異世界メールフレンド〜女騎士とメールしていたら帰れなくなりました〜

竹野こきのこ

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異世界転移編

オークじゃなくって

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「父上? 一体何を?」

俺はその言葉に戸惑う。
オークに見える程ガタイのいい男がエリカのお父さん? さっきの攻撃は俺がこの世界の人間なら間違いなく鉈で仕留められているのだけど……?

「エリカっ! 大丈夫だったか?」

オークもといエリカパパも殺気が引いている。

「父上、修平と戦闘になっていたようなのだが、こんな夜中に何かあったのか?」

「エリカの悪い虫を払ってゴホッゴホッ……彼は素人臭い動きだがいいスキルを持っているようだな」
「帰り道に連絡を入れたはずだが、父上は何をしにこられたのか?」
「エリカの部屋に男が泊まると聞いてだな……」

「修平は今日の戦いでの命の恩人……で、友達だ」

このおっさん、連絡を受けて気になって来ただけだろう……しかもエリカがトイレという事は離れるのを見計らっている様にも見える。
それとは別に、恥ずかしがりながら"友達"と言ってくれた事が俺は嬉しかった。

「エリカよ。友達と言ったな?」
「そうだ」
「では、何故一緒に寝ている? 恋人ではないのか?」

「理由は話せば長くなるのだが……」

こうして、エリカと俺は何か変な誤解をしているエリカパパに事のいきさつを細かく話した。

「なるほど、修平殿は異世界から来られたというわけで、転移が出来ず帰れなくなったと……」

「そういう訳です……」
「だが、そのせいで、魔力が使えないというのも不思議ではあるが納得できる」

エリカパパは少し考えるような仕草をする。

「修平が帰れないのは私の責任なのだから、帰ることができるまでは面倒をみるつもりだ」

「ふむ、転移魔法での帰る方法か……それならば明日、軍の魔導研究所にいってみるといい」

「魔導研究所ですか?」
俺は目線だけでエリカの顔を見る。

「そうだ、軍事用の魔法の研究をしているところだから何か手がかりがあるかも知れない」

「なるほど……」

「修平、大丈夫だ。私もついていこう」
エリカは俺が不安なのを察したのだろう。

「それでは修平殿にはこれを渡しておこう」

そう言って俺はボクシングのバッグの様なものをうけとる。

「これは……?」
「ああ、寝袋だ」

話の流れ全然関係ないじゃねーか!

あくまでエリカパパは一緒に寝かせたくは無いらしい。まぁ普通に一緒に寝かせる様な危機感の全くないエリカを娘に持つ身としてはは当たり前の事か……。

こうして、ある程度納得したエリカパパは渋々帰る事となり、俺たちは翌朝軍の魔導研究所に向かう事になった。





エリカの朝は早い。
俺はまだ眠気で重い瞼を擦ると、朝ごはんの用意をしてくれていた。

「修平、おきたか?」

優しい声をかけ、出してくれたのはオートミールの様なコーンフレークにも見える朝ごはんだ。

どうやらエリカはご飯派でもパン派でも無いらしい。俺はそれを口の中に掻き込み、出かける準備をする。

スマホが目に入り少し、実家の事が気になっていたが現状どうする事も出来ないため、なるべく考えないようにした。

「その鞄には何が入っているのだ?」

エリカは俺に尋ねた。
家から持って来た鞄が気になる様子だ。

「ああ、くる時に家にあった物を適当にいれたんだけど、ステンレス製の金槌と業務用カッター。それと、財布とスマホだ」

財布なんて持ってくる必要はないのだが急いでいたせいかとりあえずいれている。

「その、金槌とカッターという奴をちょっと見せてはくれないか?」

俺はエリカに、それぞれ取り出し見せる。

「修平、これは修平の世界では強い武器なのか?」
「いや、俺の世界では武器はそうそう持てないからね……どちらかと言えば工具だよ。釘を打ったり加工したりするものになるかな? こっちのスマホに関しては小さなパソコンと思ってくれたらいいよ!」

エリカは、金槌を手にとる。
「ステンレスという金属はアダマンタイトより硬いと思う……これも多分規格外のアイテムだな」

アダマンタイト? 世界トップクラスの硬度を誇る金属よりただのステンレスが硬いのか?

