異世界メールフレンド〜女騎士とメールしていたら帰れなくなりました〜

竹野こきのこ

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異世界転移編

2人旅

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帝国に向かうと言っているものの、エリカは街の中に向かう。

「エリカ、竜車で帝国はどのくらいなんだ?」
「竜車? 1週間位はかかるんじゃないか?」

結構かかるな……。

「修平は竜車で行きたいのか?」
「いや、飛行機みたいな物はないだろうし、竜車だと思っていたんだけど違うのか?」

「帝国は国交があるからな。転移陣を使うぞ?」

それを聞いて俺はハッとする。

「なるほど! あのモヤモヤで一気に行くのか!」
「あれは軍用だ。商用の物はもっと安定していて転移酔いなども無くゲートを潜るだけでいける」

エリカ曰く、固定ゲートが有料で使えるのだという。

この世界では軍用と商用の魔法があり、軍用は戦闘に特化している分早いかわりに使用感ユーズアビリティが悪い。逆に商用は人が使ってお金を取る為に安全性に特化しており遅いかわりに快適なのだとか……。

要は転移屋みたいなのが有るのか。

ゲート付近には竜車に乗った商人や旅行者が列を作っている。

「ここから主要な3都市にはここからいける」

この世界の駅や空港みたいなものか。
長距離移動がゲートだから、電車や飛行機といったものが発達していないのだろう。

行列はゲート待ちでは無く、チケットを購入するためのものだった。

「2名で金貨2枚です」
エリカは気にせず2人分支払いチケットを受け取るとゲートの方に歩きだす。

「エリカ出して貰ってばかりで悪いな……」
「気にするな、修平は文無しだからな」

それを言われると辛い。

「金貨1枚はどれくらいの価値なんだ?」
「そうだな……自炊すると半月分の食費くらいか?」

結構な額だな……。

「まぁ、修平ならすぐ稼げるだろう」

俺はそのうち必ず返そうと心に誓う。





ゲートを抜けると、ファルムス公国の中世感のある街並みとは違う、脂の様な臭いが漂っている機械で出来ている様な街だった。

アルタルム帝国、ベルム大佐が居る帝国だ。
ベルム大佐はあれからどうしているだろうか?

「なんかすごいな……」
「修平は帝国は初めてだな。ここは軍を中心とした工業都市として栄えている」

「工業都市? それって帝国だけ文明が違うレベルじゃないのか?」

「ああ、だがそのおかげで本来魔力中心の世界でも人族は今の様に暮らしていけるのも事実だ」

この世界は俺が思っているより複雑なのかも知れない。現に俺が来た時の戦闘でも、エリカの様な飛び抜けた騎士が居ても質の良い装備が無くては戦うことすら難しいだろう。

高品質の武器を大量に作れる所が帝国が帝国たる由縁なのだろうと思った。

「そういえば、ベルムは大佐だよな?」
「ああ、彼は帝国の英雄だ。奴は1対1ですら勝てる相手ではないが彼の率いる4つの大隊の大隊長を担う者のうち2人は確実に私は勝てない」

「そんなレベルなのかよ……でも残りの2人は?」
「片方は良くて相打ち、もう片方は養成所時代には勝てたが今は分からん」

4人のうち1人は元同僚なのか?
全員ベルムより弱いとはいえ、正直俺が奴に勝てたのは奇跡だろう。それは俺が1番よくわかっている。

「まぁ、私が軍を辞めている以上戦う事はないだろうがな」

俺は、戦う事はないというエリカの言葉に少し安心した。

俺達は、紹介してもらったアルカナイさんの店を目指して竜車に乗り込む。流石は帝国製と言ったところだろうか? スプリングの効いた竜車ののりごこちはファルムスの竜車より遥かに快適だった。

