのが見える。いったい何処に行ったのだろうか?
「彦助、反対側でミイコ見たやつおらんか聞いてみてくれ!」
「は、はい! 行ってくるっす!」
サブローは彦助に指示を出すと、花屋の通りを彼とは別方向に歩き出した。
「ちょっとちょっと、何処に行くんだよ?」
「とりあえず、行ってみなわからんやろ……もしかしたらすぐ近くに居るかもしれへん」
花屋のある道は、そのまま進むと商店街に差し掛かっている。その中で二人が歩いているのならすぐに見つかるだろうと思い、サブローについていく事にした。
「これはあかん!」
サブローがそういうと、店の中から殺気を感じる。よく見るとそこは魚屋で、どう見ても魚を取りそうな猫と歩いていることに気が付く。
「あかんって、魚屋さんですよね?」
「何言うてんねん、猫と魚屋は昔から敵同士なのは知ってるやろ?」
確かに、某国民的アニメでもそんなシーンは描かれている。
「魚をくわえた日には、町中に追っかけられるで……」
「まぁ、そうでしょうね……」
俺たちはそのまま商店街を進み、出口まで付いてしまう。どうやらミイコは商店街の方には来ていなかった様だ。
「こっちにはおらへんなぁ」
「彦にゃんの方に行ったんですかね?」
「いや、あっちに行ってたら伝令が来てもいい頃なんやけどなぁ」
俺たちは来た道を戻り、他に行きそうな場所を探す。サブローが言うには公園に行っているかもしれないとの事で、近くの公園に向かった。
「まぁ、猫が集まるならここや」
「でもサブローさん、ミイコは集会に参加してないって……」
「有名な集会には出てるの見たことないけど、女子会とかやってたらわしにもわからん」
「なるほど、でもイケメン連れていきますかね?」
「まぁ、そこやねんなぁ……ほんまに一緒に消えたんか?」
「それサブローさんが言ったんですけど?」
結局、いくつか公園を回ってみたものの、ミイコの姿を見つけることが出来なかった。俺たちはあきらめて神社に帰ろうしていると、曲がり角でばったりと会う。
「あれ、神様にサブローさん何しているんですか?」
「え、あ……ミイコこそ、こんなところで何やっているんだよ?」
「それは、いつも通り買い出しですけど?」
「あ、ああ。買い出しね! いつもお疲れ様!」
「ミイコ、お前もしかして恋してんちゃうか?」
サブローは、前振りもなく直球のストレートを投げる。遠回りに聞くタイプではないと思っていたけど、それにしても唐突すぎる。
「え? 恋って急に何言っているんですか?」
「恋してますって顔に書いてあるで?」
サブローは聞き出すのがへたくそだった。そんな感じで誰が『そうです!』と答えるのだろうか?
「そんなことないですよ?」
「そうだよ、サブローさんなにいっているんですか?」
サブローは俺が味方になると思っていたのか少し不貞腐れている様にも見える。俺は話を変え誤魔化していると、間の悪いことに彦助が現れた。
「兄貴~、ミイコ姐さんの場所が分ったっすよ~」
「あれ? 彦助さん私を探していたのですか?」
「そうなんすよ、なんかイケメンと消えたって騒いでて……って姐さん!」
サブローはすぐに立ち去ろうとしていると、ミイコはサブローを掴んだ。
「ちょっと、サブローさん? 話を伺っても宜しいですか?」
「なんやの……彦助、おぼえとけや?」
すると彦助は、もうそこには居なかった。俺もどさくさに紛れて帰ろうと試みるも、あっさりとミイコに止められてしまう。
「神様も、何していたのか教えてくださいね?」
「は……はい……」
彦助のせいで尾行がばれた俺たちは、ミイコに捕まってしまったのだった。
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