「このカッターとやらもそう、確信は持てないが修平の世界では物質の安定度が全て違うのだろう」

そう言っていきなりエリカは金槌で軽く俺を叩いた。

「痛ってー! エリカちょっと洒落になってないんだけど!」

「やはりな……」
「ちょっと、"やはりな"じゃないって! 金槌で殴ったら痛いに決まってんじゃん!」

そう、言った瞬間に俺は気づいた……。

「あっ……」
「そう……修平も気づいたか? 戦斧で殴っても大したダメージを受けない修平が軽く叩くだけで痛いだと? となれば軽く振っただけで戦斧以上のダメージを与えられる武器という事になるんじゃないか?」

「いや、エリカ……武器としてはそうだけど、それ以上にこの工具なら普通にダメージを受ける事の方が俺にとっては重要な事だと思う」

エリカはゆっくり頷く。
「これらは絶対に敵に取られてはいけない。修平は硬い変わりに回復も遅いからな……」

俺を殺せる武器は俺が持っている。
多分この世界の武器ではオークの戦斧攻撃で打撲程度のダメージしか受けないのは実証済みだ。
という事は、アダマンタイトの様に硬度が異常な武器でない限り俺はほぼダメージは受けないと思う。

エリカの言う物質が安定というのはもしかしたら原子や分子レベルでの話なのかもしれないと思った。

準備を済ませた俺たちは軍の施設に向かう。
エリカの家からは定期的に走るバスの様な大型の竜車が街を走っており、俺たちはそれに乗り施設に向かった。

チリーン。

この世界のバスは、不親切だ。
止まる場所は決まっているもののバス停の名前が無い。着いたら降りるそれだけだった。

「ここが軍の施設か……」

煉瓦造りの大きな塀に、黒い金属製の門がある。
広さを考えると、塀の高い大学の様な作りだった。

門の前で、エリカは金属のプレートをだすと、何やら守衛さんに話しかけ、紙にサインをしている。流石にセキュリティがしっかりしている。

エリカは守衛さんから受け取った緑色のプレートを俺に渡した。

「修平、これが無いとここには入れないから無くすなよ!」
何故かドヤ顔をみせる。
俺が入れる様に話してくれていたのか。

中に入ると歴史ある建物の様な造りだが新しい。
日本の洋館なんかも出来たばかりの頃はこんな風な雰囲気だったのかもしれないと思う。

俺は静かな休日の学校の様な雰囲気に少し観光している気分に浸り始め、景色を楽しみながらエリカの後を追った。

「すごい建物だな……」
「軍の中心となる施設だからな! 色々な機関がここに結集している」

エリカが施設の説明をしていると、何処か慌ただしい雰囲気の白い軍服を着た男たちが走っているのがみえる。

「どうしたんだろう?」
「もしかしたら何かあったのかもしれないな」

すると、軍服の男ら3名がエリカの前で止まる。

「エリカヴァレンシュタイン少佐!」
男たちは、エリカの名前を呼ぶ。
「どうした? 何かあったのか?」

「はっ、少佐。お手数ですが会議室まで同行願います」
「私が? 何故だ」
「詳しくはお伝え出来ませんが少佐は同行者の件で、軍法違反の疑いがかけられております」

同行者って俺の事じゃないか?
まさか、違法入国とかそう言った類の話なのか?

「なるほど、わかった。 修平、すまない一緒に着いて来てはくれないだろうか?」
「俺はいいけど……大丈夫なのか?」

「ああ、問題ない。修平の事は閣下にも伝えてある事だから説明するだけだ」

そう言ってエリカと俺は会議室まで行く事になった。
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