20分程乗っただろうか? 中心部を離れ郊外と言った街並みに変化していく。正に城下町から下町に入った様な気分だ。

それからしばらくすると、アルカナイさんの店の近くの大通り沿いで俺たちは降りた。

行き交う人も、中心部とは違いラフな格好で生活感がでている。

「修平、あの店ではないか?」

少し先に紹介状にあるマークと同じ看板が出ている魔道具屋さんらしき入り口を見つけ店に向かおうとすると何やら大きな袋持った男が手前の路地に入るのが見え俺は違和感を感じエリカに話しかけた。

「エリカ……」
「言うな。わかっている」

えっと……何をわかっているのだろうか?
だが、エリカは路地の前で立ち止まると、気配を殺し路地を覗く。

「エリカ……どうしたんだ?」
声を殺し尋ねた。

「さっきの袋、中に入っているのは人だ。修平もその事を言いたかったのではないのか?」
「気になったから聞こうと思っただけで……」
やっぱり、人が入っていたのか。

「そうか、しかも中に入っているのは子供だな」
「それって人攫いって事か?」
「かもしれない、少し様子をみようか……」

俺はエリカに従い付いて行く。
少し探偵になった気分でドキドキする。

男はさらに人気の少ない所に入り進むと、別の男と合流する。

「兄貴……例のガキ持ってきやしたぜ」
「そうか、良くやった……と言いたい所だがお前、つけられている事に気づいてないのか?」

それを聞いた途端に俺は冷や汗で背中が濡れるのを感じる。

「姿を見せたらどうだ?」

兄貴と呼ばれるガタイのいい男は吠える様に言う。

「仕方ない。修平……でようか」

俺はエリカの後を恐る恐る付いて行くと、虎の様な頭が見える。

「エリカ……虎が喋っているぞ」
「ああ、獣人だな……」

それだけ? 相変わらず冷静なエリカだ。

「街中で人攫いとは随分大それたことをするではないか?」

いきなり言っちゃう? これ戦うパターンだよな?

「ははは、ファルムスの若い女とビビリの男じゃねーか。驚かせやがって」
「ははは、びっくりしましたよ兄貴!」

チンピラのテンプレかよ!
こういう時のエリカの安心感は別格だな。まず負ける気がしない。

「おろ? 兄貴、あいつ結構いい剣持ってますぜ?」
「冒険者気取りの嬢ちゃんか、ちょっとあそんでうぐっ……」

エリカは一瞬で2倍ほど体格の違う虎兄貴の腹をなぐり蹲らせた。

「安心しろ、一般市民には剣はつかわん」

なんだこれ、カッコ良すぎる。
エリカがまともに戦うのを初めてみたが、ここまで強いとは思っていなかった。

もう1人の男が驚いている間もなくエリカの後ろ回し蹴りが炸裂し、数mは飛んだ。

「ぐへっ」

グシャッ

その瞬間に、男は袋を落とす。
いやいやいや、袋!袋!
俺はすかさず駆け寄り袋を抱えた。

「ちょっとエリカ! 中身子供って言ってたじゃん!」

そう言ってエリカの方を向くと、エリカと剣を交える人物の姿があった。

あれ? 一般市民に剣は抜かないとか言わなかったっけ?

「はぁ……連絡が途絶えたから来てみれば、赤翼かよ……またとんでもなく厄介な奴に見つかってんじゃねーよ」

「貴様……何者だ?」
「赤翼と一緒にいるって事は、そっちの小僧もそれなりの騎士だろ?」

いや、違うけど……。

「こりゃ、分が悪いわな……」

そう言うと男は指を弾く。
すると円錐形の槍が地面から俺を突き刺した。

「修平!」

「ちょっと痛いけど大丈夫! 袋も俺も無事!」

「チッ。そう簡単にはいかねーか」
男はそう言って舌打ちし、逃げ出す。

「修平、その子をたのむ」

そう言い残すと、エリカは男の後を追って消え、俺は袋と一緒に取り残され、周りを見ると、先程の虎男と弟分がさっきの槍に串刺しにされ死んでいるのが見えた。
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